死ぬかもしれない
今度は魔法使いに会う時に会う約束をして、俺は屋上から屋上に飛び移って帰った。
家に帰ってから魔法使いと戦う前に、スケさんに現状を確認する。
「俺の後付けステータスは、体力+512、魔力+512、筋力+512、知力+512なんだけど、それってスケさんの世界では、どれくらいの強さになる?」
『レベル30くらいの中堅探索者って所ですかね』
「今でレベル30で中堅か、本当に異世界って化け物ばっかりだな」
『魔物のいる世界では普通ですよ、この世界が優しい環境なんだと思います。
ですが、中堅と呼ばれる中級探索者は戦える人間全体の3割、下級5割、上級と初級が1割なんです。
最上級はほんの一握り、マスターは1ヶ月程度で中級なんですから自信を持って下さい』
「自信なんて持てないよ、たった今砕かれたばかりだから。
オーガキングとか、ミノタウロスとか強い魔物だと思ってたんだよ、サラマンダーだって倒したし』
『そういう事ですか、オーガキングはCランク下位、ミノタウロスはCランク中位、サラマンダーはBランク下位、十分に強いですよ。
マスターの記憶ではオーガキングは強敵ですが、ワタシの知る世界では、やや強い程度ですね』
「確かに、簡単に倒せる様になったもんな」
『前にも話しましたが、世界は無数にあるのでオーガキングが物凄く強い世界線もあるかもしれません。
人間の強さも世界によって違うんですからね』
「そうだよな、問題は魔法使いがどれくらい強いのかだけど、異世界で最上級探索者並なら今の俺じゃ相手にならないな」
『ですね、他の異世界から来たとか、この世界で特別な力を手に入れたとか、可能性は無限です。
ステータスを最上級レベル並まで出来れば安心ですけど、マスターが嫌ですよね』
「どれくらい?」
『最低でも+3000は超えますね』
「嫌だな」
『ですが、本当に危ない場合はステータスを上げさせてもらいます。
マスターを死なせるわけにはいきませんから』
「わかった、俺も死にたくないし、それでいいよ」
話しは終わって、俺のステータス強化用にポイントを残して、俺とスケさんのスキルレベルを上げて、新しいスキルを探す。
ダンジョンに挑む時間は1日3時間、ダンジョンの前後に睡眠を取る。
連続じゃないので少し眠いけど、睡眠時間は6時間確保した、魔法使いと会うのは3週間後、その時に睡眠不足では意味がない。
3週間もあればスキルレベルは十分に上げられるはず、目標は治癒魔法をレベル5、聖魔法と呪魔法をレベル10にしよう。
その他はダンジョンを進みながら、必要なスキルを取得する。
スケさんは念動と神眼をレベル7に、神眼はレベル5で俯瞰視、レベル6で共感視、レベル7で動印視が使える様になるらしい。
俯瞰視は名前通り上空からの俯瞰、共感視は他者の視界を共有する、動印視は力の流れが視覚として捉えられるとの事。
説明を聞いても、動印視は意味が分からなかったけど、使うのはスケさんなので任せておけば大丈夫。
魔法使いの情報は権田に頼るだけじゃなく、ゴーレムを増やして情報収集を続ける、新しい情が手に入れば儲けものだ。
スキルレベルを上げるのに必要なポイントも増えているので、スケさんのスキルレベルを上げるのには苦労しそうだけど。
最近は1度のダンジョン探索で、3~40000ポイント稼いでるから、時間も増やすしなんとかなる。
17階層は16階層と同じ火山地帯、魔物も変わらず少し強いなったと感じる程度、特に苦戦する事なく先に進む。
18階層は溶岩洞窟、火山地帯とは違って熱が籠るので何もしなくても汗が止まらない。
魔物は猿が先に出なくなって、溶岩の中にサラマンダーの亜種なのか、溶岩を吐いてくるヘビが増えた。
倒し方は普通のサラマンダーと同じで、重力の魔眼で浮かせて槍で突き刺す、沈む前にスケさんが魔石と槍を回収して終了。
邪魔な猿がいなくなって戦いやすくなったけど、数だけは多かった猿の分のポイントがなくなって、稼ぎが少し減ってしまった。
19階層も溶岩洞窟で、流石に暑さがキツくて熱耐性スキルを取得した。
熱耐性スキルは、暑さや寒さによる影響を軽減してくれるスキルでレアスキルだけど、5000ポイント。
迷ったけど、暑さが快適とまでいわないが少し暑い程度になったので、効果には満足だった。
魔物はゴーレムとガーゴイルがいなくなり、背中に甲羅じゃなく火山を背負った亀が出てきた。
亀はゴーレムやガーゴイルよりも硬く、甲羅以外に攻撃しても弾き返されてしまった。
攻撃して硬いと感じたのはワイバーン以来かもしれない、亀の動きは遅いが攻撃を弾かれた直後に背中の火山が噴火して、亀の周辺に高温の石が降り注ぐ。
亀自身にも石は当たっているが全く気にした様子はない、四つ足の亀はスケさんが転がす事も出来ない。
俺は咄嗟に斧をしまって、透過で亀の体に手を突っ込んで呪魔法のドレインを使った。
亀が悲鳴を上げて暴れるが、俺は透過の効果を解いているので、突っ込んだ腕はしっかり亀に固定されている。
亀の熱で火傷する痛みに耐えながら、ドレインで亀の生命力を吸い付くして、なんとか倒せた。
亀は1匹倒すのに時間がかかるから無視して、サラマンダーを倒した方がポイントの効率は良い。
投擲用の槍がサラマンダーや溶岩の熱で変形して壊れてしまうので、補充しに行かないと心許ない。
20階層も溶岩洞窟のまま、リザードマンが出てきた、体長は3m攻防速のバランスが良く、集団で色々な武器を器用に使う。
火属性の大型爬虫類だらけの階層で、小回りが効いて、遠くから矢を射かけて来たり、盾を前に距離をつめて近接武器で攻撃をして来たり。
さらに口から火を吹いたり、両手が塞がっても尾を使って攻撃してくる、普通は難敵なんだろうけど、俺とスケさんには相性が良かった。
リザードマンのお陰でポイントが稼ぎ易くなった、足りなくなって来てた投擲用の武器も補充出来るし、いい魔物だ。
そして20階層には階層ボスの門があった、何が出てくるか分からないから、休憩を兼ねた話し合いをする。
20階層に来るまでに10日かかったし、魔法使い対策に残りの時間は20階層でポイント稼いで、階層ボスと戦闘訓練するか、先に進むか。
珍しく俺もスケさんの意見が一致して、20階層に残る事になった。
休憩を終えて階層ボスの門を開けて中に入った、中には2体の魔物、階層ボスは1体と思い込んでいたから、心の準備が全然間に合わない。
1つ目の巨人サイクロプスと、9つ首の蛇ヒュドラが門が閉まると同時に襲いかかって来た。
サイクロプスの棍棒が地面を叩く、さっきまで俺が立っていた場所だ、ダンジョンじゃなかったらクレーターが出来るんじゃないかと思う威力。
背中に冷たい汗が流れる、しかし脅えて止まっている余裕なんてない、地面を這う音が聞こえた瞬間口を開けた蛇の頭が目の前にあった。
口が閉じる寸前で斧を振るって、蛇の上顎を切り飛ばして回避する。
飛ばした上顎は光なって消え新しい顔が生えてくる、前も思ったけど階層ボスと階層の魔物の差が酷い、魔法使いと会う前に死ぬかもしれない。




