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〜番外編〜②

お読みいただきありがとうございます!

誤字脱字マスターなので発見しだい報告いただけると嬉しいです…よろしくお願いします。


「2人ともこっちだよ!」


アリスちゃんの案内の元、私達はスカーレット家の庭にある薔薇園へと向かっていた。

今の所薔薇よりも別の花が咲き誇っていてとても綺麗。アリスちゃんが言うにはこの道は薔薇園とはまた別とのこと、これだけでも凄いのだけど。この先にある場所が本格的な庭園みたい。この道も花で埋め尽くされていて綺麗なのでついでに案内してくれたみたいだ。


「ここの花だけでも十分に綺麗ですよね」


整備された美しい庭園、色々な花が咲いていてとても綺麗。さすがはスカーレット家だ。

凄い詳しい訳じゃないけど、ポピュラーなお花は知っているし鑑賞するのは楽しい。ここの所色々と大変な事ばかりだったからこうやってゆっくりと過ごせるのが嬉しいな。やはり平和が1番だ。


「………嬉しそうだな」


隣からポソリと声が聞こえた。エイジさん今何か言っただろうか?生憎と聞き取れなかったため首を傾げるも彼はそれ以上何かを言う事はなかった。


「着いたよ!この門の先が本格的なバラ園になってるの!!」


オシャレな鉄格子の門まで楽しそうに走り寄るとくるっとこちらを振り向いたアリスちゃん。じゃーん!っと両手を広げてポーズをとると「こっち!」と門を開き笑った。うん、可愛い。


走り抜けるアリスちゃんの後に続くように門を潜れば一面のバラ。まるで赤い絨毯のようなその光景に思わず声が出る。


「わぁ…!凄い…!」


絶景に唖然としていれば先を走るアリスちゃんがぴょんぴょん跳ねているのが視界に映った。うん、元気いっぱいで何より。


「ふふ、元気ですね」

「………うるさいだけだ」


隣を歩くエイジさんが少しため息を吐く。だけどこうして薔薇園に付き合ってくれるあたりやはり彼は優しい。そして何より…薔薇園を歩く彼は絵になる。ザァァっと風が吹いて花弁が舞った。……絵画だ、この光景が薔薇に負けないくらいに美しくて目が逸らせない。


「……どうした」

「へっ!?あ、いや…っ」


ま、まずい…!思わず見過ぎてしまった…!!

ほらエイジさん首傾げて私の返答待ってるのにっ…!慌て過ぎたのか、普段履き慣れないヒールを履いていたからなのか…足がもつれて後ろに倒れそうになる。すかさずエイジさんが私の腰に手を回して支えてくれた。


「…大丈夫か?」

「…っ、…、」


……すみません、大丈夫じゃないです。


相変わらずの近い距離感でもはや抱きしめられているに近い体勢に頭の処理が追いつかない。心配してくれてるのに返事が出来ずに固まってしまう。


「……レナ?」

「……………は、はひ」

「…………」

「…ひ、酷いですエイジさん……」


少し肩を振るわせてクッと笑う彼に私の羞恥心ゲージは満タン。確かに情けない声を出してしまった自覚はあるが男性に耐性の無い私からしたら仕方ない事だと思うんです…うう、恥ずかしい…。


「……素敵すぎるエイジさんのせいです…」


助けてくれたお礼を言って離れれば彼は先程のからかうような笑いではなく今度は優しくフッと息を吐いて笑う。


「…そうか。動き難い服は嫌いだが、お前のその顔が見れたなら着たかいがあったな」

「!…着てくださってありがとうございます…」


何だろう、微々たる変化だけど…先程からエイジさんは何だか機嫌がいいように見える。嫌々着替えもさせられたようだし私達に付き合ってくれているだろうに……もしかして、実は花が好きだったりとかするのだろうか?


