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腰ぐらいの長さでちょっと巻いてる金色の髪、鼻立ちのいい顔につり上がった青い瞳、少し赤い紅を塗った口、可愛いより綺麗な感じで真っ赤なドレスを着た女の子。……うん、さすが貴族だね。子供でもオーラが。
「さぁ、挨拶を」
そう促された女の子が一歩前へ出てきた。
「初めて。わたくしダンデルト・ルジーナ侯爵の娘、マリア・ルジーナですわ」
ドレスの左右をつまみ頭を下げ挨拶をした彼女。おぉ、綺麗な挨拶。……ハッ!! 綺麗な挨拶に見とれてしまった。
「は、初めて。ブラド・サオミの娘、フミナ・サオミです」
ぺこりと頭を下げる。やり方知らないので簡単な挨拶だけど。
娘同士の挨拶が終わりお父さんとダンデルトさんは話しに花を咲かせていた。……よーし話し掛けて友達に。
「あの「あなた平民ですわね?」……う、うん。そうだよ」
「……そう」と言って頭からつま先まで見定める様に見てクスクスと笑い出した。おぉっと。
「お父様が紹介したい人がいると言うから馬車から降りて来たのに……、まさか平民とは。こんな子をわたくしに紹介するなんて」
……今この子に馬鹿にされた?
「お父様もお父様ですわ。平民の友達がいるなんて、きっと他の人に知られたら笑い者ですわね。一体何を考えているのでしょうね」
……うわ、自分のお父様さんをディスりやがった! 自分のいいたい事を言って満足したのかふぅ、と一呼吸して腰に手を当てた。
「……ま、いいですわ。あなたは特別にわたくしの友人にしてあげますわ。お父様のお願いでもありますし。ただし、わたくしのことはルジーナ様と呼ぶこと。わたくしと話すときは敬語で話すこと。わたくしの後ろを歩くこと。わたくしの言うことは絶対聞くこと。断るなんてしないでちょうだい。それとわたくしの荷物を持つこと。……他にもあるけどまぁ、今はこれくらいにしておきましょう」
……はい?
「後のことは言ったことが出来てから教えて差し上げますわ」
いやいやちょっと待て。え、何こいつ何なんだ? チョーわがままじゃん。今私ポカーンって顔になってる。貴族だからわがままなんだろうなと思ってたけど、ここまでとは。想像を越してたよ。後今言った事って友達と言うより、
「召し使いみたい」
ぼそっと言ったつもりだったが「あら」と言いながらクスッと笑う。……聞こえてた。
「何を言い出すかと思えば……あなたは平民、わたくしは貴族。世界が違うの。わたくしが使って上げると言ってるの、ありがたく思いなさい」
……あー、うん。わかった。これは。
「さぁ平民。わたくしの言うことをしっかり聞いて働きなさい。そしてわたくしのために動きなさい」
両手を広げて崇めなさいポーズ。なんかカッチーンて来た。もういいわかった。そういう考え方している子と友達なんて、
「ヤダ」
こっちから願い下げじゃー!!
遅くなり申し訳ありません。
読んで頂きありがとございます。