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水無月蔵光の冒険譚  作者: 銀龍院 鈴星
第一章 伝説のはじまり
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第14話 ギルマス部屋へ

とりあえず入れました。修正入れるかも

第14話 ~ギルマス部屋へ~

訓練所の中は、まだ先程の試合のことで盛り上がっていた。

「イヤー凄かったな!」

「あれは、ヤラセだろ?いくらなんでもギルマスが負けるなんて。」

「いやいや、ヤラセであんなに壁へめり込むか?」

「壁に細工がしてあったんじゃね?」

「そんなことして誰が得するんだよ!」

「じゃあそれだけあのガキが強いってことか?」

「いや~そりゃないだろ。」

「じゃあやっぱりヤラセだ!」

等々、その日のギルド内の飲み屋はこの話題で持ちきりだったとか、何とか。


蔵光(くらみつ)達は、模擬戦闘のテストを終え、訓練所を後にしたが、元々目立つのが嫌なタイプ(まあ嫌でも目立つが)の蔵光はギルマスとの試合の後は、一番に影のようにスッと姿を消した。

だが、2階のギルマスの部屋へ続く、幅広の階段の途中に設けられている、やや広めの踊り場にいたところをゼリーに見つかった。

ここは、ある程度人が行き交っている1階を嫌った蔵光が、人混みを避けるのにちょうどいいと思って移動していた場所だった。

(あるじ)ぃ~なかなかやるやんけぇ~外野の冒険者らも主の試合見て、腰抜かしとったでぇ。」

とゼリーが階段の段をピョンピョンと飛び上がりながら蔵光へ近付き、声をかける。


「目立ってしまったよ、ゼリー。」

蔵光は、さっきの試合でやり過ぎたとちょこっと気持ちが降下中であったが、それとは裏腹に、ゼリーの後から階段を上がってきた誠三郎も上機嫌であり、

「若、やりましたな。壁の中へめり込んだギルマス殿にはちょっと、私自身悪いことをしたなと思いますが…ぷぷぷ」

と言いながらも二人ともドヤ顔であった。

「でもあの人、普通の人のレベルなら結構強いと思うよ。技もなかなか強かったと思うし。」

「そうですな、()()()()という意味ではかなりの腕前かと。」

「そうやな、まあまあのそこそこってトコやな。」

等と話していたところ、後ろから声をかけられた。

「あの、」

「ん?」

蔵光が声のする方を見たところ、先程、誠三郎と模擬戦闘試合をした、ヘルメスが立っていた。

「どうしました?」

誠三郎が試合をした相手としてヘルメスの

声かけに応じた。

ヘルメスも誠三郎のほうに用があったみたいで、

「先程は大変失礼しました。あなたのご主人様に『あんな少年が』などと言ってしまい、大変申し訳ありませんでした。」

「ああ、その事か。ははは、別に気にしなくていいですよ。で、どうでしたか、若は?」

「あ、はい、確かに強いというのはわかったのですが、何か全く私達とは別の次元の強さというか…」

「はっはっは、ヘルメス殿、よくわかって頂けたようですな。」

「はい、あなた様の剣やそちらの水無月様の戦いで私は目が覚めたような気がします。今までの私はかなり思い上がっていたと反省しています。八鬼様の剣を目指して私も精進していきます。」

こう言うとヘルメスは(きびす)を反して、階段を降りて行った。

「セイさんは、彼女のこと何か知ってたの?」

「いや、特に知っている訳ではなかったのですが、彼女の剣からは自信とともに、自惚(うぬぼ)れや、人に対する(さげす)みの気持ちが伝わって参りました。それで…」

「このアホって感じで、わからしてやったんやな?」

とゼリーが突っ込む。

「いや、そこまでの気持ちはないが、まあ、よくそこに気付いたと誉めるべきですかな。あとギルマスにも。」

「何やそれ?ちょっと詳しく教えーや?」

ゼリーから追及されたが、ゼリーは口が軽そうなので、誠三郎はギルマスとのやり取りは伏せることとした。


その後、蔵光達は、ギルマスの部屋へ訪問した。

部屋の中には、ジアドとハーブが待っていた。

ギルドマスターの部屋は正式には、

『冒険者ギルドタスパ支部・支部長室』

という。

室内では、窓際に支部長の机が、応接用のソファーが部屋の真ん中に置かれている。

調度品は高級とまではいかないが中々洒落た感じで、少し大型の観葉植物などもさりげなく部屋の隅に置かれていて、センスを感じさせる。


「で、君達は一体何者なんだ…?」

ジアドは開口一番、蔵光に質問した。

そりゃあれだけの力を見せつけた者が、一体何の目的でギルドの門を叩いたのか?

