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第04話 最強伝説-01 - アルバイト

第04話 最強伝説-01 - アルバイト


 最近になって、ルーファが近所のコンビニでアルバイトを初めていた。

 超がつくほど美形だが、長耳、銀髪、銀色の瞳、それに白人とはまったく違った透明度の高い白い肌。これらの特徴を余すことなく備えた純血のハイエルフであるルーファは、現代日本においてどこからどう見ても、たとえどんな格好をしていようと、コスプレイヤーにしか見えない。

 普通に面接を受ければ、甘々のコンビニバイトであっても『あなた、ふざけてるの?』という話になる。

 俺としては、家でひたすらゴロゴロとして家畜というよりは、ほぼ害獣と化している今の状況が改善されることを期待して手を貸してやった。

 面接を受けたコンビニオーナーが、俺の知り合いなので口を利いてやったのだ。

 翌日からルーファはコンビニで働き始めたわけだが、すぐに反響があったらしい。

 主に男子、それもヲタ系の男子から絶大な人気を集めて、何やら女神扱いされているとのことであった。

 俺としては、よくよく無知というのは恐ろしいことなのだなぁと思い知った気がした。

 口利きをした手前、ちゃんとやれているのか気にはなっていたのだが、そういう状況だということを、主に斉藤方面からの流れてくる噂話しを聞くと、中々様子を見に行けずにいた。

 正直な話、ルーファを崇拝するような連中と同列に扱われたくない、という気持ちが俺の中の責任感を圧倒的に優っていたのである。

 とまぁ、ほぼ放置状態に近い現状であったが、特に問題も生じなかった。

 バイト代を家計に入れるような殊勝なまねをするようなことなどはなから期待していなかった。

 とはいっても、おねだりするようなことをしなくなっただけでも、俺としてはありがたかった。

 少しばかり厄介事が減ったかと思ったのだが、思わぬところへと問題の火種は延焼してしまう。

 なんと、シリンまでもがバイトに行きたいと言い始めたのだ。

 自由になるお金を使って、色々と欲しい物を買い始めたルーファを見て、羨ましく思い始めたらしい。

 日本語の勉強をそれなりにやっていたルーファと違い、シリンは未だに極めて偏った方面の日本語しか話せない。

 なにしろ日本語知識の元となっているのは、主にファンタジー系のアニメであるから、彼女のボキャブラリーは主に厨二病的へと偏重している。

 ただ、それだけならば単なる美形のアニヲタ女ですむ話だが、致命的なのはシリンが対人交渉を実力行使でやってしまうということである。

 ようするに好戦的ななのだ、それも顕著に。


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