「エイジさん、花が好きなんですか?」

「…いや、興味ない」

「えっ?」

「……どうした?」

「あ、いえ……何だか、嬉しそうと言うか…」


すると彼が、ああ…と納得したように頷く。



「………お前が笑っているだからだ」


あまりにも彼が優しく微笑んでくれるから、息をするのも忘れてしまった。





「レナお姉さん、エイジお兄さんこっちだよ!」


遠くからアリスちゃんの元気な声が聞こえて、あわてて返事をすれば、私が動くよりも先に彼が私の手を取って歩き出す。


「…っわっ、…っエイジさん、」

「……俺の喜びは常にお前だ」

「!」


さらりとそんな事言うものだから本当に彼には敵わない。イケメンって凄い、いや…もはや怖い。彼が前を歩いてくれていて良かった…絶対に今顔が薔薇とお揃いになっているはずだから。






薔薇園の真ん中にあるガゼボに着くとすでにマーサさんがお茶の準備をしていた。さすがしごでき侍女マーサさんだ…!

アリスちゃんが駆け寄りマーサさんに抱き付くと彼女は優しく頭を撫でてから笑った。


「お待ちしておりました」

「ちゃんと案内出来たよマーサ!」

「ええ、さすがお嬢様です」


2人の会話にほっこりとしていればマーサさんが椅子を引いてくれた。


「レナ様、エイジ様もこちらにどうぞお座りください。今温かい紅茶をいれますね」

「ありがとうございます…!」


椅子に座れば良い匂いのする紅茶に美味しそうなスコーンまで用意されている。至れり尽くせりとはまさにこの事だ。なんて贅沢…

横ではアリスちゃんが早速スコーンに手を伸ばして嬉しそうに頬張っている。ふふ、何だかリスみたいで可愛い。


「それにしても本当に素敵ですね。こんなに沢山の薔薇初めてみました!」

「喜んでもらえて何よりです。たまに一般開放もしていたのでここら辺では結構有名なんですよ!特に女性には大変人気でして」


薔薇って育てるの難しいって聞いたことあるしこんなに綺麗に咲いてるなら有名になるのも頷ける。どこの世界でもお花が好きな女性は多いんだな。


「それに女性なら一度は薔薇の花束なんかを贈られたいですものねぇ」

「ふふ、マーサさんはロマンチストですね」

「あら、レナ様だって薔薇の花束欲しくないですか?」


確かに気持ちのこもった花束は嬉しいと思う。だけど…やっぱりどちらかと言えば私はこうして野に咲く花を見ている方が好きかもしれない。自然の中で綺麗に自由に咲き誇る花が。


「……花束も嬉しいですが、私は……こうして咲いている花を一緒に見ている方が好きかもしれないです。そうしたら…何度でも、花が咲き続ける限りまた一緒に見られるから」


キョトンとしたマーサさんに今まで話を聞くだけだったエイジさんが口を開いた。


「……お前らしいな」

「え、そ、そうですか…?」

「ああ」

「ふふ、レナ様は本当に奥ゆかしい方ですね」


……思った事を言っただけだったのだけど何だか照れてしまう。


「で、でもこんなに綺麗な薔薇を贈られたら喜ぶ女性も確かに多そうですよね」

「うーん!でもアリスはバラよりもあそこに咲いてる黄色のお花のが好きだなー」


そう言ってアリスちゃんが指さしたのは黄色の花が密集している場所だった。


「あれは菜の花です、アリスお嬢様」

「…あのお花、菜の花って言うの?」

「はい。確か花言葉が‘’元気いっぱい‘’だったと思います。アリスお嬢様にはピッタリなお花ですね」


「ピッタリー!」と喜ぶアリスちゃんに笑ってしまう。確かに、向日葵とか…元気なお花が似合うのわかる。チューリップとかも可愛くてアリスちゃんに似合いそう。


「じゃあレナお姉さんにピッタリなお花は!?」

「え、私ですか?」

「レナ様は…そうですね、スズラン…でしょうか。確か花言葉は‘‘謙虚、優しさ’’だったと思います」

「す、凄い…!マーサさんお花詳しい…博識ですね…!」

「ふふ、ありがとうございます。他にはガーベラとかミモザなんかもお似合いになるかと思いますよ」


そんな可愛いお花に見立ててもらえるなんて嬉しいけど何か恥ずかしい…!どうやら話を聞くとマーサさんもこのお庭のお世話を庭師の方としているらしく…それで詳しくなったらしい。


「じゃあ、じゃあエイジお兄さんは!?」


アリスちゃんの一声でみんなエイジさんに目線を向けると、彼は興味なさそうに椅子の背もたれに体重をかけた。


「……………花に興味はない」


本人はそんな事を言っているがエイジさんに似合うお花は沢山出てくると思う。だって美しいって意味では薔薇もそうだしアマリリスとかも似合いそう…!安直かもしれないけど刀持ってるしサクラとかも……うん、夜桜とか最高にカッコよくて似合いそう。私の妄想が捗る中マーサさんが悩ましげな声を出した。


