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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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44.行って(1月)逃げて(2月)去ってしまう(3月)③ 神西ダンジョン買取①

 1月も末になった。月日が経つのは早いよ。

 海からの寒い風にさらされながらも日々は続いてる。そしてダンジョン買取の依頼が来た。


「守くーん、依頼が来たわよー」


 瀬奈さんに呼ばれたので話を聞く。

 島根県出雲市にある神西(じんざい)湖畔の公園にある【神西(じんざい)ダンジョン】。有名な出雲大社へも歩けないことはないという距離にある。最近は縁結びで大繁盛だとか。零細なうちとは違いすぎる。

 【神西ダンジョン】は第三セクターが管理していたけど県内に大きな【宍道湖ダンジョン】があり、ハンターはそちらへ行くので利用も少なく、小規模だけどスタンピードのたびに公園や建物が破壊され管理しきれなくなっていた。町おこしの一環ではあったが失敗。売却したいとのことで寺に連絡が来たのが流れ。

 【神西ダンジョン】はゴブリン系の雑木林ダンジョンで【いわきダンジョン】とまったく同じ。おそらく全10階と思われる。


「遠いなぁ。でも泊ってる時間はなさそうだから日帰りしかないか……」

「プライベートジェットを使えばなんとかいけそうよー」

「わぁ、お高そうな響き」


 ジッサイお高いらしい。でも今はハンターのヒヨコたちがたくさん来てくれるのでその対応を考えれば使うしかない。時間を買うと考えれば安い!と思い込もう。


「秋田みたいのは困るから連絡を取ったけどー、本当に困ってるみたいねー。契約書の原案も送ってきてるわよー」

「なら話を詰めましょう。困っているなら手を差し伸べないと」

「付き添いは京香ちゃんでいいかしらー」

「俺ひとりは寂しいのでお願いしまーす」


 情けなくてサーセン。

 事前に連絡を取りダンジョン、ゲートの買い取り契約書も交わした。秋田のような詐欺じゃなくてよかった。ダンジョンが災害になっているのでよくはないけど。

 買取金額は、ダンジョンを0円、ゲートを1000万円とした。収納して撤去したら振り込む契約で、向こうに損はないうちはダンジョンをゲットできてハンターの育成に使える。WIN=WINだぜ。


「【神西ダンジョン】をゲットできれば日比谷に【いわきダンジョン】を置いても寺で鍛錬はできるね」


 実はうちも助かるので渡りに船だったりもする。

 今回は踏破はせずに俺が収納してスタンピードの管理ができるようにする。踏破するのはランク2以上と決めた。

 現地へ行くのは俺と京香さん。ダンジョン掃除は智と多賀城ちゃんにお願いした。


「浮気厳禁!」

「浮気はよくねーぜ兄貴」


 ってふたりにお説教されました。まるで俺が多賀城ちゃんを口説いたみたいじゃないか。そんなつもりはなかったんだけどなぁ。

 【祈り】スキルもち同士なのでふたりが仲良くなるのは早かった。俺がやらかしたせいもあるみたいだけど。

 女の子へのスキンシップはセクハラ。覚えたぞ。


「いってきまーす」


 早朝の掃除はふたりに任せて、メイドさんを伴って車で成田空港に向かう。7時過ぎにプライベートジェットで成田空港を飛び立ち出雲空港へ。往復でウン百万円なり。時間には代えられない。

 9時くらいに出雲空港に到着。現地には11時に約束してる。レンタカーで現地まで安全運転で急ぐ。途中で休憩も忘れちゃだめ。京香さんは妊婦さんなのだ。

 現地は湖畔の公園で、芝生と簡単な遊具くらいしかないのんびりした空間。


「散歩したら気分転換になりそうなとこだね」

「のんびり波を見るのもいいかもしれません」


 景色を見てほっと一息。強行軍の疲れも癒えるってもんさ。


「ギルドはあそこでしょう」


 資料館めいたレンガ壁の地味な建物があって、そこがギルドだ。当然ダンジョンもそこにある。

 中に入ればそこは公園の管理事務所的なロビーがあった。小さい受付に事務スペース。樹脂製のベンチと自販機があるだけのロビーの壁には掲示物が張られてる。木の実で作られた動物や独楽の展示物。よくある公園管理事務所だ。

 俺たちを待ち構えるようにスーツ姿のダンディなおっさんがいた。第3セクターの『出雲環境管理エンジニアリング』の社長さんの長浜さんだ。

 嫌味のないオールバックが渋い。俺も年を取ったらあーなりたいって形だ。

 第三セクターってのは地方公共団体が出資又は出捐を行っている民法法人及び商法法人って位置づけで、役所が直接管理はできないけど役所がやらなきゃダメでしょって仕事を代わりに行う会社ってとこ。地方の赤字ローカル鉄道とかがそうだよね。


「おはようございます。初めまして獄楽寺の坂場です」


 まずは挨拶。「初めまして」をすればもう知らない人じゃない。これ大事。


「遠路ご足労いただきありがとうございます」


 おっと、予想よりも腰が低い。なめるとしっぺ返しを食らう相手だこれ。丁寧にやらねば。


「妻兼ギルド職員の京香です。早速ですが内容の確認をしたいのですが」

「ではお茶でも飲みながら確認いたしましょう」


 長浜さんがさっとテーブル席に手を向けスマートに誘導する。公園管理事務所にはないだろうテーブルセットなので、わざわざ用意したんだろうな。

 むむむ、かっこいい。見習ってやるぞ。

 周囲にはやじ馬がたくさんいる。近隣の住民とのことだ。ダンジョンをなくすことを広報したから見に来たんだって。


「ダンジョンおよびゲートの撤去で間違いないでしょうか」

「はい、その内容で進めてください」


 京香さんが確認していく。今回は録画はしない代わりに地元のテレビ局が来て撮影している。俺たちが作務衣にメイド服なので困惑してるっぽい。


「出雲テレビの出雲です。えへへ、土地の名前と同じなんですよー。インタビューお願いしまーす!」


 確認作業は京香さんがやってるからだろうか、なぜか俺がインタビューを受けるはめに。アナウンサーであろう、俺と同じくらいの歳の可愛い女の子にマイクを向けられた。

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― 新着の感想 ―
テレビ局で撮影ってそれ録画と変わんなくない? しかも報道って偏向報道されそうですねぇ ダンジョンを売れる物となったみたいな…今後はダンジョンは自由に移設移動可能ですみたいな 絶対地元で暴動とか起きそう…
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