最終話 人生そんなに上手くいかない
「あ、あの?」
ダニエルとの婚約は無しになり、リアンとの婚約が約束された数年後、私もリアンも学園に入る年になった。
そして学園の入学式当日、一人の青年に呼び止められた。
天使のような金髪に、宝石のようなエメラルドグリーンの瞳。
嗚呼、やはり、乙女ゲームの世界は私に優しくないらしい。
「お久しぶりですね、いつかのウエディングドレスを来たレディ。」
どこかで見たスチルと同じほほ笑みで、目の前の青年...いや、ゲームの攻略相手は微笑む。
「僕の名前はジル・ステファニー。宜しくお願いしますね。」
「わ、わたくしの名前はミシェル・ステファニーでしてよ。仲良くして差し上げてもよくってよ。」
「く、クリエラ・グラスです。宜しくお願いします...。」
「リアン・アレクだ。こちらからも宜しく頼む。」
「ジル様〜!その方はどちら?」
出た。あのゲームの主人公であり、誰にでも愛され、運営の助力がある、可憐な少女が。
「あら、わたくしの事は見えなかったのかしら?」
ミシェルが悪役らしく眉を釣り上げる。
「ミシェル様...ごめんなさい、そんなつもりじゃ...」
「(涙もろっ?!)」
「まぁまぁ。こちらが例の素晴らしい令嬢だよ。」
「クリエラ・グラスです。」
ニコリとお手本のような微笑みを浮かべる。彼女は、ふ〜んと私の顔を見つめた。
「宜しくお願いしますね!クリエラ様!...ところで、そちらの殿方は?」
彼女はリアンを、ちらり、と少し熱を込めた瞳で見詰める。
「(あれ?今思い出した...確かリアンって...!)」
「あぁ、リアン・アレクだ。宜しくな。」
「リアン...素敵な名前ですね!私はマリア・レヴィーです!宜しくお願いしますね!」
「(『王宮物語』ダウンロードコンテンツの特典で増える、攻略キャラじゃない!)」
マリアは、リアンに温かく、そして、女神のように美しい微笑みを向けた。
「あぁ、宜しく頼む。」
「あ、クリエラ!ここに居たんだね。」
「お兄様...あの、手。」
ディランが私にを見つけ、手を繋いでくる。
「学園は初めてでしょ?案内するよ。」
「え、あの...!」
廊下で、一人の生徒とすれ違う。そして、その生徒は私を見て微笑んだ。
それは、ゲームではヤンデレ担当の、ダニエル・ワトソンだった。
「僕達も行くよ。ねぇ、ミシェル?」
「え、えぇ。仕方ないわね。」
「俺も行くからな、ディラン。」
「皆様が行かれるなら、私も行きます!」
ーどうやら、ゲームキャラとかかわらない道は無いらしい。
ー勘弁してくれ。
ー私は、死亡フラグを折りたいだけなので!




