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会計士、転生したら万能の仙人だったけどコンプライアンスだけは譲れません  作者: もりそんば
第二十章 期末試験と幸子さんと利修のコンプライアンス
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期末試験と幸子さんと利修のコンプライアンス(5)


2031年2月後半。一年間の総決算といってよい学年末進級試験を数週間後に控えたある日。



瑞姫さんより「試験で赤点をとったものは、利修の伴侶として不適格であり、伴侶交代を検討する。」という突然の下知が下った。



青山野先輩を中心とする集中勉強講義の結果、赤点が懸念されたいろはさんと杏那さんのうち、いろはさんは赤点を見事回避したが、杏那さんの成績は目を覆いたくなるような凄惨なものであった。



「りっくんと離れたくない・・・・あうぅぅ。」



さめざめと涙を流す杏那さんの伴侶交代を回避する手立てがないかをリコちゃんと相談した僕は、「伴侶入れ替え決定戦」の開催を瑞姫さんに提案することを思いついた。



ただその場合、入れ替え決定戦の相手として想定されるのは・・・杏那さんの姉、幸子さんである。







「リコちゃん、もし入れ替え決定戦にするなら、幸子さんしかないと思うんだけれども、どう思う?」



「はい、ですよね。わたしもそう思います。でもそうなると、幸子さんと杏那さんの姉妹間での、伴侶入れ替え対決になりますが、大丈夫でしょうか?」



「・・・普通はみんな嫌がるだろうけど、なんとなくあの姉妹ならやってくれそうな気がするのは僕だけかな?」



「いえ、わたしもやってくれそうな予感があります。あのお二人ですから。」



「とりあえずダメもとで聞いてみよう。」



「そうですね。まずは幸子さんに率直に相談してみましょう。」







僕は、早速、幸子さんに、杏那さんが期末学年進級試験で大量の赤点を取ったこと、仙人の伴侶には、一定の場合に交代しなければならないルールがあること、そのうえで杏那さんの代わりに、幸子さんに仙人の伴侶になってもらえませんか?という話を、隠し事なしで率直に相談した。



結果、前回「プロジェクト Ri Xiu」 騒動があったときの、勧誘時と同じ反応で二つ返事でOKが出た。



ただ杏那さんが期末試験で赤点をとったことにより、入れ替え競争になるのだということを告げたときにはさすがに複雑な顔をした。杏那さんが大量の赤点を取ったことにはっきりと憤慨していた。



「それにしても杏那め、勉強をおろそかにして部活ばっかりやってたのは説教が必要ね。


 それはともかく杏那より私のほうが適性があるというなら、それは世界平和のためだからしょうがないわね!もちろんやるわ!立派な正義のヒロイン、魔法少女になるのは昔からの夢だったのよ!」



しかし、それでもわりとあっさり受け入れてくれた。ただ、これは事情をまだよくわかっていない可能性がある。仙人の伴侶を、世界を救うヒーローになるみたいな誤解をしている可能性もある。というかその可能性が高い。



仙人の伴侶は、少なくとも魔法少女ではない。



それでも今大事なことは、入れ替え決定戦の実現である。幸子さんがとにかく了解してくれたのであれば、それ以上は望みすぎというものである。僕は幸子さんに礼を述べて、傘すぎを後にした。







続けて、同じ内容を杏那さんに伝えると、幸子さんとは対照的な反応があった。



「えぇぇ!?お姉ちゃんと競争になるの?いくら赤点とったからって、そんなのいやだよ。せめてほかの人との競争であって欲しかったよ。大体、あのおねえちゃんだよ?そんな世界平和を守る仙人の伴侶がお姉ちゃんにちゃんとつとまると思う?つとまるわけないじゃない!」



言わんとするところは大変よくわかるだけに、僕がその回答に窮したのは事実である。



ただ幸子さんとの競争でなければ、早坂会長、こぶしさんとの競争になることを伝え、どっちと競争したいか?という質問をしたところ、杏那さんは「むむむ・・・」と唸ったあと、ついに幸子さんとの姉妹対決を受け入れた。



僕だって、万能のイケメン早坂会長や、天才少女と呼ばれるこぶしさんとマンツーマンで対決なんて、どんな科目、どんな競技だって競いたくない。何か生きる自信とか、大事にしてきたプライドとか、人生の大事なものを失いそうな気がする。杏那さんもきっと同じ未来を想像したのであろう。



「杏那さん、幸子さんとの競争が嫌なら、やめるっていうのも選択肢にあるんだよ。ちなみにこのまま伴侶交代になることについてどう思ってるの?」



「そんなの交代したくないに決まってるじゃない。・・・何言わせるのよ。」



「だって、別に伴侶だからって得なことがあるわけじゃないし、どっちかというと危ない事の方が多いかもしれないんだよ?どうしてそこまで伴侶を続けようとしてくれるの?」



「・・・そんなの決まってるじゃない。」



「え?」



「そんなの、りっくんの近くにいたいからに決まってるでしょ!!そんなことわたしに言わせないで!!い、一応、りっくんへの回答は留保中ではあるけど。」



「分かったよ。できるだけ杏那さんが嫌な思いをしないですむよう、瑞姫さんと交渉してみる。」



あのリコちゃんでさえ立ち向かうのが困難と言われる瑞姫さんとどれだけの交渉ができるか、正直自信はない。今までも瑞姫さん関係でろくなことがなかったのは記憶にも新しい。ここ数か月は特に毎月、酷い振り回し方をされているような気がする。







