-アリエルの暴走-2P
逃げるべき? ううん、身動きが取れずにいる人々を置いて逃げれば後悔する。ならどうする? なにかが起こる前に静止するしかない。カルマンですら止めれなか……いや、カルマンはあえて止めなかった。そこになにが隠されているから判らないけど、カルマンが非協力的な今の現状に、僕が立ち入る隙はないと思う。そんな自問自答を駆け巡らせる。
「ね〜ぇ? どんな殺され方が良い〜ぃ?」
だけどそんな声が僕を現実へと引き戻した。
アリエルの中では男は死刑。そう確定されているらしい。普段とは全く異なる口調で満面の笑みを浮かべ、男を追い詰めるようににじり寄る。
「お、おまえ……あの男のなんなんだよ! ちょっと血が垂れただけだろ! そんなことで怒るとかバ、バカじゃねえのか!?」
そんなアリエルに、男は顔を歪めながらも必死に威嚇する。
その顔は青ざめ、恐怖に支配された人間の顔そのもので、必死に自分を大きく見せようとする小動物のように思えた。
「それがぁ〜、あなたの〜ぉ、最後の言葉でいい〜ぃ?」
アリエルは、なんの躊躇いもなく腰を抜かした男に馬乗りになり、太腿付近に付けたガーターリングから、赤黒く染まったアンピュテーションナイフを首元に突き出し、不敵な笑みを浮かべる。
多分、あれが本来アリエルが愛用している武器なんだと思う。赤黒いモノは血液。その色味からして、何十、何百もの命を天へ送り付けたのだろう。
「カ、カルマン、お願い! アリエルちゃんを止めるのに協力して!」




