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アミューの旅  作者: アミュースケール
第2章 輪廻転生
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第2章1ー9

(どこにでもあるような、ありふれた言葉こそ、わたしは讃えられるべき言葉であると、心底思っているところがある。その理由の一つとして、風変わりな言葉や、また詩情などは、それらに支えられているようにも、感じるからだ。銀河ほどにも大きなエネルギーがそのありふれた言葉のなかには凝縮されており、また、透明度が高い聖なる沈黙が、そこには宿っている。言葉の長い長い放浪生活をしたあとに、また、その、ありふれた言葉に、最後の最後には回帰していく。わたしからしてみれば、ありふれた言葉とは、なにか切迫した最後の最後に、たとえば、愛しいあの人や恋い焦がれるこの人の名前を、ただその名前だけを、ただただ名前だけを、呼んでしまうのと、類似しているようにも、感じる。もしかしたのならば、自分自身のなかで、日常的に最も頻繁に出てくる言葉や発想、行動こそ、芸術の最たるものなのかも知れない。自分自身のなかでは、あたりまえになっていることを、ただただ表現すれば良いのかも知れない。有り難いことに、人間はそれだけの資質や恵みを、あたりまえのように神様から、頂いているようにわたしは思う。それから、どんなに穢らわしい言葉でさえも、非日常的な言葉でさえも、その人にとって、自然であり、一致しているのであれば、それ以上に美しい言葉はないのではないだろうか。たとえば美化されてしまった言葉というものは、その言葉を放った実体とのズレが生じている為に、何か、力が無いものになってしまい、あの不可思議なほどの感動と感銘を産み出す力や、その原動力には、到らないのだ(厳密にいえば)。時おり、小さな子供が発する、ありふれた言葉や行動、存在に、ハッとさせられたり、感動したりするのは、小さな子供のなかには、真実の告白が、ひとつなるものが、常に、あるからだ。やはり言葉とは、名前に等しく、その語り手の実体を現しているために、裸の言葉を目指していくことが、言葉を扱う者の避けられない宿命ではないであろうか。流動的かつ不動なる実体と、流動的かつ不動なる言葉を一致させ続けること。つまり、ありふれた言葉のなかにこそ、最も大きな奇跡が息をしているのではないだろうか)


たとえば重々無尽(じゅうじゅうむじん)の縁起により、フェルマエ軍は、ワラコの街を今か今かと襲撃しようとしている。北に、8キロほど行けば、もうそこはワラコの街である。昨日、この軍に、一文届いた。それからこの一文を読んだ将軍はこのように、考えた。


これは、本当に計りがたい力のある者が書いた文であるか、それとも、どうしようもない愚者であるかのどちらかである、と。


将軍の名前は、ルタン。

ルタンとしては、一度、確認しなければならないものがあった。

しかし、自ら行くことは、立場上難しいものがある。そこで、ルタンは、数名の偵察者をワラコの街に、向かわせることにした。


動けないときは、やはり、動かなくていいものでもあって、ルタンは幾つかの血の流れる戦場、命懸けの修羅場を駆け抜けてきた人物であり、ここぞという時には、ある程度機転や機知を働かせたり、風向きを読みとって、機敏よく、旗を振れる男でもあった。


現代の年齢でいうならば(この時代の平均寿命は120歳前後であった)、ワラコの王が54歳で、ルタンが45歳、アミが27歳、カサが26歳、ハマエが24歳であった。


ルタンが住むフェルマエの街は、ワラコよりも南西に700キロほど行ったところにある。ワラコの街よりも、大きく、他国との交流もワラコよりかは、盛んであった為、人々の暮らしや生活水準も高かく、フェルマエでは、ある程度の文明や文化が発達していた。


ルタンは、フェルマエの王の直属の将軍の一人であり、フェルマエ軍の主な将軍は四天王と呼ばれており、その四天王の一人であった。この度、フェルマエの王からの命により、ワラコの街にまで、四天王の一人であるルタン(みずか)らが、遙々(はるばる)と出兵しに来ていたのだ。

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