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邪神と狂人の異世界無双戦記  作者: 不知火 翔
第3章 侵略編
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第38話:アクシデント

 ピピピピピ。


 あー、うるさい。


 なんなんだ……。


 俺は手を伸ばして枕もとの目覚ましを無意識に止める。


 俺は眠いんだ。


 再び急速に意識が闇の底へ沈んでいく。


 そして……。


 ハッ……!


 何時間経っただろうか。


 唐突に意識が覚醒した。


「や、ヤバい! 目覚ましがちゃんと鳴ったのに止めてしまった!」


 それも仕方ないだろう。


 睡眠を全くとらなかったのだ。


 そして精神的に疲労の溜まる初めての戦闘をこなしたんだ。


 疲れていて当たり前。


 3時間の睡眠で足りるわけがない。


 人間の睡眠は3時間でもほとんどの疲労が回復するという説があるということをどこかで聞いたことがあるな、と思い出して3時間に設定したのだが、流石に起きれなかったか。


 もう少し目覚ましを遠くに置いておかなければいけなかったな。


 まあやってしまったことを悔やんでも仕方がない。


 まずは今の時間だ。


 今は、えーと……16:38か。


 洞窟に帰ってきて、すべてのDPをゴーレムに変えて軍を送り終えたのが9時だから、結局7時間38分も寝てしまったのか。


 間違いなく戦闘はもう始まってるな。


 レイラでまともに指揮が取れているかは心配だが、こればかりは信じるしかない。


 今は急いで兵を送るだけだ。


 俺はこの7時間38分でたまった約120万DPをゴーレムに変えて、レイラのもとへ送るのが仕事。


 問題はミスリル加工ストーンゴーレム120体送るべきか、12000体のミニアイアンゴーレムを送るかだ。


 さっきの戦いでは、ミニアイアンゴーレムが死んだら、兵を送るものがいなくなってしまうので、無駄に死なせることができなかったが、今は違う。


 DPがたまっても作り出すことができなかったさっきの状況と違って、今は俺がダンジョン内にいる。


 つまり質より量作戦が可能という訳だ。


 精鋭の数はもう十分だ。


 ここからは物量に物を言わせて敵を帝国解放戦線のような精鋭を数の力で足止めして、その間に精鋭が一般兵の数を減らしていく作戦にする。


 俺は急いでミニアイアンゴーレムを12000体作成すると、レイラのもとへ送った。


 そして……。


「寝過ごして援軍を送るのが遅くなった。悪い。今ミニアイアンゴーレム12000体を送った。余裕があれば兵を捕らえて持ち帰ってくれ」


 俺はレイラに命令する。


 これは主人が奴隷に対して使える伝令と言うシステムで、遠く離れた場所にいる奴隷の頭に直接主人の声を届けることができるシステムだ。


 奴隷から主人に声を送れないのが残念なところだが、贅沢を言っても仕方がない。


 さて、俺は次から次へと溜まっていくDPをせっせとミニアイアンゴレームに変えていきますかね。


 昔はいちいち時間が掛かっていたこの作業も、今や1秒もかからずできる。


 昔のペースだったら、作る速度よりDPがたまる速度の方が早かったな。


 しばらく俺が戦争中だというのに呑気にマスタールーム内で寝転がりながらピザを食していると、ゴーレムの大軍がダンジョン内に入ってくるのがモニターに映る。


 よしよし、ダンジョンの奥の方に新しく作った休憩所にぶち込んでおくか。


 俺はミニアイアンゴレームに命令を下す。


 しかし途中、俺はある事に気が付いた。


 ん?


 何か紙のようなものを持っているミニアイアンゴレームがいるな。


 俺はすぐさま転移でそのミニアイアンゴーレムのもとへ向かった。


 そしてそのミニアイアンゴーレムから紙を貰う。


 その紙には、血文字でこう書いてあった。


『劣勢ではありますが、なんとか耐えることができています。兵も捕らえてそちらに送ることもできるでしょう。そして、あともう50000ほどミニアイアンゴレームを送ったら、作るゴレームをミスリル加工ストーンゴーレムを送ってください』


 おお、助かった。


 レイラも指揮が意外と取れているようで安心した。


 注文も付けてきている。


 レイラを信じて俺はここで待つとするか。


 あと、あとでボールペンとA4コピー用紙ぐらい送っておくか。


 返事なんてしなくてよかったのにまさか血文字で手紙を書いてくるとはね……。

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