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2-11 小一郎の死

 賤ヶ岳の戦いも終わっての戦後処理。

 あ、柴田勝家はお市様とともに死亡ってことになってるからな。

 燃えゆく北ノ庄城。少しもったいないかなって思ったけど、史実でも確か燃えちゃったんだよな。この方が勝家のおっさんの死も本当っぽいじゃん。


 さて、この先の前田利家はすでにこちらの陣営に降ってるので、佐々成政さつさなりまさを残すのみとなった。

 でも、その残る一名がなかなか手強いことこの上なしときたもんだ。

 小一郎や官兵衛との評定の結果、佐々成政は前田利家やすでに同盟済みの越後えちご上杉景勝うえすぎかげかつに任せる方向で話が決まった。


「これでいよいよ天下へ向けて出発できそうだな」

 俺が晴々した気持ちでそう言うと、小一郎が

「やっと信長様に追いついてもいませんし、まだまだ先は長いですよ」

 と言ってくれるし、官兵衛は

「そう、四国で睨み合ってる小六の方の手伝いにもかからないといけませんし、紀伊きい雑賀衆さいがしゅうも不穏です。

 何よりも家康が大きく勢力を広げていますので油断大敵です」

 と付け加えてくれた。


「まぁまずは一段落ってところだ。引き上げるとしよう」

 俺がそう言って先に引き払って行った後に、その騒ぎは起こった。

 それまで静かに控えていた小一郎の近習の一人が小一郎に斬りつけたのだ。

 止める間もなく、その近習は周りから斬り殺されて息絶えた。


 俺は死ぬ間際、その男のステータスを確認した。


 名前:朴尹中パクユンジュン

 職業:学生


 え?

 韓国人、そして学生ってなんだ?

 もしかして俺同様の転移者じゃなかったのか?

 いや、俺は異世界転移から戻ってきたって特異なケースか。この場合はタイムトラベラー?


 それより、小一郎は。

 そう思って近づいてみたがすでに小一郎も息を引き取った後だった。


「この男は?」

「前々から仕えていた者ですが、元は朝倉家あさくらけに仕えていたものです。

 このあたりの地理に詳しいということで秀長様がこの戦いで近習として抜擢しておりました」


 朝倉家か……このあたりにいた大名だよな。

 待てよ。秀吉が死んだのもこのあたりだったんじゃないのか?

 これって偶然か?


 韓国人のタイムトラベラーと秀吉に小一郎。

 そのつながりはなんだ?


 もしや、朝鮮出兵か?

 確か、秀吉が天下統一後、文禄ぶんろく慶長けいちょうえきを起こしたって歴史で習ったよな。

 もし、この朴って男が日本のこの時代にタイムトラベルしてきたのなら、朝鮮出兵を防ぐために秀吉を殺したって考えれば、この歴史の異変の謎が解けるかもしれないな。

 そして、秀吉を殺して安心していたら、弟の小一郎が再び天下統一に向けて動き出したから今回のことに……


 今となってはすべて仮説か。

 生かしたままだったらなんとでもなったものを。

 今更そんなことを言っても始まらないか。

 とりあえず、お前の意思を尊重して朝鮮出兵が起こらないようにしておいてやるよ。


 それにしても小一郎。お前まで死んじまうとか、どうしたらいいんだよ。

 やっと第一歩を踏み出したところじゃねぇか。

 お前を押し立てることで天下統一をって思ってたのにな。


 悲しんでるヒマとかなさそうだな。

 もう俺がやるしかないのか?



第2章 完

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