じゅういち
9/7編集に失敗。変になってしまったか。
スフィア王妃は、3人いる王妃の中で一番爵位が低い子爵家出身だ。嫁ぐ際に、父親は急遽伯爵位を賜ったがそれでも王家に嫁ぐにはギリギリの爵位だとスフィア王妃は思っていた。
けれど、自分には、父親の爵位など関係ないと思っていた。
(だって、私は王妃、いいえ!正妃になるために公爵家の養女になるだろうから、伯爵位なんか、どうでもいいのよ。)
スフィアは、これから訪れる明るい未来にウキウキしていた。
彼女には、一人の姉と兄、そして、2人の弟がいる。みんな仲の良い家族だが、社交に出る時は、家名を告げるのが恥ずかしかった。一部の貴族以外、多産の爵位持ちは、嘲笑の対称とされ、魔力が弱いことを証明しているからだ。兄弟の数が多く宮廷で官吏をしている父親の収入は安定はしているものの贅沢など出来なかった。
社交界デビューの時は、母のドレスを仕立て直した。前回姉が着てから5年は経っており、美しく可憐な自分には相応しくないものだった。しかし、その貧相なドレスのお陰でライオネスと知り会えたのだから、運命とは分からないものである。
自分の思ったように物事は動く、自分は神に愛されているのだと。
楚々とした仕草の裏でスフィアは自信と野望に溢れていた。
しかし、婚約を交わして直ぐにスフィアの言う幸福、幸運がよそ見をし始めた。
(国王に愛されている王妃を伯爵位止まりにするなんて!)
父の爵位昇格を聞いた時、恐縮する家族とは違い、自分の身分も伯爵だと知りスフィアはがっかりした。
婚姻が決まった時、おそらく実家は爵位が上がるだろうとは思っていたが、実績のない伯爵位など王家に嫁ぐには低く過ぎる。何せ正妃は公爵家、第二王妃はグランハイム侯爵の養女となった元伯爵令嬢だ。
自分は国王ただ一人の寵妃。未来の王太子を生む存在だ。だから、きっと相応しい上位貴族の養女となって盛大な婚約発表パーティが開かれると思っていた。領地を持たない子爵家ではきっと考えられない程の贅沢な暮らしが待っていると思っていた。
(絶対、ラーゼフォン公爵家に養女として入ると思ったのに。アルビナ妃が私を妬んで、伯爵位止まりにしたんだわ。それに、第二王妃よりも家格が低いなんて!)
第二王妃の実家は、伯爵家の名門。当主は外務大臣だ。本来なら侯爵家に養女として入らなくても問題はなかったが、伯爵の兄でもある侯爵に乞われて養女となった。
子爵から伯爵へとなったスフィアの実家とは歴史が違うのだが、彼女には、理解し難いことのようだった。
(なんなの!なんなのよ!)
自分に当てられた後宮の名は花陽宮。
国王の宮に一番近い宮だ。
その一室でスフィアは人払いをしたあと動物園の動物のようにウロウロしながら唸っていた。
(蓋を開けてみれば、ライオネスは思っていた以上に忙しくて構ってくれないし、アルビナ妃もエマ妃も頻繁にしているお茶会に呼びもしない!私は寵妃よ!位が低いからってバカにして!私が正妃になったら、追い出してやるんだから!)
スフィアはすっかりやさぐれていた。




