冬の夜明け
たまにはオルシア視点で。
寒いなぁ。
そう思って、目を覚ました。
まだ、夜明けの少し前……やっと遠くの空が白み始める時刻。
寒いと感じた理由はすぐにわかった。
自分で剥ぐってしまったのか、それともこの寒さのせいで奪われたのかはわからないが、隣に眠っているミルドレーンが、毛布を独り占めにしていたのだ。
まったく、風邪でもひいたらどうしてくれるんだ……と思ったが、よく考えてみれば私は風邪などまったくひいた記憶がない。───もしかして私ってバカ?いやいやいや、きっとこの体質のせいだな。まもののちの影響ってやつに違いない、うん。
とにかく、毛布を奪い返そう。
そう決意して手を伸ばそうとすると、ふとミルドレーンの寝顔が目に入った。
思えばいつも、朝先に目を覚ますのは彼の方で、こうして未だ熟睡中の顔を見ることは殆どなかった。
いい夢を見ているのだろうか。幸せそうなその表情がなんだかとても可愛く思えて、癖のある赤褐色の長い髪を、ちょっとだけ撫でてみた。起こさないように気を使ったつもりだったのに、ミルドレーンの目が、薄っすらと開いて私を見る。
「あ、ごめん。起きちゃった?」
その問いには答えず、ミルドレーンは私をじっと見つめながら、逞しい腕で私を力強く……しかし優しく抱き寄せた。先ほどまでの寒さが嘘のように、ふわりとした温かさに一瞬にして包まれる。
「ミ、ミド……?」
なんだかとてもドキドキしながら彼を見上げると、意外と長い睫毛に縁取られた瞳はもう閉ざされていて、規則正しい寝息が微かに顔にかかった。
目を覚ましたわけじゃ、なかったのか。
ちょっとだけ安心して、私は彼の胸に擦り寄るように、頭を寄せて目を閉じた。
伝わってくる温もりと心音が、私をとても安心させてくれる。
彼が隣にいてくれる・・・・・・それだけで、どうしてこんなにも満たされた気分になれるのだろう?
程なくして、私にも再び睡魔が襲ってきた。
今日は雪でも降りそうだな……。
積もったら、近所の子供たちと一緒に雪合戦をしよう。
そんなことを思いながら、いつの間にか私の意識は夢の世界へと飛んでいた。
その日見た夢は、目覚めた時にはもうすっかり内容を忘れていたけれど、とても……とても、幸せな夢だった。
END




