8-14
2人がキャッチボールをしていると、道路の方から見慣れた3人が歩いてくるのに宇宙は気がついた。
「あっ!パパだよ」
宇宙はその1人が拓斗だとすぐにわかった。
「パパーー!!」
拓斗の元へグローブとボールを持ったまま、走っていく宇宙。
「おぉー宇宙ー!久しぶりだなー!元気だったかー!?」
走ってきた宇宙を、拓斗は抱っこしてあげた。
久しぶりに宇宙の顔を見れた嬉しさからだろうか、目が自然と潤んでくる。
「パパどこにいってたの!?」
「んっ!あー・・・ちょっとなっ」
何て言ったらいいのか分からない。
香奈が宇宙になんて言っているのかも分からない。
「いま、ルナちゃんとキャッチボールしてたの!パパもいっしょにしようよ」
「またな・・・パパ今からママと大事なお話があるからな」
家の前で立っている香奈をチラッと見た拓斗であったが、怖くてすぐに目を反らした。
「宇宙、瑠奈ちゃんと遊んでおいで」
拓斗が来てから初めて香奈か口を開いた。
「はーい、じゃーパパまたあとでね!」
宇宙は拓斗に手をふり、瑠奈と再びキャッチボールを始めたのだった。
香奈が拓斗のほうへ近寄って来る。
拓斗の心臓は張り裂けそうなほど早く高鳴ってくる。
「ひ、久しぶり・・・」
「元気だった!?もう何も言わないから・・・中でお父さん待ってるから・・・」
香奈は、怒ることも怒鳴ることもなかった。
そしてすぐに家の中に入っていったのだった。
「行くぞ!」
宇宙の横で、キャッチボールを見ていた光久が固まったままの拓斗の肩を叩いた。
「あぁー・・・行こう」




