第2章1ー41
アミ一行がフェルマエの街を巡り、あれからさらに数日が経った日のことだった。アミ一行と、フェルマエの王は、交流を重ね、親睦を深めていく日々であった。アミ一行とフェルマエの国王並びにフェルマエ国はその度に、七色の壮麗な大気を共に味わい、その大気のひとつ粒ひとつ粒を鳳凰の尾として噛み締め、噛み砕き、吸って、消化吸収し、栄養を蓄え、互いに血に変えていった。
フェルマエの王はアミに言った。
「わしは、時に途方もない理想と出逢い、時に途方にも暮れるものじゃ。そういう時は、煩わしい気持ちが湧いて、その煩わしい気持ちを誰かや時には神様の所為までにして、怠惰になっていくか、忘れていきながら、誤魔化し、わし自身に失望し、開き直ったりしながら、のらりくらりと生きてきたものじゃった」
アミはフェルマエの王の飾らない言葉に、肝銘し、包み込むように言った。
「理想を持つことは素晴らしいことだと思います。人に宿る理想のなかには、たくさんの神様からの恩恵やお計らいがあられます。神様から頂いた神様の命が私達の命の中心にあります。理想とは、その神様から頂いた命の中心から生ずるものです。私達、人間は、その理想を生きていくことによって、それぞれ最高のしあわせを約束されます。理想を現実に着地させて、出来るところから、生きていくことによって、その理想が次第次第に、現実に息づいてきます」
フェルマエ王が、身を乗り出して言った。
「理想とは、なんじゃ?わしは、理想が時に窮屈に感じるのじゃ」
アミが言った。
「そうですね。そのように感じられることもあられると思いますが、理想とは窮屈なものではないと、私は感じております。理想とは、もっと自然なものであると、思います。自由に流れて、地に染み込んでいく水のように、その時々の自分にフィットした柔軟で、変化の富んだ溌剌としたものであると、私は感じております。ですので、その時々の自身の喜怒哀楽を抑制しないこと、解き放ってあげることも、理想の働きのひとつであると、思います。自分自身の弱点や欠点でさえも、存在しているから生じるものでありますので、削ることなく、そのまま伸ばしていくイメージを持たれると良いと思います。肯定的、楽観的に自分自身のせっかくの命を感じられて下さい。また、理想は、大きく分けますと、2つあると思います。個人レベルの理想と全体レベルの理想があります。それから、理想と真理は本来一つであると思います。先程話したものは、どちらかと言いましたら、個人レベル寄りではあると思いますが、全体レベルにも相通じる内容でもあります。全体レベルと言いました時の規模やジャンル、グループは、様々ありまして、このフェルマエ国のような規模もあれば、国々同士の規模、もっと大きくなっていきますと、地球、または、夜空に浮かぶあの星々の宇宙やその先まで広がっていきます。もう少し全体レベルの理想について、これから話しをしていきたいと思います。
全体レベルということですが、この世界は全てが、繋がり合っています。一見関係が無いようなものでも、無関係なものは何ひとつないと感じられます。世界全体でひとつの体のようであり、翼であり、詩であり、命のようです。ですので喩えば、他の国の小さな男の子や野花、あの流れゆく雲のかけら、おもちゃ、ヤツガシラ、星々が、陛下のなかにも、私のなかにも、生きて血となり脈を打っております」
フェルマエの王は、瞳を錫色にして、アミを見た。
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(酔いごとの…)
あれは、いつしかわすれてしまいますた。たなかさんのちかくには、すずきさんもいらして、それからというものは、美らさんといっしょみたいでしち。
※続く




