エピローグ
高良は大学の入学式で、校長の話を聞き流しながらゲームのことを考えていた。
ログインしっ放しの廃人プレイは入学式の三日前に母に禁止された。
不規則な生活を改めて、一般的な時間に起きて活動できるようにリハビリさせられたのである。
しかし高良もリハビリしないと入学式の朝に地獄を見ただろうと悟ったので、大人しく従った。
逆らってもゲーム機を取り上げられて終わりなので、選択肢などなかったが。
それでも目標にしていた隣国には到達したのだ。もちろん沙姫が大活躍して。
新しい国での冒険も楽しみだが、亀の歩みでしか進めそうにない。
最新のアップデートで新シナリオ追加!とか新たな冒険の始まり!と宣伝していたが、高良にはいつ到達できるか不明なので読み流したものだ。
実は新規プレイヤーなんて求めていないのかもしれない、あのゲーム。
今日ははちみつ採取に行って、隣の国のフィールドを少し探索して──と考えているうちに入学式が終わっていた。
互いにオタク臭でも嗅ぎつけたかのように、知らない男子たちが集まって来て「ゲームやる?」「どういうの好き?」と話し始めた。
一般的なゲームの話なら、まだ周囲から蔑視されないだろう。
好きなキャラ(もちろん女性キャラ)の話で盛り上がったら危険だが。
「俺は春休みに『Arcadia』始めたけど、治安が終わってた…」
「え、金持ちかよ!」
「没入型VRのアレ!?」
「いいなぁ!でも治安がどうして終わってんの?」
ウサギの着ぐるみ集団が!と訴えたが、聞きたいのそういう話じゃない…と言われただけに終わった。
確かに聞きたい話ではなかった。
ネタにもならない迷惑集団だった。
こうして高良は学生の日常に戻り、ゲームの攻略はなかなか進まなくなった。
それでも飽きて他のゲームを始めたりせずに続けて行ったのは、可愛い従魔たちとリエッタさんがいたから。
『Arcadia』の世界が自覚する以上に魅力的だったから、かもしれない。
〈End〉
最後までお付き合いありがとうございました。




