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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file1:【魔女と欲に溺れる魔術師】 2020年 6月
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第1節 魔女が営む探偵事務所②

2

PM4:20 探偵事務所 如月


 刑事達(けいじたち)による、情報提供(じょうほうていきょう)に付き合わされ、笑顔で見送り椅子へと座る。厄介なのが来た事により、私の疲れが増してくる。


「お疲れ様。まさかいきなり、道警の刑事さんが来るなんてね」

「あぁ。全く、誰の伝手(つて)で来たのがさっぱりだが、面倒(めんどう)なのが来たよ」


 受付(うけつけ)をしていた私の妹、ラスティアは今日分(きょうぶん)決済(けっさい)をしながら、私に言う。窓を開けて煙草(たばこ)に火をつけ、煙を吐く。ラスティアは、おかわりのコーヒーを私のマグカップに注ぐ。


「それで?明日行(あしたい)くの?」

約束(やくそく)してしまった以上はね。捜査本部(そうさほんぶ)中央警察署ちゅうおうけいさつしょでしょ」

「あそこしかなさそうだしね。店番(みせばん)はどうするの?」

「君と明日香(あすか)に任せるよ。それより、あっちから連絡(れんらく)は?」

「まだ来てないよ。多分(たぶん)、姉さんの方に直接来(ちょくせつく)ると思う」


 ラスティアは、自分の分の紅茶(こうちゃ)を飲み、資料(しりょう)をまとめる。煙草(たばこ)を吸ってると古い電話(でんわ)()(ひび)く。私はすぐ、受話器(じゅわき)を取り応答(おうとう)する。


「もしもし」

『あら?アルじゃないの。てっきりラスティアが出ると思ってた』

「セシリアか。どうしたの?」


 電話(でんわ)相手(あいて)は、知り合いであるセシリアだった。

 どうやら、(ひま)()(あま)しているらしいが、話の口調(くちょう)からそうではない様だ。

 

『あなたが出たらなら丁度(ちょうど)いいわね。実は、色々(いろいろ)と話し合いたい事があったのよ』

「へぇそう。例の件なら、私も今追(いまお)ってるよ」

『それなら、話が早いわね。今晩一緒(こんばんいっしょ)にどうかしら?』

「別に(かまわ)わないけど、やってるの?このご時世(じせい)で」

『確かにそうね。この(くに)はやってないだけで、人の流れはそれなりにあるものね。ロンドンなんて全滅(ぜんめつ)よ』

「この国はロックダウンなんて無いさ。なら、うちに来なよ。探すよりもマシでしょ」

『えぇそうね。そうさせてもらうわ』


 セシリアは、電話(でんわ)を切り、私も受話器(じゅわき)()く。

 吸い足りないので、もう一本煙草(いっぽんたばこ)を口にくわえ、火をつけようとしたが、ライターに火がつかない。


「オイル切れだったな。後で足しておくか」


 ZIPPOのオイルが(そこ)を尽きたみたいなので、小杖(タクト)で火をつけようとした。しかし、誰が指に火を(とも)してくれたみたいで、それに甘えて煙草に火をつける。


「明日香か。もう帰ってきたの」

「君が電話をしている間にね。気づくまでここで横にさせてもらったけど」


 この屋敷に居候をしている、七森明日香(ななもりあすか)が事務所に帰ってきたいた。

 私がセシリアと電話していた時に、戻ってきたみたいで、通話が終わるまでの間そのソファで横に待っていたようだった。


「それで、外の様子(ようす)は?」

相変(あいかわ)わらず殺風景(さっぷうけい)だったよ。店はどこもやってないし周りはマスクしてる奴らでいっぱいさ」

政府直々(せいふじきじき)規制要請(きせいようせい)だしね。まぁ、『魔術師(まじゅつし)』には打って付けの環境(かんきょう)だ」

「まぁ、例の件も対して動いてないよ。奴らは昼間(ひるま)は好まないって君が言ってたしね」

「それもそうだな。昼間でやるやつなんて、イカれた奴らしかやらないさ。この街じゃ特にね」


 調査をしてきた明日香は、私に報告(ほうこく)をする。例の事件については、手付かずだったみたいだ。煙草の火を消し、事件の資料を(まとめ)めてるファイルを(のぞ)く。すると、ラスティアが事務所の扉を開けた。


「2人とも、ご飯が出来ましたよ」

「うん。今行く」

「そんな時間か。なら、食事(しょくじ)にするとしよう」


 ファイルを閉じ、明日香と共に食堂(しょくどう)へと向かう。3人で暮らしには大きすぎる食堂で、私達は食事を始めるのだった。


 ――――――――――――――――――――――


 向かおうとするが、後ろから気配(けはい)を感じて振り向く。


「いいのかしら?あんな警官(けいかん)依頼(いらい)を受けて」


 漆黒(しっこく)のドレスに身を包んだ仮面(かめん)の女が、ソファーに座る紅茶を(たしま)みながら話かける。アフタヌーンティーごと事務所に来た様だ。


「別に。邪魔(じゃま)になったら私だけでも肩を付けるさ」

「それだったら私的には助かるんだけど」


 溜息を吐きながら、振り向く。私は、その隣に座る。


「あの警官、しっかり目を張りなさい。面倒な事が起きるわ」

「目を張る。どういう事だ?」

「あの警官の中に()()()()()わ。一緒に動くのはいいけど、十分気をつけなさい」

「……(きも)(めん)じておくよ。君が言う事は大体あってる訳だし」

「あなたも自分の身を知りなさいな。まぁ、知っているだろうけど」


 彼女は、私に何かを渡す。亜空間(あくうかん)から、タブレットを出し、それを私に渡す。私はそれを受け取ると、ボタンを押し起動(きどう)させる。しかし、ラスティアの声が聞こえ、振り向く。私はドアを開けるが、また振り向くと彼女が消えていた。

 テーブルに置き紙が置いてあり、取ってみるとパスワードが書かれていた。やれやれと思いながら、改めて私は食堂に向かうのだった。

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