始まりのヴィラルノイド
私は運用AIが指摘した・・例の倉庫W-20に足を運んだ。
その場所は、いくつものギミック、迷彩などで隠された秘密の倉庫であった。
つまり・・ヤバいものが保管されているというわけだ。
そう、確かに目的の人造人間・・"ヴィラルノイド"の出所事が不明・・いや! 盗品、略奪物らしい。
運用AIからの情報によると星間国家・・ルネイス星域聯合のとある考古学研究所から略奪したとのこと。
ちなみにルネイス星域聯合とは・・私を奴隷にしていた憎むべき"ラアラ解放戦線"の交戦国!
・・つまり、独立戦争の相手国というわけなのだ。
私は・・ワクワクドキドキ感に浸りながら倉庫W-20へと足を踏み入れた。
数々のコンテナが並ぶ・・たぶん、盗品やらヤバイ物資の数々だろう。
その中から、目的のコンテナを見つけ・・ニヤリと笑う。そして、そっとフタを開けた。
そこには・・コールドスリープ装置のようなものの中で眠る一人の人物。
それは確かに人の姿をしており・・故障も痛みもない姿。
しかも驚くほどプリティ・・・
「えっ!?」
そう、私の目に飛び込んできたのは・・長い黒髪の少女。 可愛らしく壊れそうな華奢な身体だったのだ。
現在の私とはあまりにも異なるその姿・・まるで別世界の存在。
片や・・・鉄の体!
片や・・・有機体特有の柔らかい肌!
その差は、あまりに圧倒的だった。
「た、たしかに、この身体を借りれば、人間になれるのだが・・可愛くなりすぎじゃないのか!? まるで別人、いや! 別人だけど・・」
私は深く考え込む・・・そして、運用AIにもう一度、尋ねてみた。
「ここには・・これ以外の"ヴィラルノイド"はないのか!?」
すると答えは・・やはり!
『この"ヴィラルノイド"のみでございます。しかし、これはかなりの最高級品と予想されます』
「ほう!」と思わず・・私は声を漏らす。
運用AIは目前の少女型有機媒体“ヴィラルノイド”についての・・さらなる情報を語り始めた。
それは・・少し前の出来事、とある星域にて漂い・漂流していた古めかしい無人航宙艦を偶然にも発見したことにより話は始まる。
これ自体なら、さほど珍しくもない出来事だったのだが・・・実際は違っていた。
そう、ここから判明していく驚くべき事実。世紀的大発見! その古い航宙艦はあの・・シズク(地球)由来の遺物だったのだ。
あの伝説の・・! あの神話時代の・・! シズク(地球)文明!
現在の科学技術をも凌駕すると言われる超古代文明であり、人類の故郷、人類発祥の地、そして歴史の中に埋もれてしまった幻の存在・・
そんな超古代文明の航宙艦内部を調査し・・・そして見つけ出されたのがこの・・少女型"ヴィラルノイド"であった。
もちろん、この"ヴィラルノイド"も同じくシズク文明由来ということになる。
これらは超古代文明・・・
数万年の時を経てもたらされた貴重な遺物、もしかしたらロストテクノロジーの結晶かもしれない。
計り知れないほどの貴重な存在、人類の根源を知る貴重な遺品!
それほど貴重な遺物を・・・"ラアラ解放戦線"は略奪し我が物としてしまったのだ。
「"ラアラ解放戦線"・・・やはり悪党だな!」
私は吐き捨てるように呟いた。
ちなみに・・・この秘密倉庫W-20に保管されているコンテナの数々は・・この時に略奪してきた古代シズク文明の遺物や遺産とのこと。
"ラアラ解放戦線"の幹部たちも、これら貴重な遺物ゆえなのか・・略奪したものの扱いに困り・・とりあえずここに保管していたらしい。
いずれ将来的に現金化するつもりだったのか・・それとも独立後に博物館でも建てるつもりだったのか・・!?
