じゅう の に
また、長くなりました、3000字弱です。誤字報告、便りにしてます。
国王は、目覚めたスフィア妃から涙ながらに訴える言葉に耳を傾けた。
その上で国王は、個人としての思いと国王としての思いをスフィアに語ったが、彼女が納得しているようには思えなかった。感情を優先して国を傾けようとは思っていないと改めてスフィア妃に言い、一応の理解は得られたと判断。
泣きながら引き留め、側に居て欲しいと言うスフィア妃に後ろ髪を引かれながら宮を後にした。
「酷いわ、ライオネスは私だけ、私だけを愛してるって言ってくれたのに。他の女の所にも通って子を作るなんて!だいたい!魔力が強い女に子供は出来ないんじゃなかったの!」
1人部屋に残されたスフィアは部屋の中を右へ左へと移動する。
「……あの侍女には悪いことしたとは思うけど、私に仕えておきながら、あんな笑顔でエマ妃の懐妊を告げてくるのが悪いのよ!そう、私は悪くないわ。でも、ちょっとしくじっちゃったわ……、」
身分が低くても健気に国王を支え、正妃や第二王妃からの苛めにも耐える庶民派の王妃。
それがスフィアの筋書きだった。
「これで、ライオネスの心が離れるなんてこと、ないわよね?」
スフィアの心配をよそに、国王は彼女の元を2日と空けず訪れていた。
国王が新たに付けてくれた侍女は皆スフィア妃に優しく、彼女の望むような言葉をくれた。
「ライオネス、愛しているわ。私には貴方だけなの………。」
数ヶ月後に自身の懐妊を知った時は、安堵と共に、せめてエマ王妃が姫を生んでくれたらと願ったものだった。(別に生まれたのが姫であっても後継には問題はないのだが、スフィアは知らなかった。)しかし、願いは届かずエマ王妃が生んだのは国王と同じ色合いを持つ王子だった。
世継ぎの誕生に国はお祭り騒ぎとなった。
再びスフィア妃の心は荒れたが、自身のお腹の子を思い必死で気を鎮めた。けれどどうしても思い出してしまうのだ、身分も他の王妃と比べ低い上に、魔力も弱いと言うことを。
魔力が弱いことはスフィアにとってコンプレックスだったが魔力の強い2人の王妃よりも懐妊しやすいと言われていたことは優越に浸れることだった。若く、美しい自分は、誰よりも愛され、次の国王を望む王家にとってなくてはならない存在なのだと思い王妃になった。しかし、蓋を開けてみれば、噂以上に2人の王妃は美しく魅力に溢れているが、歓迎されているようには思もえなかった。けれど、子が生まれたなら、きっと自分は王家に相応しい存在として認められ、愛されているが故に国母となり、強いては正妃の地位も手に入れられるのではないか。今はエマ妃の王子がちやほやされているが、数ヵ月のちには、自分も王子を生む。そして、いずれは自分の王子の方が国王には愛され、王太子の地位へと導かれる。そんな妄想にスフィアは笑いが止まらなかった。




