自分の願いを見付ける日
わたくしが聖女になって、その後のごたごたから半年が過ぎた。
故郷の国に帰るつもりはないとあの後正式に声明を出して、あの時の騒動の光景を神の御力で故郷のいたるところで映像として見れるようにした。
その際の国賓としての元婚約者の行いとか神同士の映像。神の思惑で、故郷の神を信仰するものが減ったそうだ。
女の敵扱いで。
信仰心が減ることで、神は力を弱めていく。
それと反対に一途に妻だけを大事にするアレルヤアローさまはその見目の良さも手伝って、信者が増えた。
「そうやってほかの女性にくどかれるからこどものすがたをしてもらっているのよ」
不満げにホーリーライトさまがおっしゃっていたが、それでも信者が増えるのは嬉しいようでニマニマ笑っていた。
「それとこれで何が関係あるのですか?」
「敬語はやめてくださいな。慣れていないでしょう」
ゴルドー神官の問い掛けに質問ではなく、別の言葉で返す。
敬語で接していたから気にならなかったが、神官、聖女に身分はない。一応状況で使い分けるが、筆頭聖女のニイナさまはかつては平民だから敬語は普段使わないように、ゴルドー神官はもっと口が悪かったのだ。
「元貴族令嬢ですが、もう関係ないので普通に話してほしいですわね」
「い、いや……それは……」
「……………」
「……だから」
「……………」
「………じゃあ、そうする」
「そうしてください」
「だったら、それが何で大工仕事になるんだ」
わたくしの手には木の板。
「自分のしたいことを探してみようと思ったのですが、まず王太子妃教育以外知らないことに気付いたのです」
ゴルド-神官と一緒にアレルヤアローさまの秘密基地を作るのを手伝いながら話をする。
「だから、まずいろんなことを挑戦しようと思ったのです」
木を切るのは流石に止められたが、板と板を組み合わせる作業をさせてもらう。
本来なら木に釘を刺すものだが、秘密基地は主神のための物。釘を使わない組木加工という技術で作るそうだ。
パズルみたいで面白い。
釘とかを使っていないから参加させてもらえたのだろうけど。
「だからって、大工の真似事をしなくても……」
「したことないことは楽しいですよ」
ゴルドー神官の方に視線を向けて、
「特に好きな方と一緒に行えるのは」
微笑んで告げる。
「すっ、好き……!?」
「ええ。――でも、わたくしはまだこれが友愛なのか恩人に対する想いなのか。それとも別の物か理解できていません」
「そうだな……。良かった。変な期待しないで」
胸を撫で下ろす様を見て、脈ありだと思ってしまう。
確かに今はまだ恋愛だと言えない。
この方のことだ想いを伝えても刷り込みとかなんだかんだ言ってくるだろう。ならば、外側からじっくり攻めて、受け入れさせる。
それが今わたくしが一番したいこと。
(覚悟してくださいね)
微笑んで心の中で呟く。
それがわたくしが見つけた【いま、一番したいこと】だから。
未来に向けて捕食END




