第31話:圧倒
『オリハルコンゴーレム! 五体とも外套を着た連中のもとへ!』
俺は中にいたオリハルコンゴーレムにそう命令を出す。
そしてさらに俺の護衛のオリハルコンゴーレムもすべて送った。
俺自身は剣も一応持ってるし鋼鉄の鎧もある。
ある程度の魔物になら襲われても問題ない。
あいつらは倒すのではなくとらえたい。
あんな実力の持ち主が一体何者なのかを。
そのためだいぶ過剰なオリハルコンゴーレム10体を送った。
これで無理ってことは二だろうが、もし無理なら俺にはお手上げだ。
「ん、なんか来たぞ?」
どうやら連中も気が付いたようだ。
だがそれは城壁の中から出てきたのがオリハルコンゴーレムだと分かった瞬間……。
「や、ヤバい。オリハルコンゴーレムが5体!」
「逃げるぞ! 一体なら頑張れば行けなくもないが五体は無理に決まってる!」
「だな!」
そういって連中は振り向いて一目散に逃げだす。
オリハルコンゴーレムは強さは圧倒的だが、移動速度には難があった。
それに比べて連中は強さだけでなく移動速度も持っている。
普通に立ち向かったら逃げられる。
だから……。
「な……! さらに後ろからオリハルコンゴーレムが五体……!」
「う、嘘だろ……」
「や、やるしかねぇ! 上手く包囲を崩して脱出するぞ……」
俺は自分の護衛として置いておいたオリハルコンゴーレムを連中の後方に向かわせた。
これで完全に包囲した。
後は包囲を崩さないようにして相手の足を封じるように戦闘をしていけば……。
「ぐ、ぐぁぁぁ! 足が……」
「クソ……。ヤバいな……」
「う……勝てるわけねぇ……」
残すのは1人でいい。
後の2人は殺してしまって構わない。
結局ものの数秒で耐えられなくなり……。
「ぐぁぁぁぁ!」
一体のオリハルコンゴーレムが連中のうちの1人の心臓を完璧に貫いて……。
「カハッ!」
他のオリハルコンゴーレムが2体がかりで腹と頭を潰す。
「ギャァァァ!」
そして最後に殺さないようにと命令しておいた連中のリーダーらしき人間の足2本ともをオリハルコンゴーレムが切り取って、先頭の決着はあっけなくついた。
俺たちの完全勝利だ。
『よし、オリハルコンゴーレムは元の仕事に戻れ』
俺の命令で、街の中にいたオリハルコンゴレームは街の中へ。
俺の護衛のオリハルコンゴレームは俺の方に向かってくる。
さて、俺もやつのもとへ向かいますか。
「よし、レイラ。行くぞ」
「……はい」
レイラには双眼鏡を渡して無かったし、ここから現場までは肉眼で視認できるような距離じゃない。
そのため、何が起こったのかは分かっていないだろうが、よからぬことをしたということだけは分かったようだ。
不安だという彼女の心情がよく分かる。
まあそんなことは当然知ったこっちゃないが。
俺は戻ってきたオリハルコンゴーレムと共に、機動力を封じた謎の連中の1人のもとにやってくる。
「!? なんだ? 人間か?」
男は足が無い中、必死に手を使って後退る。
「その通り。さて、今度はこっちの質問に答えてもらうぞ。お前らいったい何者だ?」
「……黙秘する。この組織の情報は死んでも漏らせない!」
男はそう言って俺を睨みつけてくる。
真面目だねぇ。
俺ならこんな状況命惜しさにしゃべっちゃうと思うけどね。
まあ喋って解放してくれるようなやつがどれだけいるかはさておき。
「そうか。なら拷問するしかないな……」
俺は不敵に笑った。




