9.ほんとだ、直ってる!-それは姉を撫でているのと同義なのだから-
全44話予定です
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)
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整備ドックでは急ピッチで修理と改修されたゼロワンの機体がコックピットを開けて待っていた。
「ほんとだ、直ってる!」
レイリアは嬉しそうである。ちゃんとコックピット回りも直されていた。
「良く治ったねー、よしよし」
思わず機体を撫でる。
「レイリア、今している[それ]は非常に重要なんだ。だってこのレイドライバーはきみのお姉さんが入っているのだから。そして、レイドライバーの感覚器官はコアユニットに接続されている。つまりは、だ」
それは姉を撫でているのと同義なのだから。
「そっか、知らなかったとはいえ今までゴメンね」
そう言ってまた愛おしいものを触るように撫でる。
――ゴメンね、姉さん。
「そろそろいいかな」
頃合いを見てカズがレイリアに声をかける。
「あ、うん。そうだった。テストするんだよね」
そう言ってコックピットの中に入る。それをカズが横に来て、
「という訳で、きみは半分は第一世代、コントロール系は第二世代という複雑な形態になった訳だ。だけどきみたちなら上手くやれると思う。座ってみてどう?」
カズがそう聞くと、
「あれ、操作系のスティックがない。あるのはモニターだけ?」
素直な感想を述べる。
すると、
「そう、コントロール系はきみの体で行うようになるんだ。無線とか、サブプロセッサーを呼び出すときは音声認識システムか視線追従システムを使うんだ。とりあえず、ハッチは開けたままやってみよう。さぁ、プラグを」
そうカズに促されて首のうしろとお腹にプラグを刺す。
「刺したよ、次は?」
「そうしたら、どっちでもいいんだけど、じゃあ音声の方で」
そう言ってカズはタブレットの文字を見せる。
「コマンド、サブプロセッサー、機体の起動を指示します」
ちょっと張った声でレイリアが読み上げると、
「パイロットの神経系を切断、コアユニットの神経回路に接続……完了、サブプロセッサーとの接続……完了、起動しました」
きわめて抑揚のない人工音声が流れる。
「こんな風に感じているんだね」
あえてコアユニットは、とは言わずに感想を述べる。レイリアだって、バカっぽく見える時もあるがバカではない。
「今回、レイドライバーの体表面のセンサーも一新したからね。今までよりリアルに感じるはずだし、感じているはずだ」
カズもあえてそこには触れない。
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