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WITH THE WIND  作者: レエ
本編
51/66

冬の夜明け

たまにはオルシア視点で。

 寒いなぁ。

 そう思って、目を覚ました。

 まだ、夜明けの少し前……やっと遠くの空が白み始める時刻。

 寒いと感じた理由はすぐにわかった。

 自分で剥ぐってしまったのか、それともこの寒さのせいで奪われたのかはわからないが、隣に眠っているミルドレーンが、毛布を独り占めにしていたのだ。

 まったく、風邪でもひいたらどうしてくれるんだ……と思ったが、よく考えてみれば私は風邪などまったくひいた記憶がない。───もしかして私ってバカ?いやいやいや、きっとこの体質のせいだな。まもののちの影響ってやつに違いない、うん。

 とにかく、毛布を奪い返そう。

 そう決意して手を伸ばそうとすると、ふとミルドレーンの寝顔が目に入った。

 思えばいつも、朝先に目を覚ますのは彼の方で、こうして未だ熟睡中の顔を見ることは殆どなかった。

 いい夢を見ているのだろうか。幸せそうなその表情がなんだかとても可愛く思えて、癖のある赤褐色の長い髪を、ちょっとだけ撫でてみた。起こさないように気を使ったつもりだったのに、ミルドレーンの目が、薄っすらと開いて私を見る。

「あ、ごめん。起きちゃった?」

 その問いには答えず、ミルドレーンは私をじっと見つめながら、逞しい腕で私を力強く……しかし優しく抱き寄せた。先ほどまでの寒さが嘘のように、ふわりとした温かさに一瞬にして包まれる。

「ミ、ミド……?」

 なんだかとてもドキドキしながら彼を見上げると、意外と長い睫毛に縁取られた瞳はもう閉ざされていて、規則正しい寝息が微かに顔にかかった。

 目を覚ましたわけじゃ、なかったのか。

 ちょっとだけ安心して、私は彼の胸に擦り寄るように、頭を寄せて目を閉じた。

 伝わってくる温もりと心音が、私をとても安心させてくれる。

 彼が隣にいてくれる・・・・・・それだけで、どうしてこんなにも満たされた気分になれるのだろう?

 程なくして、私にも再び睡魔が襲ってきた。

 今日は雪でも降りそうだな……。

 積もったら、近所の子供たちと一緒に雪合戦をしよう。

 そんなことを思いながら、いつの間にか私の意識は夢の世界へと飛んでいた。

 その日見た夢は、目覚めた時にはもうすっかり内容を忘れていたけれど、とても……とても、幸せな夢だった。


 END

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