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第37話
ただ、これらを使うのは後回しだ。
立ち上がって、つぎつぎと世界が広がっているのを、まるで夢の中の世界でのような形で楽しむ。
心の中の小学生が、舞い上がっているのを感じる。
踏んでいくにして視界が開け、前を向くにしたがって、世界が作られていく。
目の前で、AIによる世界合成が行われているんだ。
興奮しないはずがないだろう。
いまやベランダから眺めることができる世界は、平穏な日本の団地という印象がある。
どこまでも続く直方体の家々は、それだけで何千人と住んでいる巨大団地を思い起こさせた。




