カルテNo,1 かんごし
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白い天井。白い壁。消毒液の匂い。
どこまでも続きそうな、長い廊下。
天羽ゆらは、ゆっくりと瞬きをした。
「……今日も平和だといいですね」
誰に向けるでもなく、そう呟く。
返事はない。 だけどそれでいい。
ここではそれが普通だから――
夢幻病棟。
それは、この世界のどこにも"存在しない"病院。
心に深い傷を負った者が、気づけば辿り着いている場所。
たどり着く、患者たちは皆
何かを失い、何かに壊され、
何か重いものを抱えたままここへ来る。
治療のために、
あるいは、壊れ切ってしまわないために。
私はここ【夢幻病棟】ではたらく看護師。
ここにいる患者さんは"通常の治療"が効かない。
ベッドの上で膝を抱え、怯える少女。
その患者にゆらが声をかける。
「大丈夫ですよ」
その瞬間、震えが少しだけ止まった。
――この病棟では、言葉が“治療”になることがある。
だから、ここではたらく看護師は
【人一倍、患者さんに寄り添い、治療する大切な存在】
それだけは、絶対間違いない。
でも時々、ふとした瞬間に思う。
――私は、どうしてここにいるんだろう。
その疑問に触れそうになると、決まって頭の奥が痛くなる。
まるで「考えるな」と言われているみたいに。
ここで患者さんを助ける理由は分からない。
でも私は、消えてしまいそうな"小さな灯火"を
どんなに弱くても小さくてもその火が消えないように、
今日も患者さんを救っていきます――
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