表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/117

ヒロインの闇

春の穏やかな日のことである。

「フェリシア!聞いて!」

バンと効果音がつくほど勢いよくドアを開けたのは以外にもシャーロットだった。

ドタドタという騒がしい足音から、私はエリザベートが来たのだと思った。

でも、そうだった。エリザベートは私の隣にいたんだった。ついでにその隣にはエドワードがいる。

何なら、私の前にはカイルとアンリとクロエがいて、後ろにはシリルとサラとソフィがいる。

つまり、シャーロットが来たことで王族と三大公爵家の人間が勢揃いしたことになる。

「え!?あ、し、失礼いたしました!」

気にしないでいいよ。これが失礼ならエリザベートはもっと失礼だから。

そもそもカイルとエリザベートとエドワードは何も言わずに我が家にやってくるのだから。

今日も朝起きたら、当然のようにいた。

そして、当然のように紅茶を飲んでいた。

「ごきげんよう、シャーロット」

とは言え、一応弟と妹と使用人の前だ。

貴族的な作法はきちんとしておこう。

「あ、ご、ごきげんよう?フェリシア」

ぎこちない様子で挨拶を仕返すシャーロット。

そんな姿も微笑ましく、それでいて可憐だ。恐るべしヒロイン!そのポテンシャルはまさに無限大!

一体どこまで私を惑わせば気が済むのだろうか……。

「それで?どうなさったのですか?」

「えぇと……その……」

チラリとシャーロットが見たのは王族と公爵家の人間達。

あぁ、確かに話しにくいよね。この空間だと。

かといって、図書館だとナツメやドラ男さん、ジョン太郎丸、そして時々兄貴がいるし。

別室に移動かな?

「フェリシアが良ければ、マイルー、じゃなくて私の作り出した亜空間に移動するのはどうかな?じゃなくて、どうでしょうか?」

今、マイルームって言いかけたよね……?

つまり、シャーロットは『Encounter of fate』におけるマイルームを亜空間で再現したということかな?

ナツメが図書館という亜空間を作り出したように。

……恐るべし、ヒロイン!

本当にどこまでのポテンシャルを秘めているのか。

「構いませんよ。では、皆様。少し席を外させて頂きますね?」

元々、遊びに来る予定じゃなかった人達を今までもてなしていたのだ。

全然構わないだろう。むしろ、お茶とお菓子を出していただけ有り難く思え。

「え!?なら、私も……」

まぁ、好奇心旺盛なエリザベートなら、そう来るだろう。

そして、結果としてエドワードがついてくる。

カイルもついでに着いてくるだろうし、何なら他の皆も全員着いてくるだろう。

私にはその未来が見える。

そのため、私は最終兵器を出すことにした。

まだ序盤なのに……。大丈夫だろうか?

「サラ、ソフィ。エリザベートにグ・ス・トゥルムのお菓子を出してくれるかしら?」

「「かしこまりました!お嬢様!」」

「あの有名店のお菓子を!?よろしいのですか!?」

「えぇ、勿論」

だから、ここで大人しくしておいてね?

「という訳で、アンリ」

「は、はい!」

「ホストとして皆様をもてなす役をお任せしますね?」

「わ、分かりました!」

まぁ、相手は気心知れた仲だし、問題ないでしょ。

「じゃあ、行きましょうか。」

「うん!じゃなくて、はい」

シャーロットの言葉と共に私達の体は白い光に包まれて、気づいたらカレトヴァーの客間から『Encounter of fate』ではお馴染みのマイルームにいた。

ちなみにゲームではマイルーム用の家具はガチャでゲットする仕様となっていた。

天井はない、レアな家具はまったく出ない、期間限定のアイテムは復刻なし、そもそもその期間がとてつもなく短い、ガチャを回すための石はクエストのクリア報酬でしか貰えない、つまり課金という概念がない、という中々にシビアなガチャだった。

フルコンプリートした人はついぞ現れなかったほどに……。

まじで社長はいい加減にしろ。

「おぉ、凄い!」

「えへへ、結構頑張ったんだ」

マイルームにある家具は『Encounter of fate』における『♡がキュンキュン!キュート家具』シリーズで統一されていた。

ネーミングセンスはともかく、デザインはとても女子らしくて可愛らしい。

私は『血を啜れ!シャドウ家具』シリーズが好きだったなぁ。

……ネーミングセンスを気にしたら負けである。

「それで、私に話したいことって?」

ピンクを貴重としたソファーに腰かけつつ、私は早速本題を切り出した。

ちなみに、このソファーの名前は『♡いっぱ~い!キュンキュン♡キュート♡ソファー♡』(SSR)である。

「その前に、急にごめんね!」

「あぁ、本当に気にしないで良いよ」

何度も言うようだけど、奴らもアポは一切取っていないのだから。

「そう?じゃあお言葉に甘えて。その、相談があるんだけどね。それが私の婚約者についてなの」

「え?」

なん……だと……。シャーロットに婚約者?

それは貴族令嬢としては普通のことだけど、何となくゲームのヒロインと一緒で卒業式に婚約内定するものだとばかり思っていたから、完全に目から鱗だ。

いや、シャーロットも実際に生きている人間だもんね。

そりゃ、ゲームと違って婚約してもおかしくないけど……。

「ちなみにお相手は?」

「……ノーマル伯爵だって」

えぇ!?ノーマル伯爵って、ヒロインがノーマルエンディングを向かえると両親に強制的に結婚させられる相手じゃん!

しかも、下手したら両親よりも年上の変態じじいなのだ。

本当に何故ヒロインの両親は娘とこの変態じじいを結婚させようと思ったのか……。

「両親はね、私が貴族の夫人としてやっていくのは難しいだろうから、早めに死ぬであろうノーマル伯爵の未亡人として楽にやっていくのはどうかって」

「気の使い方、間違ってるよ……というか、未亡人って楽なの?」

「世継を生めば、後は何もしなくていいんだって。夫がいないから社交界にもあまり出なくていいだとか。子供の分は別らしいけど」

うへー、生々しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