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魔女が住まう街にて〜Incident analysis by modern witches〜  作者: nashlica
file1:【魔女と欲に溺れる魔術師】 2020年 6月

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第1節 魔女が営む探偵事務所①

昔に書いたのを整えただけですが、何卒。

PM2:15 北海道警察中央警察署


 いつもよりザワつく署の中。このご時世と言うのもあり、皆マスク越しで声を張り、何かを話し合う。


「また死者(ししゃ)が出たぞ。50代男性。死亡推定時刻は20時4分頃だ。これでこの連続変死事件の死者は3人だ!」


 殺伐(さつばつ)する警察署(けいさつしょ)の中、1人の警官(けいかん)望月(もちづき)はパソコンで何かを閲覧していた。しかし、それを見ていた別の警官に頭を(たた)かれる。


「望月!お前、調査(ちょうさ)に参加しねぇで何見てんだ?」

五十嵐(いがらし)さん!(いた)いじゃないですか!」

「痛いじゃねぇよ。んで?なんのサイトを見てんだ?」


 警部の1人、五十嵐は望月のパソコンを覗きながら話しかける。


札幌七不思議(さっぽろななふしぎ)ってサイトです。これがまた面白くてつい」

「あっそう。それが事件に関係(かんけい)あんのかよ?」

「分かりませんが、何かわかるかもと思って見ているんですよ。多分(たぶん)

「多分ってお前、一応刑事(いちおうけいじ)だろ?んな根拠(こんきょ)の無いもん調べたって意味(いみ)ねぇだろ!!」


 そう言うと、五十嵐はまた望月の頭をしばく。


「いった!また叩かないで下さいよ!」

「たくっ、お前はもう少し責任感(せきにんかん)ってもんを持て!」


 五十嵐は自分の席へと座る。すると、望月は何かを見つけた様だ。


探偵事務所(たんていじむしょ) 如月(きさらぎ)?ここって確か七不思議で有名(ゆうめい)なやつですよこれ!」

「うるせぇ!いきなりはしゃぐな馬鹿(ばか)が!」


 五十嵐は呆れながら、再び望月の席へと行く。


「これ、有名な七不思議の1つですよ!河川敷沿(かせんじきぞ)いに()まう魔女(まじょ)って有名なやつです!」

「魔女?お前、魔女なんて居ねぇだろ?」


「いや、いるんですよ!確か、高額(こうがく)請求(せいきゅう)を求められるけど、どんな不可思議(ふかしぎ)な事件や胡散臭(うさんくさ)い|骨董品(こっとうひん)鑑定(かんてい)してくれる事で有名な店ですよ!! ほらここ、ここからそう遠くないですよ!」

「馬鹿言うんじゃねぇよど阿呆(あほう)!!んな(あや)しい店に行ってられるからよ!」


 五十嵐は、また呆れながらホワイトボードの方に行く。死体(したい)写真(しゃしん)(なが)め、(ひげ)が生えきった(あご)に手を置く。その死体と、色々と書かれている地図(ちず)を眺め続ける。

 望月の方を見ると、まだ例のサイトを見ている。五十嵐は、写真を何個か持ち出し、望月の席に戻る。


「おい望月。今からそこ行くぞ」

「今からですか!?やめてくださいよ。急に言い出すの」

「うるせぇ!いいからすぐに支度(したく)しろ!」


 五十嵐は、鞄に写真などをしまい、警察署(けいさつしょ)を後にする。望月は呆れながら、五十嵐の後に続く。


住所(じゅうしょ)はどこだ?」

「待ってください!今、調べますから」


 望月はスマホを持ち、道案内(みちあんない)をする。それに合わせ、五十嵐は車を走らせるのだった。


PM3:35 豊平川河川敷沿い


 五十嵐は、煙草(たばこ)を吸いながらハンドルを回す。


「何だよ。駐車場(ちゅうしゃじょう)ねぇじゃねぇかよ」

「そこにパーキングありますね。そこで止めるしかないですね」


 五十嵐は、いやいやそこで車を止める。駐車券(ちゅうしゃけん)を取り、徒歩で目的地(もくてきち)へと向かった。


「ここみたいですね」

「何だ?妙に大きい屋敷(やしき)だな。こんなとこあったか?」

「ここの家主(やぬし)はしばらく留守(るす)にしていたらしく、そのご身内(みうち)が引き取る形で、今も存続(そんぞく)されてるそうです」


 やれやれと思いつつ、門を(くぐ)る。そして、看板を見つけ、その通りに左の扉を開ける。

 カランカランと扉を開けると、先客(せんきゃく)が入っていて、豪華(ごうか)なソファで待っていたようだった。


「いらっしゃいませ。ご予約(よやく)の方ですか?」


 メイドの様な格好(かっこう)をした女性(じょせい)が、2人を出迎える。五十嵐と望月は、その女性に警察手帳(けいさつてちょう)を見せる。


「警察の方ですか?こちらに御用ですか?」

「いや、ここのオーナーに話があってね。今大丈夫(いまだいじょうぶ)か?」

「申し訳ありません。今、先客の方がおりましてそちらの対応中(たいおうちゅう)でして、お待ちいただけるのであれば、そちらのソファでゆっくりしていただければと思います」

