じゅうはち
「と、言うわけだ。」
ライオネスからの提案にアルビナ妃とエマージェン妃の表情が一瞬かたまった。
「3歳の幼女に何の教育ですか!馬鹿馬鹿しい!」
エマージェン妃からの憤りの言葉に今、アルビナ妃の宮に集まった面々は強く頷いていた。
「前に言ったよな?アレをどうにかしろと。」
「……。」
開き直っているとしか思えないライオネスの態度。
彼は、近衛のテセウス、アルビナ妃の侍女ラデュレ、エマージェン妃の侍女以外を下がらせた。
「何事だ?人払いなんて。」
ライオネスは大きく息を飲むと1つの書簡を差し出した。
「これを見てくれ。先日、魔法省から届いた。」
極秘とかかれた封書。
封は国王しか開けられない魔法が施されていたがライオネスは既に封を切っておりアルビナ妃にも書簡をほどくことが出来た。国王宛の極秘書簡となれば、確認の後速やかに処理されるべきものだ。
「魔法省の誰からですの?」
尋ねるエマにアルビナが答える。
「長官だね。陛下、何を調べさせていたのです?で、本当に私達が見ても?」
「お前達だからこそ、見せるんだ。」
読んでみろと言われた書を広げ頭を付き合わせて覗き込む2人の妃。
「まじか?」
しばらく後に漏れたのは、速読が得意なアルビナ妃の言葉。ライオネスを見ると彼は頷く。
エマージェン妃は、アルビナ妃から受け取ると食い入るように書を読み始めた。
《陛下が先日、秘密裏に依頼された件について結果を申し上げる前に、『女神堕ち』なる魔力持ちについて話さねばなりませんことをお許し下さい。『女神堕ち』この言葉は長年、ただの強い魔力を持つ者を示しているものでした。若者の間では、ほとんど使われておらず、認知度も低く、認知している者の中には蔑称の1つとさえ思われている言葉です。恥ずかしながら私もただの言葉だと思っていた次第であります。テセウス殿の言葉がなければ、レイズナー伯爵の研究のことなど気にもしなかったでしょう。ご存知の通り彼は優秀でありながら、ただ家族のために出世の道から離れ、閑職に在している者です。そんな彼の研究の理解者で彼の兄であるテセウス殿からスフィア妃と陛下の関係について疑問に思う、彼女の力は弟が研究し纏めたものに書かれていた魔力に似ていると相談されたことから私は極秘にレイズナー伯爵と連絡を取り、彼の意見を聞き、『女神堕ち』と言うものの本質が隠されてきた理由を知りました。そして、彼の中でスフィア妃が『女神堕ち』であることを確信いたしました。我々が今まで常識としていた『女神堕ち』の概念を覆す結果ですが、最後までお付き合いください。》
まず、そう述べられた手紙には、魔力が強いにも関わらず多産であるグランハイム侯爵家のことについて書かれてあった。
読んでいたエマージェン妃がテセウスを見る。彼はニッコリと笑った。
過去に於いてテセウスの母、祖母、そして、妹や叔母達が人とは違う魔力制御方法を取っていたこと。その制御方法をとらなければ安易に魔力は暴走してしまうこと、特殊な制御方法を取っていた者は皆凄まじい力を持っていたこと。『女神堕ち者』の力が国を滅ぼしたとの古文書が某国で見つかっていたこと。その力が発現した当初は女神からの祝福と言われていたが、制御方法の特異性、暴走時の被害の大きさから、女神が不要とし下界に落とした呪いだと言われるようになり、『女神堕ち』と言われるようになったことが書かれていた。




