18.人生はギャンブルに似ている
「私、ざまあ系やスカッと系を観ても全然スッキリしないんだよね」
「私もしませんよ」
「なんであんなに人気なんだろう」
「脳が騙されてるからじゃないですか?」
「どゆこと?」
「ああいう作品って、ギャンブルに似てると思うんですよね。ギャンブルに嵌るような人って、1万円負けていようが、最後に5,000円取り返せたら勝ったような気持ちになってしまうんですよ。結果はマイナス5,000円で負けているのに」
「それをスカッと系の作品に置き換えると、話の大半は嫌な気持ちで居続けるのに、最後の最後でスカッとする何かがあって、最終的には気分が良くはなる、けど、実際には視聴の9割以上で不快な気持ちを味わう必要があるから、全体的に見たらマイナスってことね」
「その通りです。・・・・・・何か嫌な事をしてきた人に、何かをやり返したとして、それで嫌な出来事が全て帳消しになる訳ではないですからね。溜飲が少し下がるだけです。・・・・・・仮に自分の大切な人が殺されたとして、その殺した相手が死刑になったとしても、プラスマイナスゼロには絶対ならないですよね?」
「そうだね。大切な人が殺された時点で、もうどう足掻いてもマイナスからは抜け出せない。・・・・・・そう考えると、罪ってのは何をしようが償えるようなものではないんだろうね。被害者目線だと」
「そうだと思います。本当に」
「・・・・・・」
「あ、別にそういう系の作品を貶したいとかの意図はないですよ? ただ、よくよく考えて全体的に見てみると、思った以上にマイナスになっている事が多いんじゃないかと、まあそれだけです。勿論、内容にもよりますけどね」
「そうかもね」
「・・・・・・そして、それは人生にも言えると思ってます」
「全体的に見ればマイナス?」
「人生って、局所的に見ればちょくちょく良い事があったりして喜劇のように思えますが、全体的に見れば悲惨ですよ」
「逆じゃなくて?」
「人によっては逆の人もいるでしょうけどね。・・・・・・自分の人生がプラスかマイナスかを確かめる良い方法がありますよ」
「何?」
「もし、今までと全く同じ人生をもう一度歩まなくてはいけないとなったら、刹那さんはどう思いますか?」
「・・・・・・嫌かも」
「嫌ですよね。私も嫌です。と言うより、ふざけるんじゃない、俺が何をしたっていうんだ、勘弁してくれ、それこそ正に地獄じゃないか、という気持ちが実際に考えた時に思い浮かびました」
「・・・・・・」
「別に嫌な事ばかりではなかったですよ。良い事や楽しい事、幸せだと思える事もそれなりにありました。ですが、もう一度全く同じ人生を歩まなくてはいけないと思ったら、途轍もない抵抗を心の中で感じました。・・・・・・私にとって、今までの人生は圧倒的なマイナスだったんです。刹那さんにとっても、そこそこのマイナスだったみたいですね」
「そうみたいだね」
「全ての人の人生がマイナスということではないです。ギャンブルに勝つ人もいるように。ですが、人にはそれぞれの期待値があって、基本的には、そのマイナスの期待値に向かって進んでいきます。時々、局所的に勝ったりすることで感覚が麻痺することもありますが、よくよく考えて、全体的に見てみれば、実はマイナス、という人が殆どなのではないでしょうか。まあ、気付かない方が幸せだとは思いますけどね」
「・・・・・・そうなのかもね」
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