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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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三、空蝉

空蝉の人には会えない日々が続きました。

連絡をとっても、避けられるばかりでした。


彼の妹、この少女に私は小君というあだ名をつけましたが、私から話を聞いた母の伝手で、母の関連会社でアルバイトをしがなら、大学受験を目指すことになりました。母としては学費を援助してもいいと考えているようですが、彼女は奨学金を考えていて、受験勉強に専念できるようにと生活環境を整える手伝いをした私や母に深く感謝しているようです。

ただ、私が空蝉の人に心引かれていることには、気づいているのかいないのか、私から聞くこともできずにいました。


一度、どうしても会いたくなって、この少女と一緒に空蝉の宿まで連絡せずに行ったことがありました。彼は、宿の仕事に明け暮れていました。彼の亡くなった妻の前の夫の子供である義理の息子も、軒端の萩の手入れに忙しい様子でした。


自分でもどうかしていると思いますが、空蝉の人の冷たさが辛かった私は、彼の義理の息子と親密になってしまいました。

それでいて、一向に、私の心は安らがないのです。


空蝉の人も、私のことを思っていないわけではないと思いますが、私や彼自身の立場を思って身動きができないのでしょう。


私はといえば、蝉の脱け殻のように、形はあっても実のない、頼りない気持ちを抱えていました。


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