「…エイジ様ですか……そうですね、…アイビーはどうでしょうか?」

「……アイビーって…確か壁面なんかに伸びてるあの葉っぱの…ですか?」

「はい、観葉植物としても知られてますね。花言葉が‘‘不滅’’なんですよ」


「不滅…かっこいい!」と目をキラキラさせているアリスちゃん。マーサさんまるで歩く辞書だ…。それにしても確かに、不滅って言葉はエイジさんにピッタリかもしれない。…でも数ある花の中でなんでアイビーだったんだろ、もっとこうそれこそ美しい薔薇とかでも良かったと思うんだけど。うんうんと悩んでいればクスリと笑ったマーサさん。


「…レナ様。花言葉って言うのは状況や受け取る側にとっては別の意味も含まれていたりするんですよ」

「え?」


聞き返すもマーサさんはニコニコと笑うだけ。……別の意味ってどう言う事何だろう?アイビーの花言葉って…他にも何かあるのかな…?


首を傾げていればスコーンを食べ終えたアリスちゃんにもっと近くで薔薇を見ようと誘われるままに手を引かれ連れ出される。エイジさんも誘われてたけど無言の否定をされたアリスちゃん。「じゃあエイジお兄さんが驚くくらいの綺麗なバラ探してくるね!」と挫けずに彼の了承も得ずに歩き出すものだから笑ってしまった。子供って自由だ…


「マーサさん、見える範囲にいるので少しアリスちゃんと遊んで来ますね」

「ふふ、構いませんよ。申し訳ありませんがお嬢様に付き合ってあげてくださいませ」

「わかりました…!」


後ろからマーサさんの「レナ様を困らせてはいけませんよ!」と声が聞こえたけど、どうやらアリスちゃんには届いていないようだった。

少し離れた場所に日陰になっている場所があり、何となくそこを見ていたらある物を見つけた。


「…アリスちゃんあそこ」

「どうしたの?」


私が指さした場所を見るとアリスちゃんが驚いたように駆け出す。


「ここ!黒いバラがあるよ!」

「…本当ですね、何故一輪だけ黒い薔薇が…」

「それにこのバラ枯れちゃってる…可哀想…」


ここが日陰になっているからなのか、別の理由かはわからないが枯れてしまっている。

…日向で咲く綺麗な赤い薔薇、そして日陰に咲く枯れた黒い薔薇……元々は綺麗な薔薇だっただろうに、どうしてこうなったのだろう。


「何故ここだけ枯れているのでしょうか…」

「うーん、マーサに聞いてみる?」


マーサ!とアリスちゃんが大声で呼ぶと彼女は返事をしながら駆け寄ってきた。


「お2人ともどうされましたか?」

「あの…ここの薔薇だけ色が違うみたいで、それに枯れてしまっていて…」

「あらまぁ…!」


驚いたように口に手を当てたマーサさんは少し考える素振りをした後何かを思い出したようにハッとした。


「そう言えば庭師の方がここの薔薇だけ成長が遅いとおっしゃっていたわ…でも原因はわからずみたいで、どうしてかしら…?」

「………多分土だな」

「!わっ、エイジさん…!」


いつのまにか音もなく現れたエイジさんに驚いていれば彼は膝を付き枯れた薔薇の下にある土をサラサラと触った。


「ここの土から僅かな魔術を感じる。…以前ここに魔術回路が置かれていなかったか」

「え?ああ、確か!薔薇園を広げるためにここにあった魔術回路を撤去して別の場所へと移動させたと聞きました。何故それを…」

「…魔術回路…?」


ってなんだろ?聞き慣れない言葉に首を傾げていればマーサさんが説明してくれた。

どうやら魔術を用いて薔薇園全体の栄養素や湿度を管理する機械のような物らしい。その魔術回路を置いておけばこれだけ広い範囲でも土を通して全体へと行き渡らせることが出来るのだとか。これだけの薔薇を管理するなら確かに必要な物なのかもしれない。


