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魔王

「カズミー!!」


グシケンは叫んだがカズミの姿はどこにもない。


黒い影がカズミを飲み込んで一瞬にして地面に消え去ってしまったのだ。


まるで水の塊がが湖面に落ちて水に混ざりあって消えてなくなるように黒い影は地面に吸い込まれるように消えていった。


「クソ!カズミをどこへ連れて行ったんだ!?今すぐ返せ!!」


そんなグシケンの声は虚しく響くだけであった。


そして黒い影が地面に消えると今度は空に現れた黒い影がみるみる大きくなっていく。


「フハハハハハハ!!最高だ!!」


黒い影はさも満足気に高らかと笑う。


その魔力量は先程までとは明らかに違う。


溢れ出る闇の魔力の為にあたりは嵐のように風が吹き荒れ始めると、先程まで晴れていた空は瞬く間にどす黒い紫色に染まった。


ブッダは険しい表情を浮かべながらその嵐の中心にいる『ブッサ』を睨みつけた。


そしてグリモアールを掲げて高らかに詠唱を始める。


「ブラフマンに愛されしラホツの精霊よ、我が命に刻まれた契約によりその力を示せ。」


ブッダの姿は金色に輝きその背後にはまばゆいばかりの後光が光る。


「我が弟にして現魔王ブッサよ!この学園の生徒に手を出した事を後悔するがよい!」


五百羅漢ごひゃくらかん!!」


ブッダが声を発すると突然、空一面に僧服をまとった高貴なお坊様が500人現れて黒い影と対峙した。


黒い影と現れた五百羅漢で空は覆い尽くされた。


五百羅漢はフワフワと浮かびながら一人ひとりがそれぞれ有難いお顔をしている。


しかしそれも束の間、その表情は一瞬にして怒りの表情に変わると仁王様のようになり勇ましいお姿となった。


そしてその全員の体から一斉に影に向かって光線が放たれたのだ。


その光は一点集中でブッサの闇を突き刺すと、光に闇が溶けるかのように黒い影を飲み込んでゆく。


巨大な闇は苦しそうにうごめきながらどんどん消えて行く。


グシケン達はあまりの光景に棒立ちとなった。


ブルブルと震えてただ立ち尽くして食い入るようにその光景を見ていた。


しかし、これで終わりという訳ではなかった。


光に飲み込まれた闇の中からは不気味に詠唱が聞こえてくる。


「暗黒の闇の精霊よ、我が命に刻まれた契約によりその力を示せ。」


そのどす黒い声にグシケンはハッとする。


「この詠唱はカズミの、、、」


そう、魔王ブッサはカズミと同じ闇属性だったのだ。


「カズミ!!」


思わず叫んでしまうがどこからも返事はない。


天は荒れ狂い稲光がほとばしっている。


何もできない苛立ちだけがグシケンの心を締め付けた。


一方、五百羅漢の光が収まるとやはり闇は消えていなかった。


「しぶといやつめ」


ブッダは苦笑いするも小さくなっていた闇はどんどん勢いを盛り返している。


そして不気味なブッサの黒い影の前に巨大な闇の魔法陣が現れた。


次の瞬間あの魔法が発動する。


「悪魔のブレス」


その声と共に魔法陣から巨大な黒い炎がほとばしる。


しかし、炎はブッダ目掛けてではなく、グシケン達の方に向かって真っ直ぐ吹き出してきたのだ。


生徒たちは悲鳴をあげたが、とっさの事で逃げる暇もない。


あっという間の出来事だった。


その巨大な黒い炎は生徒達を巻き込んで轟音と共にはるか遠方まで突き抜けていった。


触れたものは全て灰となり跡形もなく消し去っていった。


終わった。


そう思った。


しかし、グシケンにはまだ意識があった。


振り返ると校舎もその後ろの林も山も大きく削られて遠くの方まで黒い炎がくすぶっているのが見える。


「ヒィ!なんだよ!?あれ!?」


生徒たちも無事だ。


何故ならブッサの攻撃にとっさに飛び込んだブッダが身を挺して生徒達をかばったからだった。


ブッサは笑う。


「フハハハハハ!情けない姿になったな!ブッダ!そうやって自分から飛び込んでくると思っておったわ!」


ブッダは巨大化して両手を広げて正面からブッサに向かって立っていた。


しかし、その体は焼け焦げてボロボロとなり、かなり重症なのが見て取れる。


「ぐふ、、、こいつは効いたのう、、」


立っているのがやっとに見えるブッダは、それでもすかさず次の魔法を放つ。


曼荼羅まんだら


すると今度は辺り一帯が金色に輝き始めた。


尊いその高貴な輝きは、見る者の心を浄化するようだった。


その光に触れた闇はみるみる溶けていく。


「ぐわぁぁぁ!な、なんだこの魔法は!?」


「浄化魔法じゃ。悪しき者よ、天の裁きによって浄化されよ。」


ブッダは合掌している。


もはや魔法なのかどうかも分からないがブッサの闇はどんどん浄化されていった。


そして闇が完全に消えるとそこに一人の男が立っていた。


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