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思ったよりも、お姉さんでびっくりしたあ……




リィタによってはむはむされ、スライム液塗れになったウィリアムが職員達の手によって運ばれていく。何処に連れて行くのかと尋ねれば、絶対に逃げ出せない地下室みたいな場所があるらしい。其処に暫くぶち込まれるそうだ。うーん、扱いが酷い。


まあ、今まで散々好き勝手してきただろうし。1か月ほど、庁舎に缶詰されていればいいよ。皆多分それを望んでいる気がする。私《オレ》もウィリアムがいなくても別に困らないしねぇ。


それでも相棒でもあるから、ウィリアムの収監には立ち会うべきかなって思ったんだけど。


「これから先は我々が処理……いえ、片付けますので」


「うんうん。リティシアちゃんは、ユーリ達が帰ってくるまでゆっくり寛いでて!」


ユニスとリチェッタの2人から、やんわり静止されて部屋に戻される。リィタはウィリアムの脱走防止にもう少し借りると断りを入れられ連れて行かれちゃった。


パタン、と閉まった扉を暫し見つめ小さく息を吐いた。


「……嵐が去ったな」


あれだけ沢山いた職員さんは1人もいなくなり、残ったのは私《オレ》だけ。寛いでてと言われても、職員さん達の働く場所でまったりは出来ないし、どう過ごそうか。


ふと資料として積み重なっていた世界地図に目を移す。普段はそこまで意識していないけど、こうして改めて地図を見ると、広い世界なんだなと思う。

大陸や島々を一つ一つなぞり、身につけていた知識とピタリと合うか確かめていく。


「あれ?」


北側に目を向ければ、不自然に消された大陸があった。名は削られ消しゴムで消したように色落ちしている。これだけ精密に記されている地図だ。観測されていないという事はないだろうし、先の戦で消えてなくなった場所か……?


疑問を抱き首を傾げ、誰かに聞いてみるかと顔を上げた時だった。


「たっだいまー!」


バターンと勢い良く扉が開く。

驚きに身体を震わせた後、振り返ってみれば見慣れない女性がそこにいた。女性というよりは少女寄りの可愛らしい雰囲気を纏っている。


女性は肩まで伸びた髪を靡かせ、私《オレ》に抱き着いてきた。そのまま、くるんと一周回り満面の笑みを浮かべる。


「リっちゃーん! やっと戻れたんだよー! どおどお? 人型のアタシは!」


聞き覚えのある声に私《オレ》は目を瞬かせた。

よくよく見ると、頭上には獣人特有の獣耳がある。馴染みのある毛色に揺れる尻尾。思い当たる人物に気付き、驚きの声を上げた。


「えっ、リンファなの!?」


「そうだよー!」


えっへん、と胸を張るリンファに私《オレ》は驚きを隠せなかった。ポメラニアンな小型犬姿からは想像出来ない程の高身長。獣人だからなのか、年齢的なのかは分からないが、ちゃんと大人の女性だった。


「リンファ、ほんとにお姉さんだったんだ……」


「ふふん! そうなのよ。どんどん頼ってくれてら良いんだからね!」


ドヤるリンファの背後から遅れて部屋に入ってきたユーリは呆れた表情をリンファに向ける。


「性格と行動を見りゃあ、大人とは呼べねェな。あと絶壁のそれをどうにかしろォ」


「絶壁言うなー! まだ成長途中だもん! リっちゃんみたいにこれから育つんだもん!!」


おいおい、そこで引き合いに私《オレ》を出すのは止めてくれ。確かに私《オレ》も小さい方だけど、ほらエルフは長命種だし、成長緩やかだからね。伸びしろはあるだろうけど、リンファはどうかなあ。


発育は10代がピークだと聞いた事があるけど、獣人の成長速度がよく分からないし。この話題は地雷踏みそうだから、私《オレ》は我関せずにいようっと。


「お姉ちゃんたち、立派だったからアタシだって、育つんだもん!」


「はいはい、育つと良いなァ」


「何なの、その態度! むかつくー!!」


「はー、うるせェ……」


むきー!とがなり続けるリンファをユーリが心のこもっていない言葉で宥める。リンファが落ち着くまで、このやり取りは暫く続いた。







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