「あぁ。そうさせてもらうよ」


 2人は、ソファに腰をかける。そして、2人にコーヒーを淹れたカップがもてなされる。


「中々いい豆だな。苦味(にがみ)の後に酸味(さんみ)が感じられるコーヒーだ」

「またデタラメですか?それ?」


 望月は、用意された角砂糖(かくざとう)何個(なんこ)かコーヒーに入れる。


「お前、そんなに入れると甘ったるくて飲めたもんじゃねぇだろ?」

「ブ、ブラックはまだ飲めないんです!」

餓鬼(がき)かよお前」


 五十嵐は、望月のコーヒーを呆れながら、コーヒーを飲む。すると、奥の部屋から人が出てきた。その女性は、なんとも(うつく)しい外見(がいけん)をしていた。

 まるで、人形(にんぎょう)のような(あざ)やか銀色(ぎんいろ)長髪(ちょうはつ)と、眼鏡越(メガネご)しではあるが、宝石(ほうせき)の様に綺麗(きれい)(あか)い目をしていた。


鑑定(かんてい)の方が終わりました。では、結果(けっか)をお伝えしますね」

「は、はい!お願いします!」


 女は、先客に何かを言う。五十嵐と望月は、それを奥から眺め続ける。


「こちらの『葛飾北斎(かつしかほくさい)(ふで)』と(しょう)される物ですが、残念(ざんねん)ながら、偽物(にせもの)でございました。理由(りゆう)としては2点ほどありまして、1つは取手(とって)部分(ぶぶん)が余りにも新しすぎる点です。もし、北斎が使用していた物であれば、200年程経過(ねんほどけいか)していてここの部分が(くさ)っていてもおかしくは無いはずです。しかし、これは()()()()()()()()()、どこも腐っていない完全(かんぜん)な偽物です。そして2点目は、筆の部分が(ぞう)のしっぽの毛を使ってる点です。本来、北斎が生きていた時代は江戸幕府(えどばくふ)の頃ですので本人がこだわってない限り、(うま)のしっぽの毛を利用されると考えられます。まぁようは、北斎が使用していた物を(いつわ)った完全な偽物なのです」

「そ、そんな!かなりの(がく)をしたから本物(ほんもの)かと思ってました!」

(おそ)らく、詐欺(さぎ)(たぐい)でしょうね。では、こちらが買取価格(かいとりきんがく)になります」

「40万円(まんえん)!?何故でしょう?」

本来(ほんらい)なら、500円にもならないガラクタですが、お客様(きゃくさま)被害額(ひがいがく)想定(そうてい)しての金額(きんがく)になります。何かご不満でも?」

「え、えぇ。本当によろしいのですが?」

「はい。問題(もんだい)ありません」


 少女は、客に向けて笑顔を向ける。客は驚いた様子で、買取金額(かいとりきんがく)を見つめる。どうやら、実際(じっさい)の被害額よりも多めに含まれていたようだ。


「では、お気をつけてお帰りください」

「は、はい!ありがとうございました!!」


 客は、少女に頭を下げてその場を去っていった。望月と五十嵐は、驚きながら先客を見る。


随分(ずいぶん)と肝が据わってるお嬢さんだな」

「凄いですね。出来のいいものをすぐ偽物って言えるなんて」


 2人は、そう言うと少女は近くまで来る。


「道警の方々ですね。どの要件(ようけん)御来店(ごらいてん)頂いたのですか?」

単刀直入(たんとうちょくにゅう)に言うが、ここ最近札幌で起きてる連続変死事件(れんぞくへんしじけん)の件で、何か聞こうかと」

「はい。こちらでも事件については調べあげておりますのでとりあえずこちらへ」


 2人は、ふたたびソファに座る。少女もまた、名刺と共に、事件について調べたファイルを2人に見える。


「『探偵事務所(たんていじむしょ) 如月(きさらぎ)オーナー キサラギ・アルトナ』?随分と珍しい名前だな。アメリカ人か?」

「いえ、私は日本に帰化(きか)したものですので、お構いなく。では、こちらが私の方で調べあげた物です」


 2人は、まじまじとファイルの中身を見つめる。なんと、捜査本部(そうさほんぶ)よりも精密(せいみつ)に集められた内容だった。

 そっちでは見た事もない写真や諸々(もろもろ)が、そのファイルには記されていたのだ。


「おいおい。お嬢さん、あんた相当調(そうとうしら)べあげてるな」

「これでも、まだ出てない情報もありますのでなんともは言えないのですが」

「これだけ調べたのを本部(ほんぶ)に見せれば、捜査(そうさ)が進みますよこれ!!」

「いや、ダメだ。奴らはこれを見たって信用しねぇだろ?」

「そ、そうですか。でも、これで次の事件(じけん)未然(みぜん)に防げますよ!?」


「そうじゃねぇよ。あいつらは、自分で調べたのを有益(ゆうえき)根拠(こんきょ)に使うだろう。奴らは利益(りえき)出世(しゅっせ)にしか興味(きょうみ)ねぇんだよ。だからこれは使えねぇ。わかるか?」


 望月は黙り込むが、少女は話し始める。


「なら、明日そちらにお(うかが)いしてもよろしいでしょうかもっと有益な情報を提供(ていきょう)する事を約束をするなら、どうでしょうか?」


 2人は、頷いてお互いを見つめ合う。それは、2人にとって願ってもない要求(ようきゅう)だったのだ。


「よしいいだろう。明日、改めてこちらに車を要して伺うことにしよう。望月。行くぞ」

「行くぞって!いきなり言うのやめてください!!」


 望月と五十嵐は、何かを掴んだ感覚を感じる。すぐに戻った2人は、夜中ギリギリまで資料をまとめたのだった。

所々修正しました。

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