「何でエイジさんはその魔術回路があったとわかったんですか?」

「…ここの下だけ魔術の滞留が多い。こう言った広い敷地には必ずと言って良いほど魔術回路を使用するからな。薔薇が変色して枯れているのはその残留した魔術によってだろうな」

「…ですが庭師はしっかりと移動させる際に魔術陣を書き換えたと…」


エイジさんは徐に土の上に手を翳した。すると翳した場所が金色に光り出す。


「一定以上長く同じ場所で魔術を用いればその場には根強く滞留する。そいつの書き換えでは残留した魔術を取り除けていない」

「なるほど、残ってしまった魔術と新たに設置した魔術回路によってこの場だけ多く魔術が供給されてしまっていると……だからここの場所だけ変色、そして枯れてしまっているのですね…」


「……エイジさん、何とか出来ますか?」


私の問いに彼は目を細めると薄くわらった。


「…破壊は専門分野だ」


そう言うと魔法陣が浮かび上がり黒い光が輝きを増す。そのまま光はキラキラと粒子になって散っていった。凄い幻想的で綺麗……。


「これで大丈夫になったんですか…?」

「ああ」

「……でも、バラ…枯れたままで可哀想……」

「…アリスちゃん…」


せっかくエイジさんが原因を取り除いてくれたのに、それにアリスちゃんの悲しそうな顔。何とか出来ないかな……。枯れてしまった薔薇を…再生………回復…あれ、もしかして…これって私の魔法で治るのだろうか…?でも植物にもいけるのかな?いや、でもやってみる価値はある。

薔薇を手に取ると横でしゅんと落ち込んでいたアリスちゃんが不思議そうにこちらを見た。


「レナお姉さん…?」


手に温かい感覚が宿ると優しい光を放った白い魔法陣が浮かび上がりキラキラと粒子が舞う。あ、これ多分いけそうかもしれない…!

光が収まると少し茶色く枯れてしまっていた黒薔薇が綺麗に咲き誇っていた。


「…治った…!良かった、成功したみたい」

「わぁ!レナお姉さんありがとう!!」

「さすがレナ様です!」


振り向けば彼と目が合った。


「ふふ、再生は専門分野です!」


私の言葉に彼は目を見開いた。いや、わかります。まさか私も植物にも効くなんて思っていませんでしたから…!でも本当に、成功して良かった。ただこうして枯れずにあるのは彼の力があったから。


「エイジさんがいなければ原因を取り除く事は出来ませんでした。」

「………俺は残留した魔術を破壊しただけだ」


エイジさんは多分、自身の黒魔法をあまり好きではないと思う。それはきっとその力で沢山の人を傷付けてきた過去があるから……でも、私は彼の黒魔法を綺麗だと思うし実際彼の力が無ければアリスちゃん達も私だってこの世に居なかったのだから。自分を助けてくれた、そんな黒魔法は…私にとってはこの白魔法よりも人を助けられる魔法だとそう思うのだ。


「…でもそれが出来なかったら私が魔法を使ってもまた枯れてしまっていました…だからエイジさんの黒魔法がなければこの黒薔薇は生き返る事がなかったんですよ」

「………俺の力に、誰かを助ける力等ない」


…でも、それでも…彼は自身の力を「破壊の力」だと言う……それならば、


「それじゃあ…私とエイジさんの力2人合わせた力で誰かを「助けられる力」になる。はどうでしょうか?」


要領を得なかったのか、はたまた言われた意味を考えているのか固まる彼の手を取った。


「私は、「破壊の力」も「再生の力」も単体では誰かを助ける事って出来ないと思うんです。この薔薇も…アリスちゃん達の事だってそうです…私だけの力じゃ呪いを治せたり怪我を治しても結果的に誰も助けられませんでした」


彼の力がなければ誰も生きていないかもしれない。私が誰かを癒せても…その原因を取り除く事は必ずしも出来るわけじゃない。黒魔法があったからこそ、私達は助けられここにいる。


「私は、黒魔法を綺麗だと…そう思います。でも…それでも尚あなたが破壊の力だと言うのなら…破壊も再生も無くして、2人の力を合わせて「助けられる力」にしましょう!」

「!」


目を見開く彼の手に力を込めた。あなたは破壊だけの人じゃない、誰よりも優しくて強くて……エイジさんは、素敵な人なんだと伝わるように。


「…エイジ様の負けですね」


マーサさんがクスリと笑うとアリスちゃんが驚いたように目をまんまるにしていた。どうしてそんな顔を…と思っていれば小声で「エイジお兄さんを倒すなんて…レナお姉さん凄い」と口にしていて驚く。