どのような環境が、人間をあそこまで強くするのか、普通の人間ならば興味が尽きない。

誠三郎が口を開いた。

「若は、ジパング王国の武術指南役、水無月航夜(みなづきこうや)様が一子蔵光様です。」それを聞いたジアドの顔から再び恐怖と驚きの表情が滲み出る。

「あ、あの伝説の人喰いドラゴン滅殺伝説の生ける伝説とまで言われたあの水無月航夜殿の御子息ですか?」

「いかにも」

誠三郎のドヤ顔が止まらない。

「それで、ワイが主の従魔をやらせてもらってるゼリー様や!」

とゼリーがこれまたドヤ顔で胸を張る。

「えっ…ええっとスライムかな?」

「ちゃうわ!スライムネコや!見たらわかるやろ!」

ジアドは、このタイミングでゼリーが自己紹介してきた意味が全くがわからない様子で戸惑っている。

ちなみに全く意味はない。

とりあえず、ゼリーに合わせる

「んー猫?…かろうじて猫かな?」

ジアドがゼリーを見て首をかしげながら答える。

「かろうじても何も無いわ!」

ゼリーはその場で手足をバタバタしている。

「まあまあ。皆さん立ち話ではなんなので、どうぞお掛けください。」

そばにいたハーブがゼリーをなだめながら、蔵光達をソファーへ案内した。


ソファーには蔵光達とジアド達が向かい合うように座った。

ソファーは3人掛けの黒を基調とした革張りのもので、中々座り心地がいい。

「それで、ヘルメスと試合をしたあなた様は?」

ジアドからそう聞かれ、

『そういえば、訓練所でギルマスに若との試合を申し込むとき自己紹介してなかったな…』

と誠三郎は思い返し、

「ああ、申し遅れました。私は若、いや蔵光様の従者をしております、八鬼誠三郎(やぎせいざぶろう)と申すものです。」

と誠三郎もようやく自分の名前を紹介した。

「なるほど、全員ジパングから、で何故水無月家の方が冒険者になろうと?」

ジアドがそう聞いてくるのも無理はなかった。


ジパング王国の水無月家と言えば、鎖国されていて謎が多いとはいえ、ジアドのような冒険者には、ビッグネームであり、蔵光はその戦闘集団という意味ではブランドとなる『龍を狩る一族(ドラゴンスレイヤーズ)』の跡取りであり、当然大貴族並みにめっちゃお金持ちだ。

なので、こんな片田舎の冒険者ギルドで冒険者になって力をつけたり、チマチマと小遣い稼ぎをする必要もメリットなんてのもあるのかと思われるからだ。


「武者修行です。」

蔵光が一言そう言ったがジアド達が固まった。

「は?」

「世界には私よりも強い者がたくさんいると聞かされています。ですから、その者と立ち合ったり、強力な魔物を討伐したりと、冒険者になればギルドカード1つで世界中どこへでも行けると聞きましたので。」

と話を続けた。

それを聞いたジアドは、

『こんな強いお坊ちゃんが何を言っていらっしゃるのかな?よく意味がわからないんだけど?』

と一瞬思考が混乱したが、気を取り直し、

「いやいやいや、蔵光様の実力は恐らく世界でも類を見ない強さだと思いますが…」

と答えたが、蔵光は、

「いえ、それには、()の個人的な理由もあって、世界中を見聞していきたいとも思っているんです。」

蔵光は普段、自分のことを『俺』と言っているが、こういった場所などにおける『私』といった言葉遣いも使い分けれるような教養があった。

「なるほど、では早く国外活動ができるようにF級の指定クエストを受けなければなりませんな。まああなた方の実力ならすぐに終了するとは思いますが、力任せでは達成できないものもありますので気を付けて下さい。」

ジアドはそう言いながらハーブを見た。

ハーブは、その視線でジアドが何を言おうとしているかわかっている感じで、横に置いていた書類を出してきた。


ハーブは指定クエストの説明前に職種の説明を始めた。

「まず、F級の合格おめでとうございます。F級からの出発ですが、今回の体力テストや模擬試験戦闘試合での結果を勘案しまして、八鬼誠三郎様は戦闘職(バトラー)の侍、水無月様の職種も八鬼様と同じ戦闘職の拳法家となりますが、どうなさいますか?」

