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異世界でTSしてメイドやってます  作者: 唯乃なない
第1章 バロメッシュ家
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ナイス下着

 結局、その下着が来たのは4日後だった。

 現代日本とは物流のレベルが違うから、それでも早いほうだろう。

 それまでの間は下着を着けずにメイド服を着るわけにも行かず、結局寝間着で過ごした。

 下着も着けずに寝間着一枚で廊下を歩き、執事のガストンや主である男と出くわしたときは素知らぬ顔で挨拶をする。

 体調が悪いときはなんとも思わなかったのだが、感覚が普通になってきたので恥ずかしいことこの上なかった。


 まぁ、それももう終わりだ。


「よし……いいぞ。完璧だ」


 例の下着インナーは素晴らしかった。

 上下セットで買ったが、以前の安い下着とは雲泥の差で非常に滑らかな質感だ。

 高ぶっていた皮膚の神経が落ち着いてきたこともあり、この状態で動いてもなんともない。


 ちなみに、今なら前の安い下着でも大丈夫かと思って試しに着てみたが、やっぱり駄目だった。


 そして、メイド服を着て手鏡であちこちを確認しているところだ。


「よし、いいぞ。かわいい! いいぞー、いいぞー、実にいいぞー」


 メイド服と言っても、結局は実用的な服であり、おばさんが着ていても違和感がないようなデザインになっている。

 しかし、なにしろそれを着ている素材が素晴らしい。

 自画自賛ではない。

 純然たる客観的評価だ。


「うほおおおおおお、かわいいいいいい! いい! いい! これは、決まってる! すげぇぜ!」


 小さな手鏡を見ながらいろんなポーズを取る。

 カメラがあったら、千枚くらい撮影したい。

 この世界にカメラがないのが残念だ。


 いや、印刷技術が発達している世界だから、高価だとしてもカメラくらいあるかもしれない。

 このかわいらしさ、なんとしても記録して永遠に残したい……!!


「って、なにやってんだ、俺!」


 真面目な顔をすると、手鏡にも一瞬男らしい表情が現れた。


 ちなみに、この看病されていた部屋が俺の部屋として与えられることになった。

 戸棚を自由に使えるようになったので、そこに自分の替えの服や下着とともにデジタル腕時計を隠した。


 そして、今俺は一人だ。

 下着が届いたときにマリーが着替えさせようとかいいだしたので、断って出てもらったのだ。

 またなにをいじられるか分かった物じゃない。


 マリーは面倒見がいい良い人なんだけど、スイッチが入るとドSになるらしい。

 ただレベッカによると、今まではそんなそぶりはなかったとのことで、俺のあの仕草がなにかを呼び覚ましてしまったらしい。

 うう、恐ろしい。

 こっちは無防備だし、立場も向こうが上なのだ。

 変なことを強制されて二人きりだったら、うまく断れる自信が無い。


「ま、とにかく、これからキリキリ働いて借金を返して……あぁ」


 そこで勢いがくじかれた。

 あの下着、上下のセットで給金一月分だそうだ。

 3セット買ったから三ヶ月分。


 正確に言えば、給金一月が4200エリスで、下着のセット価格が3800エリスだ。

 1エリスが5~20円ぐらいの感覚なので、10倍しておけば日本人の感覚に合う。


 まぁ、本当の貴婦人が使う物と考えれば約4万円の下着は安いぐらいかもしれないが、自分のとってはとんでもない金額であることに間違いは無い。

 多分、同じような素材でもっと安い物があると思うのだが、調べようがない。

 結局、家が金持ちのコレットと同じブランドのものを買ったのだ。


 ああ、ネットかせめてカタログがあればなぁ。


「い、いやがんばれ俺。とにかく借金を返して義理を返して、それから日本に帰る方法を探そう」


 そう、来ることができたんだから、帰ることもできるはずだ。

 落ち込んでいても仕方ない。

 とにかく前に進むんだ。


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