その意図は定かではない。
ついでにいうと、さわると危ない・・そんな危険物も、この倉庫内にあるとのこと。
「おいおい まじかよ! まぁ・・いい! 私も・・扱いに困る。とりあえず保留だな」
だが!しかし、この少女型有機媒体・・"ヴィラルノイド"については・・もはや、何も考えることはないだろう。
最高級品、失われたロストテクノロジーとなれば・・・・このビッグウェーブに乗るしかない!
よし!可愛く少女になってやろうじゃないか!
"バイオマトン" 現在の我が身、鉄塊人形よりは・・プリティな少女になったほうが、はるかにマシなのだ。
私は・・目の前で眠っている少女型"ヴィラルノイド"の手首にそっと触れてみた。
すると凹凸のような感覚、どうやら接続コネクトのようだな!
超古代文明由来の"ヴィラルノイド"といえども・・接続形態は現代のものとほとんど変わらないらしい。
「うまく繋がりそうだ!」
そう確信した私は・・自分の手首に仕込んでいるVSBケーブルを取り出し・・目の前の少女に接続した。
これで自分の意識(魂)を・・彼女に乗り移すことができるはず・・・だがその時、警告音が脳内で鳴り響く。
「なっ! エラーの発生だと!?」
私の目前に、突然と映し出されるウインド画面と説明文・・これは現実に映し出されたものではなく、電脳による表示だ。
この"ヴィラルノイド"に内臓されているAIシステムが、私の魂と・・彼女の身体がうまく結合できるか否か、その相性を検査・シミュレーションしているらしい。
しかもこの・・ウインド表示には実に恐ろしい一文が記されていた。
【 << この相性テストに不合格の場合、意識が崩壊する恐れあり << 】と・・・つまり死ぬ可能性を示唆してきていた!
そう、現代の科学技術を遥かに凌駕した超古代文明由来の・・この"ヴィラルノイド"に、人間(私)の魂を乗り移すのは・・とても危険な行為だったのだ!
「おいおいおいおい! そんな話・・聞いてないぞ! こんなとこで命がけの勝負など・・」
だが遅かった! もはや接続してしまっている。引っこ抜けない!
ちなみにここで無理やりVSBケーブルを引き抜くと・・・意識が分断される。つまり魂の崩壊、死を意味していた。
しまった! こんなビッグウェーブに乗るべきではなかった!
私は後悔した。いや! 違う・・やってやる! やってやろうじゃないか!
絶対に相性を良くしてやる。
そう、これは精神力だ! 出来ると願えば・・出来てしまうという超楽観的精神論パワー!
「いける! できる! 私は必ず成功する!」
などと・・強く息込んでみたものの・・・実際に何かをするわけではなく、ただ待つのみだった。
星に願いを・・♡
そして・・しばらく後、突然鳴り響く古風なチャイム音!
" リンリン♪ "
結論が出たようだ。
私の目前に広がる電脳表示・・【 << おめでとう! 第一次選考通過 << 】と記されていた。
「おい! まだおめでとうじゃないだろ! まだ試験があるのかよ~」
私は思わず声を上げた。
【 << いえいえ、次の試験は簡単なESP(超能力)テストです。
お気楽にお受けください。
ただし、このテストに落ちれば・・永遠の眠りについてしまいます。
いままで挑戦してきた者たちは、ここで次々と沈んでいきました << 】
私の叫びに対して、危険なメッセージが送り返されてきた。
しかもESP!? オカルト!? 超常現象!?
怖い!怖すぎるぞ!
ちなみに・・ルネイス星域聯合の研究所では、この恐ろしいテストによって多数の犠牲者を出したのた。
それゆえに、この人型有機媒体“ヴィラルノイド”は倉庫の奥深くに封印したのである。
略奪されることになってしまったのだが・・・・
(さわらぬヴィラルノイドに祟りなし)
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




