さん
説明文が続きます。主人公は名前くらいしか出てきません。
6/28加筆修正。
「女神堕ち?あぁ、魔力の強い奴等のことだろ?」
「いいよな、魔力が強ければ将来安定の職につけるって聞いたよ。」
「でもよ、国の犬なんだろ?俺は普通がいいよ。」
とある酒屋での会話である。
ブランジェの魔力について、魔法省に役人を依頼していた公爵は、『女神堕ち』との結論をあっさり出した役人兼、医者の言葉に呆然となった。
「そ、それだけか?」
やっと我に返った公爵の問いに役人は答える。
「そうです。自らの力をコントロール出来ない者は、命の火を燃やすしかない。お嬢様が寝続ける理由はその辺りだと。」
余りな言いように公爵夫妻は目を見開く。その視線に怒気を感じた役人は咳払いをして席をたった。
「『女神堕ち者』は強い魔力を持ちますが、その強さもピンキリだ。強い魔力に悩んでいる子供だって五万といる。公爵ともあろう方が権力を嵩に魔法省を動かすなど今後一切やめて頂きたい。我々は忙しいのだ!」
役人兼、医者はそう言い捨て帰っていた。
役人が帰った後、夫妻はお互いを見てため息を吐いた。
「仕方ないですわ、今、魔法省長官は隣国へ視察中。代理はあの方ですもの。」
公爵は頭に浮かんだ男の顔を思い浮かべ眉間にシワを寄せた。
「あの男がまともな役人を寄越す訳がないか。」
大きなため息しか出なかった。
現魔法省副長官クライス・ボトムズは、古くから続く公爵家当主だ。ラーゼフォン家にとってはいい迷惑であるのだが、ボトムズ家は歴史が長いせいか自分の家こそが公爵筆頭と言う思いが強く、元王弟と言う家系のラーゼフォン公爵家が公爵家筆頭と言われることに良い顔をしていなかった。
そんな背景があるせいかクライスは、自分の2つ下で学園の後輩でもあったフィンネル・ラーゼフォン公爵家当主を何時も目の敵にしており、今回のこともちょっとした意趣返しなのだろうと思われた。
「せめて長官が帰ってきてから相談すればよかったな。うっかりしてたわ。」
連載として書いているので“続く”はいらないとの御指摘を頂いております。が、くせだと思って見逃して下さい。“続く”とすることで「続き。書けよ?」と促しているつもりなのです。