エピローグ
そして、半年後。
私は大学1年生に。陽樹と翔月くんは高校3年生に進学。
陽樹は、なんと大学進学を考えているそう。卒業したら、すぐ店を継ぐって言ってたのに、急な心変わりでびっくりしちゃった。
お店をもっと活気よくさせるために、経営学を学びたいんだって。狙ってるところが東京の難関大だったから、もっとびっくりしちゃった。
この数ヶ月間、私もまた、慣れないことの連続だった。
大学の履修登録、サークル、バイト……
授業時間の長さや、新しい交流関係など、新生活で大変なことも多くあった。
でも、そんな時でも、陽樹とたまに通話をして、心が癒されていく。
彼は、メッセージでのやりとりが苦手なようだから、たまに通話をしようと言うことになった。相変わらず連絡は多くはないが、それでもたまに聞ける彼の声で、愛情の温度が確かめられる。それだけで凄く幸せだった。
そして、今日。
私が大学に入学して、初めての夏休みだ。
予定は、陽樹との鎌倉デート。今まで私のほうが小豆島に行っていたから、今度は私が案内するという形になっている。年上だから、しっかりしないと。もちろん、予定は入念に立ててある。
彼のことを考えていると、携帯の着信音がなり、受話器ボタンを押す。
「もしもし?陽樹?」
「ああ……鎌倉駅ついたから。」
「おっけー、すぐ向かうね。」
電話を切って、私は駅へと向かう。
数ヶ月ぶりに彼と会える。私は楽しみで仕方なかった。
※ ※ ※
鎌倉駅に着くと、見知った顔が私に手を振ってくる。
「やっほ〜!!ひなこちゃん!」
「え!?翔月くん!?」
私が驚いていると、陽樹は後ろから息切れしながら話す。
「すまん…雛子。鎌倉行くっつったら、コイツ、聞かなくてさ…」
「え〜?だって、鎌倉案内するって約束したじゃん!忘れたの〜?」
「だとしてもな、人の彼女がいるのにズカズカとくるやつがどこにいるんだよ。ば翔月。」
「うわー。兄ちゃん意地悪。そんなこと言ってると、ひなこちゃんに振られるよ?」
変わらない双子の掛け合い。
何があったかは分からないけど、とりあえず一件落着したみたいだ。
彼らの相変わらずの掛け合いに、私はくすくす笑っていた。
※ ※ ※
小町通りを歩いてると、翔月くんが陽樹の顔を覗き込む。
「てか、兄ちゃんさ〜、大丈夫なの? オレ、心配なんだけど。」
「ひなこちゃん、大学生でしょ?ほら、悪い先輩に食べられちゃうかも…!」
私は昔からモテないから、別に心配されることもないと思うけど、と思っていたが、なんとなく彼の反応も気になって、チラチラと様子を伺う。
「そんなわけないだろ。」
「ふふ! 翔月くん、私は陽樹一筋だよ。」
「へぇ〜おアツいことで。でも兄ちゃん、女の子の気遣いとか全然だめでしょ?」
すると、翔月くんが、私の腕をぐいを引っ張る。
「あっ、ひなこちゃん、足元気をつけて。」
「え!? うわっ!? ありがと…危なかった…」
後から確認すると、ポイ捨てされたごみが落ちていた。そのまま歩いていたらツルッと滑りそうだ。
私たちの会話に、陽樹は怪訝そうな顔つきになる。
「おい…!翔月…!」
「あっははは!! こうやって、ボーッとしてると、誰かに取られちゃうよー??」
「まあ、でも、こうして、3人で出掛けるのもまたいいね。」
「おい…雛子まで……」
そして、陽樹だけに聞こえる声で、私は、そっと呟く。
「でも、次は、2人でデート行こうね。陽樹。」
「あ、ああ……。」
彼は、私の前だと自然と顔が赤くなる。そこが、年下らしくて、可愛い。
意地悪な小悪魔のように、クスッと笑う。
すると、遠くから翔月くんの声が聞こえてきた。
「 2人ともイチャイチャしないでよ〜。ここのカレーパンうまそうだよ〜〜!!!」
私たちが気がついたときは、大分遠い距離にいるようだ。有名店のカレーパン屋の並びについてるようだった。
彼は、相変わらずのマイペース。
その様子に、陽樹は、呆れながら怒る。やっぱりこう見ると、双子でもお兄ちゃんだなと感じる。
「ちょっとは遠慮しろ!! ば翔月!!」
「あっはは!! 2人とも待ってよ〜!」
私は、走って彼らのほうへ向かう。
バックについている、ミモザのりくちゃんのキーホルダーが、チリン、となった。
これは、1通のボトルメールから始まった、私と2人の双子との物語。
私たちは、これからも、あの海のように穏やかな日々を重ねながら、未来へと歩いていく―――。
この結末にしたことで、様々な意見があると思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。




