21話 襲撃の事実
最近PVが伸び悩んでます。やはり面白くないのかな?
ま、投稿はしばらく続けますけどね!
追記 13話まで振り返っていたのですが、誤字と違和感が凄かったのでなんとか誤字修正と追加執筆しました。よかったら読んでください!
「ムゲン・リング? この腕輪の名前か?」
「はい。無限空間という魔法が込められた魔導具です」
無限空間……さっきの映像で見た男もそう言ってたな。
「どういう魔法なんだ? その無限空間っていうのは」
「では、まず前提として、世界の狭間に空間があります。その空間は何者の干渉も受け付けないという性質を持っています。ですが、無限空間という魔法が開発されてからは、その狭間を利用する事が可能になりました」
「名前から察するに、その狭間に無限にものをしまえるって事でいいのか?」
「大雑把に答えると、そうなります。ですが、その魔法を発動させるための工程と魔力消費量の難題があったのです。本来は無限空間という魔法は機神さまにしか扱えない禁術。他の者が発動させようとすると、何千人の魔力が必要になり、とても現実的ではなかったのです」
なんというか、燃費が悪い魔法なんだな。
そんな魔法をこの腕輪に込めたのか?
「ですが、一つだけその無限空間を人でも使用する方法が確立しました」
「コレ……ってことか」
そう言った俺にメアリーは頷き、腕輪に目を向けた。
見た目は金の装飾が施されたいたって普通のアクセサリーにしか見えないんだけどなぁ。
「機神さま自らの手で魔力を込めた腕輪に、無限空間の魔法陣を組み込ませたのが、ムゲン・リングです。そうすることによって、発動するための魔力を機神さまの有り余る魔力でカバーしたのです。……私の中のデータ上では、世界に一つしかないとても貴重な物ですね。マスター、それがあれば武装庫の中のもの全てを持っていく事が可能ですが、如何しますか?」
「……そりゃ持っていけるなら持っていくか」
女神も別に全部持っていくな、なんて言わなかったしな。
それからの俺たちの行動は早かった。とりあえず目につく物は全てこの黒い穴に放り込んだ。凄いんだぜ、この穴。明らかに穴よりデカイものでも、掃除機に吸い込むみたいに入っていくんだ。大したもんだと感心した。
「これで全部か?」
「そうなりますね。お疲れ様でした」
武装庫の中は武器や防具、なにかの道具だらけだったが、全て無くなりガランとした部屋になった。
「あれ? そういえばメアリー。しっかり装備見つけてたんだな」
「はい。私の戦闘スタイルを熟考し、このような姿になりました」
今更だったが、メアリーはしっかり装備を選んでいたようだった。
上には黒いピッチリとした繊維のインナーを纏い、その上に青い上着を羽織っていた。ちょっとお洒落な模様が入っていた。そして下には少し長めのスパッツにホットパンツのような物を履いていた。
スラッとした足がなんとも……いや、なんでもない。その俺の視線に少しだけ身をよじらせていたメアリーが可愛かった。
「……あれ? 武器はどうしたんだ? あ、もしかしてムゲン・リングにしまっちまってたか?」
「いえ、私の武器はコレです」
そう言ってメアリーは自分の拳を俺に見せるように上げた。
「え? メアリーも素手の拳闘で行くのか?」
「はい。マスターに合わせた方が連携が取りやすいと思ったのですが、……ダメでしょうか?」
「んんっ……大丈夫だ! ありがとうな、メアリー」
上目遣いでそれはヤバイ。ありがとう、ありがとう。
その俺の言葉にホッとしたように息を吐き、メアリーはいつもの真顔に変わる。
「ではマスター。ここでの準備は終わりました。早速ですが外にーー」
「お嬢ちゃん。それは少しばかり待ってもらってもいいかい?」
メアリーの言葉を遮るように言葉を重ねたのは、カイル……いや、六道さんだった。いつのまにかこの武装庫に入った来ていた。というか、俺の背後にいてちょっとびっくりした。
「……あれ? 六道さんじゃないですか。なんか用事があるとかなんとか……」
「ああ。さっき終わったよ。それでその用事について君に話さなければいけない事があってね」
「俺に?」
「ああ。女神さまから聞いているかもしれないが、君たち代行者は神の争いの代わりに戦う者たちだ。このまではいいかい?」
俺は頷いて返事を返した。
俺以外にも後……五人か? 代行者がいるんだよな。
そいつらと出会ったら、必然的に争う事になるだろうから、覚悟は決めといた方が良さそうだ。それに褒美のこともあるからな……。
「私も女神から聞いた話なのだが、最初に代行者を決め、そして次に特殊な能力をその代行者に授ける。それ以後の有利になるような干渉はしてはいけない、と神たちの間で決まり事があるらしい」
「へぇ〜……」
あの女神、俺にはそんなこと一言も言わなかったけど……。 六道さんがここまで聞いてるのは、元々代行者になるはずだったから、だよなぁ……。申し訳ない。
「……ん? その特殊な能力ってやつ、俺貰ってないですね。……あ、この体が特殊って言えば特殊か?」
「その通りだ仁。機神は他の種族に比べるとどうしても真の姿の身体能力が高い。そのため特殊な能力はないが、我慢したくれ」
「まあ、素手で十分に戦えるんなら文句はないですよ。あ、話の腰を折ってすいません」
「ああ、構わない。女神も説明する時間はなかったぢろうしな。ーーそれで続きだが、本来は有利になるような干渉はしてはいけない、とさっき言ったな? ……思い出して欲しい。私が初めて君とまともに話した空間での言葉を」
「言葉……?」
あの時は確か……『恥ずかしい限りだ。思えば、あの部屋を出てすぐに私の『心』に細工がされていたのだろう』……これか?
「心に細工……ですか?」
「そうだ。よく覚えてくれていたな。そして、その細工というのがコレだ」
そい言って六道さんがズボンのポケットから何かを取り出し、俺に見せてくる。
「これは……植物?」
「うむ。正確には木の根だ。この木の根が私の憑依していた機兵の重要な機関に埋め込まれていたはずだ。今持っているこの根自体は私が目覚めた部屋から採取してきた」
「こんな根が……? けどこれが干渉、ってやつなんですか?」
「ああ。私の推察どおりなら、これは森人族の神……森神の仕業だろう。奴は自然を司る神と女神に聞いていた。ーーたかが雑兵である機兵を木の根で操るなど、神なら容易いだろうな。……その神のせいで君を襲うことになってしまったよ……」
そこで話を切り、六道さんはカイルの顔で悲しみの表情をしていた。握った手は微かに震えており、怒りが見える。
「けど、有利になる干渉は……」
「バレなければいいのだよ。証拠もない。……この木の根は私がいた機兵庫にあったものだ。本当の原因は私が焼き払っているからね……実に複雑な気持ちさ」
「六道さん……」
そのあと六道さんは「伝えたいことは全て話した。これから大変だろうが、私はこれで失礼する」と言って去ってしまった。その後ろ姿はカイルの身だったが、とても大人びていた。
……森神、か。そんな細工をしてまで勝ちたいのか、その神は。……なんつーか、
「……しょうもない神だな」
俺はそう言ってから白い天井を見上げ、見えない神に対して小さな怒りが湧いた。
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