「どうやってエイジお兄さんを倒したの!?」

「た、倒してないよ!私じゃ勝てないから…!と言うかアリスちゃん何か勘違いしてるからね…!?」


おろおろとアリスちゃんのよくわからない誤解をといていればエイジさんが口元に手をおきながらクッと控えめに笑った。


「…、いや、俺を倒せるのはレナしかいないな」

「エ、エイジさん!?」

「レナお姉さんやっぱり凄い…!!どんな技使ったの!?」


それは私が聞きたいくらいなんだけど…!エイジさんも珍しく悪ノリするからダラダラと汗をかいてしまった。


「うふふ、アリスお嬢様。もう1番綺麗な薔薇探しは良いのですか?」

「マーサさん…!」


ありがとうございます…!!助け舟を出してくれたマーサさんに心の中で感謝する。思い出したようにアリスちゃんの意識がそちらに向いたのを見てホッとした。さすが長年アリスちゃんに仕えてる侍女さんだ…。


「……もう見つけたよ!!」


嬉しそうにニコニコとしたアリスちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねて黒薔薇を指差した。



「ねっ!レナお姉さん!!」

「!……うん、そうだね!」


くるり、とアリスちゃんが振り向くとエイジさんへと笑いかける。


「エイジお兄さん、1番綺麗なバラ見つけたよ!!」

「………そうか」


えっへんと胸を張る彼女は「まぁレナお姉さんが見つけたんだけどね」と一言添える。その言葉にエイジさんがはっと笑った。


「……いつも、お前は俺を救ってくれる」

「え?」

「…俺を掴んで離さない」


彼の言葉の意図がわからずに首を傾げる。


「……いや、離さないのは俺の方…だったな」

「?」


横でマーサさんも小声で何かを言っていたけれど聞き取れなかった。彼女を見ればニコニコと笑っていて私はさらに首を傾げる。


「さぁ、皆様!問題も解決しましたしそろそろお屋敷へ戻りましょう。奥様がいじけて外に出て来てしまいましたからね」

「あ!ママだー!おーい!」


ため息を吐くマーサさんが薔薇園から見える屋敷を見て嘆く。彼女が見ていた方向を見てみればバルコニーからシェリルさんがこちらに大きく手を振っていた。シェリルさんもう起きて大丈夫なのかな…?そんな心配をしていれば隣から不穏な空気を感じる。


「………。」

「エ、エイジさん!沢山お花も見れましたしそろそろ戻りましょう、ね?」

「………はぁ、わかった」


隣でマーサさんが親指を立ててた。あはは…何故この2人はこんなにも仲が良くないのだろうか。


「……レナ」

「?はい、何でしょう」


前方には屋敷に向かって手を繋ぎ歩きだすマーサさんとアリスちゃん達。私だけ引き留められるように手を引かれた。


「____わっ、エイジさ…」

「…もう、俺は戻れない」

「……?」

「…例え死んでも俺は、」


彼の握る手に力が入る。刹那、視線が絡むと彼の綺麗な金色のはずの瞳にドロリと黒いものが見えた気がして身体が固まった。


「______」

「?今……」

「レナお姉さーん!エイジお兄さーん!!早くぅ!!」

「は、はい!今行きます…!」


彼に向き直ればドロリとした黒いものはなくなっていて、いつもと同じ綺麗な金色の瞳がゆらめく。


「あの…エイジさん今のは___、」

「いや、いい。いくぞ」


手を引かれ歩き出す。

エイジさん、何であんなことを言ったのだろう…?








アイビーの花言葉

‘‘死んでも離れない’’

マーサさんイメージのお花はユリやカーネーション、アジサイです。それぞれ花言葉は「母性」「温かい心」「家族の結びつき」「辛抱強い愛情」等です。

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― 新着の感想 ―
朝から番外編を見つけ読みました。良い1日になりそうです。 前半から甘々の展開で、もう嬉しくてたまりません(笑) エイジ君は本当にレナちゃんが愛しいんですね。ちょっと歪んでそうで怖いし、レナちゃんが 望…
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