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うさ耳くん、魔物と死闘する ②

 基本的に俺のよく向かう山には見知った魔物しかいない。このあたりに生息圏を持ち、村人たちも対処法を知っている魔物ばかりである。それこそ大人では対処できないような危険な魔物ってそうそういない。

 たまに怪我をして帰ってくる村人もいるけれどそのくらい。そうじゃなければ、俺も山に入るのを許可されなかっただろう。

 時たまこの世界には、危険な魔物が現れるとは聞いている。ただ俺はまだ見たこともない。冒険者達から聞いた強大な魔物の話を聞くと、いつか戦ってみたいという思いが増す。

 獣人として産まれたこともあって、俺は好戦的な内面も強いんだなって自分で自覚している。ただ一度死んで転生した記憶があるからこそ、死にたくはないなってそういう気持ちでいっぱいだ。

 だからもし仮にそういった魔物と対面した時は、まず自分の命を優先することが第一だ。

 だって幾ら有名になったとしても全ては命があってのものだ。俺は前世で若くして亡くなったのもあって余計に長生きしたいなと思う。

 誰かから後ろ指をさされたり、何か問題が起こったとしても、結局生きていればそれでいいというかそんな感情はある。

 うん、生きて行くことって大事。

 死んだらそこで終わりだけど、生きていればどうにでもなる。だから俺の目標って生き延びること。いや、まぁ、男としては歴史に名を残したいとか色々あるけれど!!

 あとはそう、好きな女の子を守れないのも嫌だからノアレのためなら何だってする。危険なことだってそう。でもそれ以外の事に関しては死に物狂いになったりは多分しない気がする。その時にならないと分からないが。

 でもそう。全てを守れるだけの強さって俺はまだ身に付けられていない。これで産まれながらの強者とかだったら、俺どうなっていただろう? 寧ろ、この世界のことを舐めてかかってしまったかもしれない。

 自分はなんでも出来るって勘違いしてしまったら、きっと大変だっただろうな……。それこそ調子にとって失敗ばかりしてしまっていたかも。そう考えると堅実に、少しずつ強くなれるのって有難い。

 そもそも最初からそういう力を持ち合わせているだと、ある意味大惨事ではあるんだよな……。だって自分で努力もせずに強いって、もし仮にその力がなくなった時にどうやって生きて行くんだってhなあ詩ではあるし。

 俺はいきなり力を手にする系よりも努力をして強くなった系の話の方が好きだったなと前世のことも思い出したりする。

 それにしてもさ、前世は当然自分がうさぎの獣人に転生するなんて考えたこともなかったから改めて今の状況って不思議だよなと思ったりもする。

 正直相変わらず可愛いままの自分を見るといつかかっこよくなれるんだろうかという心配はある。でもまぁ、それはそれ。仕方がないので受け入れようとすっかり思っている。

 そんなことを考えつつ、そろそろ村に戻るかと呑気に思っていた。

 ただその時、魔物の鳴き声が聞こえてきた。

 それは切羽詰まったような鳴き声で、そんな声を出せたのかと驚いた。だってこれまで山でぶらぶらしていた時に、そんな声を聞いたことなど俺にはなかった。

 ……嫌な予感がした。だって明らかにやばい。獣人は人間よりも本能的に動く種族だ。あと勘が良かったりもする。

 その勘が、やばいと言っている。

 このままここに留まっていたら酷いことになると分かって、すぐさま逃亡することを決意した。

 魔物なのか、それとも自然災害なのか。そのあたりは不明。一先ず村へと戻ったらすぐに皆に報告をして、冒険者に調査でもしてもらった方がいい。だって今は山の中だけでの出来事だったとしてもこれから村への被害が起きないとは限らない。というか、まず起きる。

 こういうのは、対応を怠ればすぐに大変なことになる。この世界で生きている俺はそれを知っている。

 ……そんなことを起こらないでほしいなんていうのは、結局希望観測でしかない。そんなことを考えてはいけない。一番良いのは、最悪の状況を考え続けること。

 それで起きなかったらそれでいいし、起きた時は事前に準備をしているからこそ対応が出来るのだから。

 即急に早足で動いていく。

 獣人であり、幼い頃から鍛えている俺のすばやさは同じうさぎの獣人たちの中でもかなり速いほうだ。

 だから並大抵の魔物じゃなければ、逃げ切れるはず……だと思っていたのだけれども、地面を這いずる音が聞こえてくる。

 嫌な予感がまたした。

 やばいと思って、よけたらそこになにかの液体が飛んでいた。おどろおどろしい紫色の液体が飛び散っている。

 明らかに身体に悪そう。毒かなにかだろう、これ。

 振り向いた先に居るのは、巨大な蛇が居た。蛇って、普通のやつでもやばいだろう。異世界仕様の明らかに強そうな蛇に、俺は戦慄した。



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