↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

始まりの航宙輸送艦


“ラアラ解放戦線”は壊滅し、私はついに自由を手にした。

もはや、誰にも縛られることはない。


さらに、この浮島は私のコントロール化にある。ここを管理するAIシステムを完璧に掌握したのだ。


そうなると、次の悩みとなるのは、私の管理下となってしまった彼ら採掘奴隷・・"バイオマトン"たちの存在となる。


自我も記憶も持たない半人間的な彼らを人間として扱うべきか、それとも単なる自動ロボットとして見るべきなのか。


なんという難しい判断・・・私も彼らと同じ境遇であったがゆえに・・・人間として尊重してやりたいが、もはや意識も自我もないとすれば、ただの自動機械、生物ですらないのだ。


「うん、保留だ! 気持ち的に納得できない」


私は深く考えるのをやめた。考えれば考えるほど、気が重くなるからだ。

そのうち・・なんとかなるかも!? または気にしなくなる!?

いわゆる責任放棄なのだ。



-*- - - - - - *-



この浮島の中央部付近に存在する宇宙港へと、私は静かに足を踏み入れた。

案の定、そこに人の姿はなく、管理を担っているのはAIシステムのみ。



“宇宙港”とされてはいたが(AIシステムからの情報)、その実態は名ばかりのもので、 広がるのは舗装された滑走路だけ。

管制塔すらないのだ。


いや! ただ唯一存在している物体が視界に映った。

それは“ラアラ解放戦線”所属の航宙輸送艦・・・・何事もなく静かに停泊している。


そして、やはりというべきか・・その航宙艦もまた無人であり、人の痕跡はどこにも見当たらなかった。

ということは・・すなわち、この瞬間・・・私の所有物になったという事なのである。


ラアラ解放戦線”は壊滅し・・この浮島のAIシステムは私の管理下・・ならば、この航宙艦は私の所有になるというわけなのだ。


「慰謝料として・・いただいておくよ! “ラアラ解放戦線”様、まいどあり~」




AIシステム情報からの・・検索

この航宙輸送艦の名は"アインフィス"・・意味は"鉄拳"というらしい。

もちろん、こんな名前は破棄だ。


“ラアラ解放戦線”と関連付けられたくない! 実にいまいましい。

それに・・こんな名前をつけておくと厄介なことになりかねないからだ。

新しい名前は・・完全に反対の意味にしてやろう。


「そうだな~鉄ではなく・・柔らかく非戦闘的なイメージが良いだろう・・うん! あれだ、"ネェイルン"だ」


意味は・・かわいい猫w


私は・・AIシステムを経由して、この航宙輸送艦の運用コンピュータにアクセスした。

そして、わずかな手順を経て、艦名を変更させた。


「ふっ! これでお前の名は・・航宙艦"ネェイルン"」




二つの円盤を重ねたような姿をしている全長1kmの航宙輸送艦・・「うん、大きい! でかい!」

この時代の航宙輸送艦としては・・・大型に入るのだろう。


私は・・頭上で輝く航宙艦を見上げながら、中央にある大型ハッチから・・中へと入って行った。


「ほっおぉぉぉぉ」


この航宙艦の内部は、驚くほど清潔だった。

汚れ一つなく、明るく解放的な通路・・所々に飾られている値打ち不明の絵画や置き物

犯罪組織の所有艦だったとは思えないほどの高級感( 酒と薬物で薄汚れているイメージ・偏見 )


どうやら・・掃除ドローンのおかげらしい。 

実にありがたい。


私はワクワク感に満たされながら、未知なる空間・艦内を探検した。


広大な倉庫に足を踏み入れると、そこには、この浮島で採掘されたレアアース・"グラアスピア"の原石が山のように積み上げられていた。

その傍らでは作業用・人型ドローンがせわしなく動き、原石を精錬炉へと流し込んでいた。


どうやら・・この輸送艦には精練施設も完備しているようである。ちょっとした工場のようだ。


私は、出来立てほやほや!?の精錬されたグラアスピア・インゴットを手に取ってみた。


ずっしりと重い・・なかなかのものだ。

しかもこの光沢! 光加減・・・人の心を魅了してしまいそうである。


ついでにいうと・・このレアアースは重力制御装置に必要不可欠な素材でもあるらしい。


「これは・・つまり・・全部・・・」

私はゴクリと息をのんだ。


目の前にある大量のインゴット。

それが全て・全て・・私のものなのか!?

もしかして大金持ちになれるのでは・・・


・・などと気楽に思っていた時が私にありましたw

そう、話はそんなに甘くなかったのだ。


このグラアスピアは戦略物資であり、公に現金化することはできない。

いわゆる"ご禁制の品"だと知るのは、後になってからのことだった。



「ふっふふふ」


私は上機嫌、夢は膨らむ、未来は明るい!

ルンルン気分で軽やかなステップを踏みながら・・・この輸送艦の艦橋へと足を踏み入れた。


その場所は広々としており、壁面全体をぐるりと覆う巨大モニター。

そして、そこに映し出される外の景色。

それはあたかも、露天艦橋のごとく・・・周囲を一望できる。

よき眺め!


「ほぉぉぉぉぉ」と私は感嘆した。


艦長席をはじめとして・・オペレーター用の席も幾つか用意されているが、当然ながら誰も座っていない。


理論上、この輸送艦は無人での運用も可能だ。

しかし、繊細な操作が必要な時には、人間の手を借りることもあるのだろう。



複雑そうな機器などがずらりと並んでおり・・私は思わず気おくれしてしまったが・・運用コンピューターAIに任せれば問題ないはずだ。

などと・・考えていると、心地よい美声が聞こえて来た。


『新しき主様(あるじさま)、お初にお目にかかります。私はこの艦のコンピューター"アキ2403"』


おっ! 良いタイミングだ!

どうやら、この輸送艦を支える運用コンピューターAIの声らしい。


「あ~、AI君、よろしくな!」


目前のモニターに私の発した発言が、文字表示された。

対話型インターフェイスらしい。


『主様(あるじさま)の本名が未登録です。お名前をお聞かせてもらえませんか!?』


おっと! 名前を要求された。

これは困ったぞ。記憶が無いのだ。何も覚えていない!


いやまてよ! 性別すら・・わからないではないか。


ふとモニターを見てみると・・自分の姿が映っている。

それは、人の姿をしているだけの鉄の塊・・・

二足歩行しているドローンにすぎないのではないか!



これでは人前には、出られない。

間違いなくドローン扱い・・物扱いされ、人間として認めてもらえないだろう。


そうだ! ここはこの艦の優秀なるAIに尋ねてみよう。


「私は人間に戻りたい。その方法はないのか!?」


そんな発言に対して・・膨大なデーターがモニターに表示された。

運用AIは何かを検索しているらしい。


そして、しばらくしたのちに・・何かの答えを出したようである。


『倉庫W-20のコンテナ内に・・"ヴィラルノイド"が保管されており、それを利用することをお勧めします』


そんな運用AIの回答に私は驚き・・歓喜した。

「おっおおおっっ!」


本当なのか!? 私はもう一度問い直してみる。


「AI君、間違いなく・・・"ヴィラルノイド"なのだな!?」


『 はい、人型"ヴィラルノイド"で間違いありません』


聞き間違いではなかった!

何と素晴らしき答え・・・飛び上がりたいほどのうれしさ!

しかも、それがこの艦の倉庫に保管されているとは! 何と運の良いことか! 



ちなみに・・・"ヴィラルノイド"とは有機体の人造人間・・・要するに人間の体そのものなのだ。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。