7.この腕の運用は-あれ? 腕が動かない-
全44話予定です
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看護師は一通りのチェックをして異常がない事を確認した。
「ちなみにこの腕は人間が持てるくらいのモノなら持つことが出来ます。接続部も骨に直に付けてあるので強度は出ていますが、無理をすれば……分かってますね?」
「はい、気を付けます」
と言った言葉に、
「この腕の運用は大尉が権限を持つ事になっています。その権限と言うのが」
看護師は手元のリモコンを操作する。
すると、
「あれ? 腕が動かない」
まさに義手の部分の感覚がなくなり、文字通り指一本動かせなくなったのだ。
――運用ってこういう事なのね。でも、いいよ。
看護師はまたスイッチを操作して感覚を戻したあと、
「このスイッチは義手とリンクしています。例え操作しなくても、リモコンからの電波が受信できなくなった時点でさっきと同じ事が起きます。電波の範囲は、大体基地一個分くらいと覚えておいてください」
それはつまり、カズから一定距離離れると腕が使えなくなる、という事を意味している。
それが分からないほどレイリアだってバカではない。
「つまり、カズの傍から離れられないって事?」
素直な疑問だ。
「その通りです。レイドライバーの操作時は回路を切り替えるので、例え大尉と離れても問題はないと思います」
なるほど、その通りだ。その為の首の機械なんだろうから。
カズから生身で離れる時、それは作戦時を除き離反したか、あるいは拿捕された時くらいしかないのだから。
「次はこちらに来てください」
そう言って壁にある椅子にレイリアを座らせる。
手術着というのは前と後ろに布がかぶさっているが、前後をただ紐で縛られているだけなので横は露出している。なので、手術台から降りるだけでも大事な部分が見えそうである。そしてここには女性の他に男性も勤務している。十人前後はいるだろうか、それぞれに何か作業をしている。
――って事は、この部屋は手術だけじゃあないのね。
だが、恥ずかしさ、なんてものはとうの昔に孤児院に置いてきた身だ、そこは堂々としている。見られてもお構いなしだし、気にして見る人間もいない。ここにいる人間は人の裸なんていうのは日常茶飯事、つまりいつもの日常なのだから。
「これでいいですか?」
指定された通りに座る。
「首のところに機械が付いていると思いますので、まずは触ってみてください」
と言われたので首のあたりを触ると、確かにちょっとだけ金属の感触がある。
「それが頭部のプラグの代わりになるものです。もちろん、子宮のプラグは引き続き使用します」
レイリアはふと頭部にあるはずのプラグの場所を触る。するとどうだろう、綺麗にその部分が無くなっているのだ。
「じゃあ、頭のプラグは?」
「除去しましたよ」
――そりゃそうか。じゃあ、クリスたちもこんな手術をされたんだろうか。
そんな事を思いながら説明を聞く。
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