15 内職頑張ってマス
遅くなりました…… m(_ _)m
いつもお読みいただきありがとうございます!
皆さんこんにちは。今日も爽やかな風と暖かな日差しが降り注ぐ、とっても良い一日が……既に始まってますね、ハイ。
えー、現在町まであと一時間ほどの所まで来ているのかな? 私は急ピッチで昨夜に引き続き内職に励んでます。
昨夜は試しにね、ルーナ様から貰ったスキルの『模造』を使ってみたんですよ。作った物のランクが低かったからか、魔力消費はちょこっとだけ――ではなく、元々あるスキルの『魔力回復速度上昇Ⅹ』の他に、加護の『お姉ちゃんの愛』が増えた所為か使ったそばから全回復してたんだけどね。あれ、回復量幾つなんだろ?
や、それは置いといて。
問題は品質、断然こっちの方が重要!
今回内職で作ってたのは、見習い職でも作れる木工ランクG品だったんだけど、品質が★五段階中の四と三。
私のスキルレベルならG品なんて★五が当たり前だったから凄く悔しい。確かにね、スキルの詳細には精度八十%って書いてあったけどさ……!
取り敢えずで一晩中模造し続けた結果、とうとう★五は一つも作れなかった。
今回のお礼にと考えていたので、納得いかない物なんか渡せない。最終的には全部手作業と相成りました。なので内職続行中。
本当は朝食の時に渡したかったんだけどなぁ。ちょっとムキになったのが敗因でしたわ。いやでも気になるよね? やっちゃうよね!?
あ、散々作った失敗作は全部薪になったよ。無駄にはなってないからいいよね。
そういえば、ゲーム時代だとスキルレベルはスキルポイントを使って上げるんだけど、職業ツリーと一緒にポイントも消えてたんだよね。どうなるのかと思ってたけど、経験値制になってたらしく、気がついたら模造のスキルレベルが三に上がってた。
システム変わりすぎ!って思ったけど、よく考えたらNPC仕様なのかも。プレイヤーはもう居ないのと同じだし、そこらへんは統一されたんだろうと思うことにした。
昔あったゲームで、シリーズ物なのに一とニでシステムが全く別物になるタイトルもあったし、アルーセアも同じと考えれば問題ないない!
それにほら、下手の考え休むに似たり!って言うじゃない? あれ、違う?
◇ ◇ ◇
「サーヤちゃん、ほら。町が見えてきたよ」
ある意味無心?になって最後の仕上げをしていたら、ラディムさんに声を掛けられた。驚いて顔を上げると、道の先に大きな石壁が見える。というか、いつの間にか森から抜けてた。集中力ってコワイ。
町までの道の周りは畑になっていて、多くはないけど作業している人の姿も見える。所々にある小さな木の家は、やっぱり作業小屋なのかな? この風景はゲーム時代と余り変わらないんだね。とても千年以上経ってるとは思えないや。
「おいおい。いくら町が初めてだって、今からそんなに驚くんじゃ中に入ったらどうなるんだよ」
なんとなく懐かしく感じつつ周囲を眺めていたら、馬車の横を歩いていたハニークさんに笑われた。
え? 私そんなにキョロキョロしてないよね!?
そりゃ今の私の設定からしたら、まんま『お上りさん』に見えるのかも知れないけどさ!
「そんな事言うものじゃないよ。初めての時は誰だって同じだろう? 私も故郷から出て来たばかりの頃は見るもの全てが新鮮だったよ」
笑われた事にちょっとむくれていたら、ラディムさんが私の頭を撫でながらフォローしてくれました。ホント優しいよね。
それにしてもさ、ラディムさんがいくら父性愛に溢れていたとしても、会ったばかりの子供にここまで優しく出来るものなのかな?
まぁ私を見る時に微かに別の感情が混ざる気がするから、何か理由があるのかも知れないけど。
多少気にはなるけど、表に出さないようにしてるみたいだし、詮索なんかしませんよ?
ちょっと思考が脇道に逸れている間にも会話は進んでいた模様。パウルさんが現状を説明してくれてました。
「人が多くなればその分魔物の被害も増えるからな。それを減らす為に外壁を高くして侵入を防ぐしかないんだよ」
ふむふむ、ソコソコ大きな町に外壁があるのはその所為か。ゲーム時代の外壁は風景の一部って認識だったから、深く考えた事なかったわ。
「さすがに村くらいだと外壁なんてないぞ。それに村があるような所は比較的安全だしな。たまに出る討伐依頼も害獣が殆どだ」
だから稀に魔物が出ると、下手すりゃその村は壊滅するんだよな……と、ハニークさんは渋い顔。ラディムさんも眉間に皺寄せて何度も頷いてるから、知ってる村が壊滅したとかあったのかも。
確かゲーム時代の村は簡単な木の柵で囲われてるだけだったな。あの頃は特に問題無さそうだったのに、今はそんなに被害出ちゃうんだ?
対策する余裕がないのか、壊滅しても大したことないと思ってるのか……どっちだろう?
「その点ここ、ルドウィーク領はどこも安全だぞ? 領主様がとても良い方でな。領地内の小さな村にも兵士を巡回に出してくれてるし、定期的に討伐部隊も組んでくれる。道も整備されてる所が多いから伝達網もしっかりしてるしな。何かあってもすぐ駆けつけられるようになってるんだ」
「おー凄いですねぇ」
「本当に領主様には色々と良くして頂いているね。上位貴族でこんなに民の事を考えてくれている領主様は他に居ないと思うよ。おかげで安心して仕入れに行けるよ」
パウルさんはニコニコ笑ってるけど、それ冒険者としてどうなの? 討伐依頼無くない?
安全な事は良い事だし、ラディムさんが嬉しそうなのは解るんだけどね。
話を纏めると、ここはルドウィーク侯爵領で領主様はとっても有能。国内で最も豊かな領だそうな。
領によって色々未整備だったり重税だったりと、随分違ってくるらしい。初めて来た町がここで良かったなって言われちゃったよ!
全ては領主によるってことですね!
小説みたいな欲深い悪徳貴族がここにも存在するのか。
そんなのとは絶対関わり合いたくないなぁ。
……今から対策考えておくべきですかね?