ハーブの含みを持った言葉に誠三郎が質問した。

「どうなさるとは?」

「はい、お二人とも、今から説明させて頂きます指定クエストに関してお選びになりました職種によって指定クエストのコースの内容が若干変わってきますので…」

「というと…」

「はい、得意な戦闘方法や取得スキルなどでコースが違います。今、お薦めした戦闘職の方がお二人ともかなりの実力者ですから、効率的に上位が狙えるかと思いまして。クエストクリア後はC級から、すぐにB級へ上がれたり、上位職へ昇進する難関コースもご用意出来ますので。」

「難関コース?」

「はい、なのでその難関コースを選択されれば、クエストクリア後は、上位ランクや、現在就いている職種の上位職に上がれることになり、上位職になれば、幅の広いクエストが受注できるようになります。」

「上位職?」

「ええ、これをご覧ください。」

ハーブは、蔵光達とジアド達の座っているソファーの間に置かれている長いテーブルの上に、1枚の紙を置いた。

そこに書かれていたのは、職種の一覧表であった。


◎下級職

戦闘職(バトラー)→戦士、剣士、拳士(拳法家)、侍(下位)など、

開墾者(クルティベーター)

情報収集(データコレクタ)→調査員、情報屋、探索者(シーカー)(下位、ダンジョン探索を除く)、斥候(下位)、地図作成など

※特定のスキルの取得が必要な職種あり

○魔法研究家→占術師、呪術士、魔方陣研究家等


◎中級職

上位戦闘職(ハイバトラー)→魔法剣士(下位)、魔法拳士(下位)、騎士、侍(上位)など

※魔法剣士(拳士)→魔法研究家+剣士(拳士)

魔法使い(ウィザードリー)(下位)→魔法使い、聖魔法士、治癒魔法士など

隠密活動家(ステルスマン)→戦闘職+情報収集

→※上位探索者→ダンジョン探索、斥候(上位)、スパイ活動家


◎上級職

○魔導士系統→魔法使い(上位)、

○聖魔法騎士→聖魔法士+騎士

○魔法剣士(上位)

○魔法拳士(上位)


◎最上級職

○聖魔導士→魔法使い(上位)+聖魔法士

○聖魔導騎士→聖魔法騎士+治癒魔法士

剣術指南役(ケンノタツジン)→魔法使い(上位)+侍(上位)


……

……

「これは?」

「はい、これは、冒険者ギルドでの職種一覧表になります。これで全部というわけではありませんが、これらの職種が基本職となり、最終的にはそれぞれ自分に見合った固有職種に落ち着くことになるという感じで覚えていただければ結構かと…」

「なるほど、で、上位職とか上級職はどうやって識別や判断して昇進させるのだ?」

誠三郎がハーブに質問した。

「それは、その職種に見合ったクエストをクリアしてもらい、その時の達成率により、達成ポイントが付きます。」

「達成率?」

「はい、達成ポイントはクエストの達成率90%以上で1ポイント付きます。例えば盗賊の討伐では、10人の盗賊の討伐だとして、10人捕獲すれば100%、1人逃がせば-10%、殺せば-5%という感じですか。ただ、大きな盗賊団とかであれば、冒険者も大人数で対応することになりますので、そういうわけにはいきませんから、例え全員殺してしまったとして、討伐の確認証明ができれば達成ポイントは付くことになります。」

「はー何か難しそう」

蔵光がため息を吐く。

「職種によって達成ポイントの上限が違うのですが、一定数貯まれば、冒険者ランクと同じで社会貢献度とかを加味して上位昇進となります。ちなみに難関コースのクエストはこのポイントを度外視したものですので、Cランクの者であっても、Aランク並の難易度があるクエストを受注していただくことになります。」

それを聞いて、蔵光と誠三郎はこそこそと話をして結果をだした。

「わかりました。じゃあ、とりあえず二人とも先程、言われた戦闘職でお願いします。あと、クエストは難しいやつで。」

「はい、承知しました。では指定クエストをご用意しますので、明日になりましたら、下の受付にお出でください。」

「わかりました。」


こうして、蔵光らはギルドのF級冒険者として活動を開始することとなり、この日からしばらくの間、蔵光らは、飯がうまくて有名な、

海老の尻尾(えびのしっぽ)亭』

という冒険者用の宿屋に滞在することとなった。


今日はちょっと投稿が遅くなってしまったなあ

ゼ「誰もみてへんから、そんなん気にせんでエエで、」

そうかな?

ゼ「そやで、」

それはそれでちょっと…

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