10 友達?
その日の放課後。
流石に……。
流石にさ?いくら一人が好きな僕でも……。
「じゃあね、横峯君、また明日。」
そう言って僕の横を通り過ぎようとする山野さん。
ああ!!もう!!!
「山野さん、一緒に帰る?」
「……えっ?」
「だから、一緒に帰る?」
「え、あっ、い、いいの?」
「いいから言ってるんだよ。」
「あ、う、うん!」
ちょっと笑顔になった。
うーん、僕は何をしたいんだ?
「じゃあ、帰ろう。」
「あ、は、はい!」
そう言って僕の後を付いてくる山野さん。
「それで?僕の読んでた小説、他に読んだの?」
「う、うん!で、でもね?あれもちょっとえっちだった……。」
「い、いやいや!!そこが売りの小説じゃないから!!」
「え?そうなの?」
「そうだって!!そこじゃなくて……。」
その小説の売りを必死で説明した。
読めばわかるはずでしょ?!!
「うーん、確かにそこは面白かったんだけどね?」
「いや、普通そこが心に残るでしょ!!!」
「そうなんだけど、ちょっと刺激が強かったの。」
「そうかなあ?あれぐらいは普通だよ?」
「まだこういう小説を読みなれてないからかなあ。」
「まあ、そうかもね。慣れだよ、慣れ。」
「ふふっ。そうなんだね?」
今までこんな風に小説の感想を言い合うなんて経験、した事無かったな。
僕とは読んでみての感じ方がちょっと違う感じがするな。
へえ、女の子からすると、主人公はそう見えるのか。
男からすると、またちょっと違うんだけど。
「あー、なんか楽しい!私、あんまり小説とか読んだりしなかったから、こんな風に友達と感想を言い合ったりとか、新鮮!」
「……友達?」
「あっ!ごめんなさい……。横峯君からしたら、私、友達じゃないよね?ごめんね……?」
「……。」
友達……。
僕にも、いたんだよね。
中学校のあの頃以前は……。
もう懐かしく感じている。
どんな感じだったっけ?友達って。
こんな感じだったのかな……。
「……友達、か。」
「えっ?」
「僕にも居たんだ、友達。もうずいぶん前だったけど。」
「……聞きたいな。横峯君のこと。」
「どうして?」
「どうしてって、……私は横峯君を友達だと思ってるし……好きな人でもあるから……。」
「……それ、本気なの?」
「うん。でも私、最初の頃、横峯君に酷い事言ってた。だから、ずっと謝りたかった。」
「……。」
「謝る前に、横峯君に付き纏って、自分の気持ち押し付けて、なんか色々間違えちゃった……。」
「……。」
「順番が違ってたね、本当にごめんなさい!私、酷い女だった。横峯君がクラスから浮いてたから、それを利用して内申点稼ごうなんて。」
「……。」
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」
「……それはもういいよ。僕も承知で受けた話だしね。」
「あ、あのね?もし許してもらえるなら、友達……友達になって下さい!!」
友達……。
友達か……。
「あ、あの、ダメならダメでいいの。横峯君にそういうの押し付けたくないし……。」
……。
「ホントに嫌なら断ってね?……あ、それでも話しかけちゃったりするかもだけど……。」
「……わかったよ。友達……。友達なら。」




