第05話 異能者達のロンド16 - 対能力者連携戦
第05話 異能者達のロンド16 - 対能力者連携戦
嫌なことは、早めに対応するのがよりよい人生を送るコツである。
俺はまず蠢く肉塊を眠らせた後、ギャルっ娘を眠らせて、最後に新たに登場した『パイロ・クイーン』と対峙する。
すぐに眠らせなかったのは、思いのほか美女だったからだ。
「あなた、強いのね。なにをやったのか知らないけど、この『パイロ・クイーン』の能力を防いでみせるなんて。でも、あなたに次の攻撃が……」
やっぱりヤバそうだったので眠らせた。
さて、これで公園内で起きているのは、最初にやってきた三人になった。
俺と小島、そして土管の中からのそのそと這い出してきている斎藤である。
「で、どうする?」
俺は端的に、小島に向かって尋ねる。
真夜中に、こんな身の毛もよだつような恥ずかしい状況に巻き込まれるなど想像もしなかった。
だが、今はその責任を追求するよりも、この状況を終わらせることの方が先である。
明日も学校はあるのだ。
「すぐそこに『不死者』がいる。僕はそれを消去する」
俺は少し考えて思い出す。そういえば、そんな固有名詞を聞いたような気がする。
それで思い出したが、このように、ややこしい事態になる前に不審な気を感じて、チロを張り付かせていたはずだ。
もしかすると、関係があるかも知れない。とりあえず、チロを呼び出してみることにする。
俺は、スマホを取り出してチロに電話する。
「はい、ご主人さま。チロです」
こっちが驚くくらい早く電話にでた。
「今、そこに誰かいるか?」
俺の質問に対して、チロは食い気味に答える。
「チロは今、眷属と一緒にいます」
どうやら『不死者』というのは、ヴァンパイアの類似品だったようだ。
「わかった。そいつを連れてこい」
俺が命じると。
「はい、ご主人さま。喜んで!」
嬉しそうな声が聞こえて電話が切れた。
俺はスマホをポケットにしまいながら、小島に向かって話しかける。
「小島の言ってるやつって、それのことか?」
いいながら俺が指差した方を小島が見ると、そこにはチロがいた。
チロは仕事が終わった後、直接来たのでまだ会社の制服のままだ。
だが、今問題なのはそこではなくその足元に転がっている物体。
人間の男のようにも見えるがおそらく違う。