「瑞姫さん、ちょっとよろしいですか?例の期末進級試験の件ですが、赤城杏那さんが赤点をとったので、別の伴侶候補との入れ替え戦が必要になると理解しています。」



杏那さんの赤点問題をうけて、僕とリコちゃんは瑞姫さんに直談判した。久しぶりに瑞姫さんの研究所に来ている。



「ほう、杏那ちゃんはダメだったか。まぁ、長い人生、そういうこともあるだろうな。」



研究所の自分の机のうえでぐったりと上半身を机に投げ出しながら瑞姫さんはいう。意外なことに、あまり興味のなさそうな様子でもある。



「ちなみに、赤点をとった場合は、問答無用で伴侶入れ替え対象になるのか、伴侶予備候補生との入れ替え決定戦みたいなのがあるのかどっちなんでしょうか?」



「ふむ。今なら、前回の伴侶増員の兼で、入れ替え候補者もすでに複数いるわけだから、問答無用で交代でいいのではないかな。」



やはり瑞姫さんの考えはそっちだったか。これを何とか覆さなければならない。



「でも予備候補者がいるといっても、まだ予備候補者に術式行使の経験はありませんし、杏那さんを即時交代させた場合にはニホンの防衛力が一時低下することになりませんか?」



「ただ、それは誰の場合でも同じだし、それゆえに伴侶3人態勢で、一時的なメンバー交代の影響を分散しているのだろう。」



「もし良かったらですが、杏那さんと予備候補者の入れ替え対抗戦を行うのはどうでしょうか?


 杏那さんも一年近く、伴侶として勤めてきた実績もありますし、一回の赤点ですぐ交代になるというのはもったいない気がしませんか?


 そのほうが、ニホンの防衛力を一時的にも下げないことを期待できると思われます。」



ここはもうダメ元、勢いだけの交渉だ。立て続けに僕の一方的な考えを訴える。



「ふ〜む、まぁいいだろう。杏那ちゃんには確かに、今まで問題なく、伴侶をやってきた実績もあるし、単に高校の試験の赤点の有無だけでなく、入れ替え候補者とどっちが優れているのかを検討するのは合理的な話だ。」



あれ、意外とすなおに要求がとおったぞ。



「入れ替え対象者として、既に仙人のことを説明済みのメンバーから1名、赤城幸子さんを選定したいと思いますがどうでしょうか?」



「幸子さん、というと杏那ちゃんのお姉ちゃんではないか?・・・さっちゃんではないか。」



「そうです。二人には既に状況は説明しており、姉妹ともに競争になるならお互い受けて立つ、と言っています。」



「なにそれ!姉妹対決とか、ちょっと熱い展開になりそうだな。わかった!いいとも、是非その方向で進めてくれるかい?むむ、巨乳美少女姉妹対決か。ちょっと滾るものがあるな。」




瑞姫さんが、伴侶の選定方法を「滾り」の有無でOKかNGかを決めたわけではないと信じたい。



ただ無事に入れ替え決定戦の要望がとおったのは喜ぶべきことである。僕は、研究所からの帰り道、リコちゃんと無言でハイタッチした。







僕の瑞姫さんに対する決死の「伴侶入れ替え決定戦」の申し入れから数日後。



僕と瑞姫さん、リコちゃんは、千寿が峰の瑞姫さんの研究所にて。仙人の伴侶入れ替え戦に関する打合せをしていた。



「ふむ、利修仙人の伴侶としての優先比較項目は何にしようか?」



瑞姫さんはそういって立ち上がると、研究室の教室の黒板にいくつかの項目を書き出した。



 ① 女子力

 ② 水着プロポーション審査

 ③ 水着歌唱力審査

 ④ 水着体力測定

 ⑤ 計算力

 ⑥ 計画力

 ⑦ お笑い力

 ⑧ セクシー度審査



瑞姫さんが勢いよく、無造作に記載した項目は、評価項目として全く分類されていない、仙人の伴侶に対して何の能力を求めているのか全くよくわからない、といって良いものであった。



能力バランスという配慮が全くないといってよいほど、バランスの悪い項目選定である。むしろおっさん的なセクハラ要素ばかりをふんだんに感じる。



一目見て見て「これは正気ですか?」と言いたくなる内容である。



コンプライアンス的にも大いに問題がある。



こんな謎ステータス、謎パラメータは、KOEI社の信長の〇望でも、三国〇でも、大航海〇代でも見たことがない。もし僕が受験者なら、一体何の試験を受けさせられているのか文句の一つも、二つも言いたくなる内容である。



「瑞姫さん、これ正気ですか?」思い切って直言をぶつけてみる。



続く




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