【ユレイシア貴族連合王国】再編(4)
「そろそろです、ヘイキチ殿」
「ん?そうなのか?寺院どころか、何もないように見えるが」
サトルからの命を受け、ヘイキチとアクシェイの二人が、少数の兵士と共に二人がいるという寺院に向かっていた。
「その寺院はもう管理している者もいないほど古く、殆どが森の中に埋もれているらしいのです。だからこそ、彼らが根城にするにはちょうどよかったのでしょう。とにかく噂ではこの辺りですので、ここからは手分けして探しましょう」
「いや、ブラーミン殿。どうやら、その必要はなさそうだぞ」
「……はい?」
ヘイキチがニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「っ!?」
直後、周辺の草むらの中から兵士……というには少々遠い装いをした人間が現れ、ヘイキチ達を囲んで槍を構えた。
「囲まれた!?」
「どうやら随分前から俺たちは、コイツラに目をつけられていたらしい」
だが、目的はあくまで勧誘だからだろうか。囲まれて槍を向けられているというのに、ヘイキチは武器を構えなかった。
「ほう……。クァンリー城の鎧を着た兵士がこちらに向かっているとは聞いていたが」
「これはまた懐かしい奴がやってきたじゃないか」
「!」
兵士達の後ろから、二人の男が姿を現した。
「アイリシュ!」
「久しいな、ブラーミン」
「グリシャ!」
「おう。相変わらず、お前はクソ真面目そうな顔をしてんな」
双翼、アイリシュ・ヴィッターマンとグリシャ・ヴェルマンだった。
「ブラーミン。お前と我々はあのとき袂を分かったはずだ。今更、ノコノコと何をしに来たんだ?」
手で合図を出し、部下たちに槍を上げさせながら、ヴィッターマンが問いかけた。
「お前たちに、クァンリー城に戻ってきて欲しい」
「断る」
ヴィッターマンが即答し、同時に兵士達が再び一斉に槍を構えた。
「あの馬鹿の下で働くなど、御免こうむる。用がそれだけなら、さっさと帰れ。かつての同僚の縁に免じて、今回だけは見逃して――」
「キストラは死んだ!」
「……なに?」
「なんだと?」
その報告に、二人が目を丸くした。
「キストラ・プラデーシュは先日、発狂の末に自害した。今の城主は『アスカイ・サトル』という」
「アスカイ・サトル?知らない男だな」
「アイリシュ、俺はその名前を聞いたことがあるぞ。確か『北の賢者』とか呼ばれていた男だ。詳しくは知らないが、どうも様々なことに精通する賢人だとか」
「ほう。つまり、マシな城主に変わったから、我々に戻ってこいと言っているわけか」
「そうだ。お前たちが忌み嫌っていた、キストラはもういない。だから、再び我々と一緒にクァンリー城を――」
「断る。今更、あんな未来のない城などに興味はない」
「そもそも、その北の賢者とやらも、信用出来ないからな。実は『キストラよりマシ』程度でした、なんてことがあるかもしれん。そんなのは御免だね」
「……っ」
予想通りの反応をされ、アクシェイが口ごもる。
「次はないぞ、ブラーミン。用がそれだけならば、さっさと帰――」
「――つまり、我らが城主の力を、お前たちに示せば良いわけだな?」
アクシェイの後ろで様子をみていたヘイキチが、ゆっくりと口を開いた。
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