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 クエストの薬屋は南門の近くにあった。丸いフラスコの看板に”フント薬局”と書いてある。早速店内に入る。


「いらっしゃいませー。フント薬局にようこそ」

 と明るい女性の声が聞こえた。

 その女性の鼻の先端は黒く丸い。顔の横にあるのは耳かな?ダックスフンドのような耳が顔の横に付いている。体毛は全体的に明るい茶色、茶色というよりクリーム色という感じだな。


「ギルドのクエストで、ポーション作成の手伝いにきました。えーすといいます」


「あなたがお手伝いの方ね。私はこの店の店主のソフィよ。店の奥に工房があるから、こちらに来てくれるからしら」

 と言って、店の奥に続く扉を開けて中に入っていった。後ろには長い尻尾が見える。工房に入ると、一人?の男性が仕事をしていた。


「彼は私の夫で薬師でもあるローラントよ。ローラント、ギルドに依頼していたお手伝いのえーすさんよ」


「はじめましてえーすさん。ローラントです。よろしく」

 優しく語りかけてくれた彼は、頭の上に三角の耳がある。鼻と口の周りが黒く、体毛は濃い茶色っぽい。シェパードっぽい感じだな。


「えーすです。薬師の経験はありませんが薬師になりたいと思っています。ご迷惑をお掛けすることが多々あると思いますが、ご指導の程よろしくお願い致します。」


「じゃあ店に戻っているので、あとはよろしくローラント」

 手をヒラヒラさせながら、ソフィーさんは店番に戻っていった。


「ポーションの作成方法や、薬草、毒消しの作り方は理解しているかな?なるほど。

 じゃそこから説明するね。薬草を摘むと薬草生になる。このままでは高い効果は発揮されない。」


説明が続く。要点をまとめると


・薬草生を天日で三日程度干す


・合わせ草を天日で三日程度干す


・薬草と合わせ草を一対一の割合で混ぜる。これでアイテムとして使える薬草になる


・混ぜる際に調合スキルを持っていない場合、失敗する確率が高い


・混ぜる際に調合スキルを持っている場合、MPを消費する


・毒消しも作り方は同じで、調合の割合も同じ。薬草が毒消し草に変わっただけだ


・ポーションは干した薬草と合わせ草を細かく切断し、それを水に一日漬ける


・切断時に調合スキルを持っていない場合、失敗する確率が高い


・切断時に調合スキルを持っている場合、MPを消費する


・割合は薬草十個、合わせ草十個、水二リットル


・漬けた水を弱火で沸騰させて一リットルになるまで煮込む


・最後にビンにつめて完成


 なるほど、しかし調合スキルなんてものは持っていないと思うんだけど。これって手伝える事があるのかな?


「調合スキルを持っていないのですが、どうすれば調合スキルを入手出来ますか?」


「調合スキルは、作成している人の手伝いをして覚えるか、学校で習うかだね。直ぐには習得出来ないよ。私も習得するには一年かかったからね」


 ゲームでスキル一つ覚えるのに一年かかるとか、ちょっと無理だと思うんですけど、何なんですかこのクソゲー。

 がっかりした私を見てローラントさんが

「でもえーすさんは外国から来た方なんだよね?外国から来た人たちの中には特別な力を持っている人が多くて、基礎を学ぶと経験値と言われるものを利用して短期間でスキルを習得出来るらしいよ。 

 もし経験値なるものを持っているなら、それが出来るんじゃないかな?」


 !なんか凄い情報があったよね。経験値を利用して習得って、もしかして経験値を使うとスキルが覚えられるのか?


「具体的に基礎を学ぶのにどれくらいな日数になるのかは分からないけど、伝聞では数日らしい。

 ただ、基礎を教える行為を無料で行うことは禁止されているので

授業料をもらうことになる」


 ムムム、スキルを覚えるのも金が掛かるのか。しかも経験値まで利用して。これは足らないお金は課金してくださいね。とか。そういう収奪の仕組みかもしれん。

 NPCがぼったくるとは思えないしな。凄い人が良さそうで無料で教えてくれそうなのに、ゲームシステムに組み込まれた歯車のようなローラントさんを憐れみつつ、弟子入り希望を伝えた。


「受講料は十万マールになります。」


 所持金が足りません・・・。今持っている所持金をローラントさんにみせた。


「うーん。普段マールはどうやって稼いでいるのですか?」


 兎退治とクエストで薬草生、毒消し草の納品、兎の死体買取と伝えた。


「本当はダメなんだけど、分割払いと薬草生と毒消し草を直接こちらに卸してくれれば買取しよう。そして店の手伝いをしてくれたら手伝い賃を渡すよ。

 十万マール払い終わって、基礎の習得まで終わっていたら、スキルを伝授しよう。それでどうかな?」


「ありがとうございます。それでお願いします。」

 ローラントさん大変ありがたいです。

 本当なら数日かけてお金を稼ぐところを先に教えてもらえるなんて、歯車とか思ってごめんなさい。早速一万マールを渡して、お店の手伝いをする。



 外国からの人[プレイヤー]が多数来ている関係で、ポーションや薬草などの需要が急激にあがっていて、在庫は多数あったが売り切れ寸前だそうです。

 屋上にあがったり、草を並べたりするとMPの回復が遅くなるから、そのような手伝いでも助かるって、そういいながらローラントさんはソファーで寝そべっている。あれもMPを回復するためには重要なんだろう。


・薬草生を十個で二百、毒消し草を十個で二百、期限はなし。


・お店の手伝い一日二時間で二千。干してある草の回収し新しい草を並べる。水汲み。瓶詰め。


・空いている時間はローラントさんの仕事の見学[これが基礎を学ぶ作業]



 ゲーム内の時間が夜になったので、本日の仕事は終わりになった。

 当日分の日当である二千マールをもらった。そしてソフィさんの手作り料理をご馳走になりお店を後にした。時給千円で賄い付きと思えば、けっこういいバイトな気がする。


 ゲーム内は二十時だが実際の日本時間は十六時。ゲーム内の時間流れが現実と違うってのは凄いことだな。

 あれ、ゲーム内で仕事したら倍働けるんじゃないの?もう引退しているから働かないけど。



 お金を少しでも稼ぐために、夜の草原に向かうことにする。

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