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放課後、残されてテストを受けさされた。
算数は、まあまあ、できたと思う。漢字が読みはできても書きとりが...。く!難しすぎるのよ!!
理科、社会は昨日の宿題をやってたお陰でソコソコ書けたはず。
その場で、担任の須藤先生が採点している。
手が進んでいくたび、わなわなと肩が震えはじめた。
ひぃぃぃー!そ、そんなに悪かった??
「莉奈様。こちらへ。」
先生が自分の席に座ってた私を呼んだ。
「...。はい。」
「莉奈様。これはどういったことですか?」
テストの点数を見せながら、尋ねられる。
「?」
算数70、漢字50、理科75、社会65だった。
莉奈ちゃんの点数よりは、頑張ってるはずなんだけど!
顔をあげて先生をみたら、先生は泣いていた。
ええー?
「な、ど、どうされたのですか?」
「莉奈様のこんな点数は担任になって三年、初めて見たのです!!感動です!うっうっう!!」
男泣きをされている先生...。
「しかも、この問題!方程式で答えてられますよね?中学になってから学ぶものなのに、よくできましたね!」
「え、あ、ああの、兄が教えてくれたのですわ!」
目がグルグル回ってるのは自分でもわかる。
や、ヤバイ。そうだった。つい楽な方で答えてしまったのだ。
「そうですか。お兄様に!さすが匠様ですね!優秀でいらっしゃるから。」
「兄をご存知なのですか?」
「はい。もちろんです。僕が初めて教師になった時から四年間ご一緒させていただいましたので。」
「...。」
只のダンス馬鹿ではないらしい。なんだかとても、もやもやするのです!あ、あ奴の本性を本当にご存知なのか!!
「とりあえず。安心しました。学力の心配はなさそうですね。この調子で頑張って下さい!」
うし!先生のお済付きを頂いた!勉強地獄から少し解放してもらえるかもしれない!!ふふふっ
「惜しむべきは漢字ですね。このドリルは頑張ったご褒美に差し上げますので、二学期までに仕上げてくださいね。」
!!なんですと?なんで、ご褒美が課題やねん!!こ、このセンコーノーマル顔なのに、ドSか!? ドSはもう間に合ってるよ!!お腹いっぱいだよ!!
「...。」
ショックでわなわなと震えていると、先生はなにかを期待した目で私を見ていた。
? 何を期待してるの?...も、もしかして...。この人...。
「私にこの様な仕打ち!後悔させて差し上げますわよ!」
怒ったようにキッと睨んでやると、頬を染め目を輝かせた。
!!やっぱりか!この教師!ロリコンドМかー!! 告発案件だぞ!!おまわりさーん!
「お手柔らかにお願いします。」
言葉とは裏腹に明らかに嬉しそうにもじもじしている。・・・ダメだ。この担任!!
強烈な頭痛と吐き気に苛まれた私は、侮蔑の目で眺めていたが、残念ながらソレもご褒美のようだった...。
なんなの?このそこはかとなく漂う残念臭は? 友人はオカルトマニア、担任はロリコンドМ、家にはドSが2匹いや、3匹か!ここは、八大地獄の針地獄か!尖りすぎなのよ!まったく、安息の場所がないじゃないの!!助けて!
莉奈ちゃんの荒みの理由が分かってきた気がした。
「莉奈様。お迎えにあがりました。」
校舎から出てくると住田が出迎えてくれた。
「あら、今日は貴方ですか?」
「奥様がOB会に柴山さんとエミリを連れて行かれましたので、僕が代わりに。」
「柴山さんは超がつく真面目なので時々アンドロイドかと疑ってしまいます。」
「彼は有能ですからね。ルー様もお連れしてますよ。車でお待ちです。」
「!!なんと、住田は下半身の抑制以外はできる子なのですね!」
「...。褒めていただけてる気がしないのですが...。」
住田は苦虫を嚙み潰したような渋い笑みを浮かべた。
「褒めておりますのよ。勘繰りすぎですわ。」
しれっと、微笑み返した。
住田は車のドアを開けて私を後部座席に乗せた。
私は座席置いてあるペットケースを手に取り中のルー様に手を伸ばした。
「ナー。」
ルー様の欠伸共に出されるお声に心が洗われた。
あー至福!!先ほどのテストと須藤先生の変態振りにゴッソリ削られたMPが回復された。
「時に莉奈様。莉奈様は黒沢様と白鳥様どちらの方が、お好みなのですか?」
住田は運転席に座り、エンジンを掛けた。
「私の好みなど聞いてどうするつもりですの?」
ルー様を膝に乗せ、もふもふを堪能しながら、質問に質問をかえした。
「お二人にパーティのパートナー申し込まれたんでしょ?モテモテではありませんか!」
住田は運転しながら、ちょっとテンション高めに聞いてくる。
「...誤解ですわ。パーティのパートナーはお兄様に決定済みですし、彼らも他に相手を探すのが面倒だっただけです。」
「莉奈様...。それは、」
私は住田の言葉を遮るように食い気味で答えた。
「そのことについては、これ以上言及するつもりありません!彼らには、私と関係のないとこで幸せになっていただきたいですわ。」
「ちょ、莉奈様...。」
住田は言いたげに呼び掛けてくるが、無視した。
「それより、貴方の低俗のゴシップ記者のような質問は、知り合いの美人記者に頼まれたからですか?」
私は住田の顔をチラッとみる。
「え!!」
住田は驚愕し、慌てて公園近くの歩道に車を寄せて私を振り返った。
「以前、エミリにある方の事を調べてもらった時に兄の知り合いの美人記者に情報をいただいたと聞き及んでおります。もしかして、その方との朝までデートを餌に『ここだけの話』を聞かれているのではないですか?」
「!!え、あ、あの。」
挙動不審に陥り目がグルグル回ってる。
「...はぁ。昨日お母様が『抑制の効かないものはちょん切ってしまえばいい』と仰ってましたけど。報告させていただいてもいいかしら?」
私はため息を付きながら、頭をおさえた。
「ひぃぃぃー!すいません!すいません!ち、ちがうのです。彼女は普段、男勝りのクールビューティーなのですが、お酒が入ると途端に色気が出て、所謂ジャップ萌えなんです!そ、それに、莉奈様には恋の素晴らしさを分かっていただきたかったのです!女性は恋することで益々美しくなられますし...。」
頭を下げながら必死取り繕う住田。
「...。ジャッジは後ほどさせていただきますわ。」
「...。申し訳ありません。」
住田はガックリと肩を落とした。
私はエミリの苦労に同情の念を禁じ得なかった...。




