コレットにも襲われる
自分の部屋に戻った私は、ちょっと落ち込んでいた。
「マリー……ちょっとあれ酷い……」
癒やしだと思ったのに……。
私の気持ちを無視したキスはちょっと酷かった。
私の繊細な心がなんか傷ついた。
悶々としていると、扉を叩く音がしてコレットが本を持って入ってきた。
あ……また、頭痛の種がやってきた。
「アリス、んー」
コレットが本を横に置いて、即座にキスの体勢を取っている。
「ええ……?」
予備動作もいきなりなしでキスしろって?
それは無理だよ、コレット。
昨日まで出来てたけど、今日はちょっと無理。
「コ、コレット、今日はキスはお休みにしようか?」
そう言うと、コレットは目を開けてあからさまに不満そうな顔をした。
「キスに休みとかありません。私にもご褒美ください」
「私にもっていうけど、今日はレベッカにはキスしてないよ」
「レベッカはレベッカ、私は私です」
コレットが理屈をこねる。
なんと言っても、とにかくキスをしないと納得してくれないっぽい。
「とにかく、今日は私は疲れてるの。だから、今度にしよう?」
「嫌です」
コレットがすごく嫌そうな顔をする。
そういう顔するなよ~。
そういえば、コレットもレベッカもいつも私からキスをしている。
レベッカはそっちからキスして欲しいと言ったらキスしなかったから、コレットも同じかもしれない。
試してみる価値はある。
「じゃあ、えーとね、私は今日はキスする気分じゃ無いんだ。だから、コレットからキスするのはどう? できる?」
断りそうな雰囲気を感じて余裕ぶって聞く。
「え、私からキスしていいんですか?」
コレットがキョトンとした顔をする。
あれ? 想像していたのと反応が違う。
「あ、無理しなくていいんだよ。レベッカはキスするのを断ったし」
そう言うと、コレットは首を横に振った。
「勝手にキスするのは悪いと思って控えていましたが、アリスに許可してもらえてうれしいです」
コレットが笑みを浮かべる。
あ、あれ……?
「そ、そうなの? 悪いと思ってたの? あれだけ強引で……?」
価値観が分からない。
勝手にキスするのが悪いと思っていたのに、あれだけ強引にキスを強要してくるのはOKなのか。
常識が壊れる。
「じゃあ、キスをするときは上から行きたいので、ベッドに座ってください」
「え」
コレットより私の方が大分背が高いので、コレットからキスをしようとすると背伸びしてキスする感じになる。
そうではなく、身長を合わせたいらしい。
「ほ、本気でやるの? 私はちょっと気分が乗らない……」
「さっきいいって言ったじゃ無いですか」
コレットが怒る。
「わ、分かったよ……」
ベッドに座る。
すると、立っているコレットの方が背が高くなる。
コレットの眼光が鋭くなってる。
ちょっと待って、普通に怖い。
「ちょ、ちょっとコレット……?」
「行きます」
コレットががしっと私の頭を掴んだ。
ちょっと、本気すぎるよ、この力の入れ方は。
「いや、待って……」
と言いかけたところで、唇を押しつけられた。
「んむぅ!」
コレットが私の唇に吸い付いてくる。
ギブアップを表現するために、コレットの背中をバンバン叩くが、コレットは全然離れない。
思い切り抵抗したところで、ようやくコレットが離れた。
「ぷはっ……コ、コレット、怖いんだけど、ちょっといい加減に」
「やり直しです」
「むぅ!」
また唇を塞がれた。
なんなんだ、これはーーー!!
◇解説
これ、一時的な流れなので、そのうち我に返ります。
そこまでがちょっと長いんだよね。(改稿で伸びちゃったので)




