11話 哀れ、機兵
こちらは書き直した11話となっております。
「ソノカラダオオオ!カエセェエエエエ!!」
目の前のメタルゴーレムは壊れた機械のような声で叫びながら両手をドリルの形状に変化させ、勢いのまま俺に突きこんでくる。
まあ、こんな単調な突きなんて余裕で避けらるけどな。
「当たったら痛そうだなー……」
そんなことを言いながらドリルのラッシュを避け続ける。
それにしても、俺の体を返せ……か?
この俺が転生したであろう機械の体――機人の体のことは俺もよくわかっていない。なにしろ唐突にこの体に転生して、この異世界で目覚めてしまった。
泥棒とこのメタルゴーレムは言っていたが、皆目見当もつかない。どういうことだろう。
「なあ、アンタ。中身は人ってことでいいのか?」
「ガアアアアアア!!」
「俺の声が聞こえてるなら、よっと! 答えてほしいなっと!」
いまだに繰り出している連打を避けながら、そのメタルゴーレムに問いかけた。が、反応はない。
だが、気にせず俺は問い続けた。
「先ず一つ! アンタは一体何者だ!」
「ナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼエエエエエ!」
「……二つ目! さっきから返せと言ってるけど、この体はアンタのものなのか?」
「カエセカエセカエセカエセカエセェェェェ!」
うーん……話が通じるかと思ったんだけどな。
俺の問いかけに対し、答えになっていない叫びしか返してこない。
ダメっぽいか……?
『マスター。直接あの機兵の頭部分にあるコアへ触れられれば、恐らくですが……情報の入手は容易かと思われます』
と、諦めの念を抱いていたらメアリーから救いの一声。
これが女神ですか? メアリー様万歳。…………ん?
「 今メタルゴーレムのことを――機兵って呼ばなかったか?」
確かにそう聞こえた。
メアリーは何か知っているのか?
『はい。正式名称は魔導機械兵士……目の前の個体はドリルを使っているのを見るに、採掘仕様の機兵かと思われます』
「へぇ……」
魔導機械兵士――略して機兵ね。
そのことを理解すると、目の前に『種族名<魔導機械兵士(type_採掘)> 個体名<メタルゴーレム>』と映し出されていた。
「ふむ……頭が残ってたら問題ないのか?」
『はい。機兵は機人族を複製する過程で生み出され、その構造も機人族に酷似しています。なのでコアも頭部に存在しています』
「……色々気になる単語が出てきたけど、今は目の前のコイツの対処だな」
その情報を頭の端に追いやり、とりあえず目の前のこの機兵を無力化することに決めた。
いつまでもドリル連打を避けるのにも飽きてきたしな。さて、頭だけ残すとなると……。
「先ずは――腕だ」
「ガッ!?」
さっきから何度も繰り返している回避動作に反撃行動を加える。
突き出してくる腕を掻い潜り、機兵の懐まで一瞬で肉薄し、伸びきった腕を手刀で叩き折る。だが、それがどうしたかと言わんばかりにもう一つのドリルで俺を貫こうとしていたが――
「大振り過ぎる」
「ガガッ!?」
欠伸が出るほど単調な突きを屈んで回避し、そのまま真上へ蹴り上げる。
垂直に繰り出された俺の蹴りは機兵の残っていた腕を肩から下を吹き飛ばした。
「んで、残った足は――こうだっ!」
煌めく赤い炎が俺の機甲化で変化した脚から吹き出し、高速で繰り出した下段蹴りは機兵の両足を斜めから真っ二つに破壊した。
「ガガガガガガ!」
足を失くした機兵は仰向けに転がり、四肢が損壊し――無残な姿を晒した。
「さて、無力化は終わったし……これで」
『マスター! まだ胴体部分が稼働しています!!』
俺の言葉が終わる前にメアリーが叫んだ直後、機兵の胸から小さな塊が俺目がけて飛び出し――爆発を起こした。
「うぉぉわぁぁ!?」
なん、なんだぁ!? なんで採掘用の機兵が爆発物なんて……!
爆発で吹っ飛んだ俺は空中で回転しながら地面に落下していった。
「ぐえっ!」
潰れたカエルのような声を出したのは俺だ。顔面から地面に着地し、そのまま数メートルを滑っていった。まだまだ修行が足りん! なんて幻聴が聞こえた気がする。
「……なんであんなもん体に仕込んでるんだ……」
『採掘仕様の機兵は両手のドリルに加え、胸には内蔵型爆発弾を備えているのです。主に大規模な採掘を行うための追加装備……と記憶しています』
顏についた土を払いながらメアリーの説明に耳を傾けた。
な、なるほど……。採掘するとき、最初に爆破して、あとの細かいところはドリルで……って感じか。合理的だな。けど、人に撃つもんじゃないと思う。
「にしても、でかい穴だな」
……あんな威力が高いのをドカドカ撃ってたら掘るところなんて無くなる気がするんだけどな……。
俺の目の前にさっきの爆発で出来たであろうクレータがあり、そのクレーターの中心には黒焦げの、胴体も半分ほどしか残っていない無残な機兵が横たわっていた。
……大丈夫? 壊れてない? ていうか自滅覚悟で撃ったんだろうけど、俺は無傷だから、かわいそうだな。
「ガ、クソガ……ガガガガ!」
もう聞き慣れてしまった壊れた機械音声が耳に入ってくる。
よかった、なんとか無事の様だ。……それにしても、俺は全然傷を負わないところを見ると、相当丈夫な体だな、機人族。それとも俺だけが特別だったりするんだろうか。
まぁいまはそんなことどうでもいいか。
「で、どうすればいいメアリー?」
一応さっきみたいなことがないよう警戒しながら機兵に近づきながらメアリーに尋ねる。
『頭部に触れていただければこちらでアクセスします』
「了解」
その言葉を聞いた俺は機兵の近くで膝をつき、その頭に手を触れメアリーの次の行動を待つ。
2019 十月五日 加筆と修正、改行などしました




