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成長中

主人公が心の中で母親を“母親”だったり“ママン”と呼びますが、主人公の気分で変わっています。

 


 さらに1ヶ月が経った。魔力がゆっくり動くようになった。血管に沿ってヨットに乗ったかのように。


 他に変わったことと言えば、声を出せるようになったことだ。「あー」とか「うー」くらいしか喋れないけれど、そのお陰でママンやメイドさんとのスキンシップが楽しくなった。さらにたくさん話しかけてくれるからな。言葉を早く覚えたい民にとってはありがたい。


 あとはおっぱいを飲むことに慣れてきたことが大きい。ぶっちゃけ食欲には抗えないしそもそもよく目も見えてないのでただのご飯って感じだが、若干の気恥ずかしさも残っている。



 なんだかんだで何もできていないが生後1ヶ月なんてこんなものだろう。すぐに電池が切れて寝ちゃうし。

 とりあえず魔力を増やす方法をこれからも探っていこう。





 半年経った。

 なんと!なんと!寝返りがうてるようになりました!

 すごい小さな変化だが俺にとっては自由にコロコロできるのはとても嬉しいことで、初めて寝返りがうてた時は手を叩いて大喜びした。横にいたママンが。


 あとママンが俺を抱えて歩くようになった。俺を抱っこして家の中を歩いたり、この前は外に連れ出してもらった。

 その時は家の庭に出たようで、広い地面と木と岩があるのがわかった。そして初めてこの世界の空を見たが、地球と同じく青かった。空気の綺麗さは段違いだったけれど。


 声を出すことも少し上達した。まず笑い声を出すことができるようになった。そして会話の内容がかすかにわかるようになってきた。「パパ」と言わせたいらしい。誰がとは言わないが。



 魔力が!放出できるようになりました!

 これは完全に偶然だったのだが、いつも通り魔力の操作をしつつ体を動かしていたら、寝返りをすると同時に動かした手から魔力が出ていく感じがして、体の中の魔力が減ったのが感じられたのだ。その時は魔力が減ったことで疲れのピークが来てすぐ寝てしまったのだが、起きたらなんと、体の中の魔力量が何倍もの大きさになっていることに気がついた。

 俺はとうとう魔力を増やす方法を見つけたのだ。楽しくなって何度も手から放出していると、魔力が減ると疲れるという関係に気がついた。魔力量が無くなったからってただ寝てしまうだけだったのであまり気にしなかったんだけれど、その時はあまりに眠っているもんだからママン達に心配されてしまった。


 何度も魔力を空にして増やすを行なっているとだんだん消費が追いつかなくなってきてしまっていた。どうやったら空にできるだろうか、と考えた結果、魔力を放出する出力を上げればいいと気づいた日から魔力操作にもより一層の力を入れて今では日々、起きてる間は体中から魔力を放出している。それでも中々魔力が尽きなくなってきているのだ。





 魔力放出の出力を上げつつ、魔力操作を高めつつ、魔力量を増やす生活を続けて1年が経った。


 俺の成長でいうと、1人で歩けるようになった。しばらく前までは誰かに手を引いてもらって歩いていたのだが、ママン達の前で練習の成果を発表して1人で歩くと大盛り上がりをして、それと同時くらいに俺の1歳の誕生日があったので家の全員のテンションが高かったのを覚えている。


 まだふらつくが、1人で歩けるようになったことで、家の中を散策できるようになった。

 この前は書斎を見つけて、そこにあった絵本をメイドさんのメリーに読ませてもらったりして字を覚えている最中だ。


 ふと今、お座りしていてて思った。

 魔力量も十分だと思うしそろそろ魔法を使ってみたい。魔力操作や放出は目に見える変化がなかったので魔法感がなかったのだ。魔法感!のする魔法を使いたい。とは言っても前に読んでいた数々の異世界モノを見ていると、この、はじめてのまほうで事故を起こすみたいなパターンをよく見る。俺はただでさえ《魔力極大》を持っているのだからファイアーボールなんて使おうものならこの家ごと吹き飛ぶ可能性もあるのだ。ファイアーボールなんて使えないが。

 なので安全そうな《光魔法》の中から『ライト』の魔法を使おうと思う。この魔法はただ灯りを出すだけで、殺傷性は全くないので最初に試す魔法としてはベストだろう。


 ただ、一応保険として目を瞑ったまま『ライト』を使おう。天空の城的なバ○ス的なことにはなりたくないものね…

 こんだけ保険かければ十分だろう。初めての魔法に緊張して過剰に安全策をとってる気がするけれど。


 目を閉じて右腕を前に伸ばす。イメージとしては、小学校の理科の授業で使った豆電球サイズの灯りを指の先に灯す感じで魔力を細く絞ってゆく。

『ライト』の使い方は頭の中に入っているので後はずっと訓練している魔力操作でうまく操るだけだ。

 できる限り魔力を絞って…

 よし。


「らいと」

 滑舌まだ甘いな……


 目を閉じているのでよく分からないが、魔力がわずかに減る感覚があるのでおそらく発動しているのだろう。少しずつ目を開けてゆく。

 おぉっ

 伸ばした右手の人差し指の先に想像した通りの豆電球程度の灯りが点いている。成功した!なんとも魔法っぽいぞ!

 流す魔力を増やして光度が上がるか試してみる。

 豆電球が蛍光灯くらいに明るくなった。もう少し魔力を込める。

 水銀灯くらいになった。眩しくて見てられない。


 そういえばこんなに明るいのに熱を一切感じない。熱を感じるタイプの灯りは光魔法にはないようだ。がしかし、俺の中にある《光魔法》の“亜種”の部分が熱を発生させることもできるぞと主張している。自意識があんのか?ないよな?


 一度灯りを豆電球まで戻す。“亜種”の感覚が示す通りに力を込めてみると、途端にほのかな熱を感じるようになった。おぉ!これは新たな発見だ。光量を大きくして熱量も大きくしてみる。


 あっつ!

 蛍光灯を過ぎるくらいの光量にすると触っていられないほどの温度になった。

 でもこれはうまく使えば攻撃にもなりそうだな。

 まだまだ魔力的にも温度を上げる事ができるのがわかるので、後は手から離して操ることができるかどうかだ。



 今、床にお座りしている俺の周りには拳ほどの大きさの『ライト』の魔法が3つ浮かんでいる。時計回りにもその逆に動かすこともできるし、上下にだって自由自在に動かすことができる。

 有り余っていた時間でやっていた魔力操作がいい影響を及ぼしたのか、手から飛ばすことは簡単に出来たし、3つも同時に生み出すことができた。今はその3つを自在に操る練習をしているところで、3つの『ライト』を出して幾分もしないうちに容易に手足のように動かせている。これも魔力操作のお陰だろう。

 この状態でそれぞれ温度を上げる事も難しくなかった。


 あとは今体の周りを浮遊させている『ライト』の魔法をもっと素早く動かせるように、魔力操作の訓練だな。がんばろう。

作ったそばから投稿(´・ω・`)

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