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我慢の女神は惰眠を貪りたい。  作者: 櫻塚森
第二章 婚約騒動
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22/91

きゅう の よん

きゅう は、長かった。4000文字こえでした。

加筆訂正9/7 12/16

ラーゼフォン前公爵襲撃事件は解決した。

犯人を裁くラーゼフォン公爵フィンネルの手腕は目を見張るものであり誰もが彼こそ次期宰相に相応しいと思い至った。それは国王も同様でとりあえず、謝っておいてよかったと安堵したほどだった。


国内外に広く公表された婚約の話が公爵家にうまく伝わらなかったのは、襲撃事件と時同じ頃、邸宅から城に向かっていたフィンネル自身も襲撃を受け号外に気付くことが出来なかったことが原因の一つである。また留守を預かる夫人の元に、フィンネルが出発するや否や城から婚約を知らせる遣いの者が入れ違いでやって来た。その寝耳に水の通達に対応中に、当主である宰相が襲われる事件を知らせる隼便がやってきたこと、驚いている所に婚約を知らせる号外が打ち上げられ、その数分後にフィンネルも襲撃されたとの情報がもたらされた。ラーゼフォン公爵家にとっての大事件が次々に起こったのだ。

全てがほぼ同じ頃合いに次々に寄せられた。公爵夫人は婚約の使者が訪れた時は冷静に対応していたが夫襲撃の報を知らせる隼便、その様子に使者は逃げ出し、続いて号外の音に驚き(号外の報を告げる音は国民全てに届くよう魔法が成されている)、てっきり襲撃事件の号外だと思っていたビエラは、隼便が真実なのだと倒れそうになった義母を支えていた時に号外の内容がブランジェの婚約で『そっち?』と思い暫し呆然。立ち直ったが、折り返し戻ってきた隼がフィンネルの襲撃を知らせて来たことに思考を停止させ倒れた。


様々な出来事が重なり、鬼気迫る勢いで襲撃事件に取りかかっているフィンネルに気を使った周囲。婚約のことが伝わると怒り狂い国が割れるかもしれないと感じた者も多かった。

公爵家の縁者にも早々に婚約の話を知っていた者はいたが、そのような馬鹿げた話はガセだと思っていた。婚約云々より、テロの方が公爵家や縁者には重大だと考えフィンネルに尋ねなかった。

事情があったにせよ、斜め上をいく第三王妃の我儘とそれを叶える為の書類を用意してしまったライオネス。フィンネルは本気で国を捨てるかと考えたほどだった。


公爵の怒りを鎮めるには婚約を白紙に戻すことしかないが、既に国内外に知られていたため白紙にはしたくない、国の恥であると国王は譲らなかった。

また、婚約騒動に関与したスフィア妃は問い詰めに酷い癇癪を起こし宮に軟禁が決定したが、絶対に婚約は解消させないと婚約解消の必要書類にサインをしなかった。王候貴族の婚姻には王命が必要だが解消には本人のサイン、未成年の場合は代理人のサインが必要となる。デイビス王子はまだ未成年なのでスフィア妃のサインが必要だった。

第三王妃のサインが貰えないから解消の書類が成立しないと言う事実。

『情けない。』

ライオネスの出した言い訳に呆れた者は多かった。

フィンネルの眉間に深い皺が寄ったが、彼は万が一の事態に備えて保険をかけることにした。“精霊誓約”と言う破れば命の保証さえない規定で作られる誓約。それを国王と第三王妃が承諾するなら、ブランジェをデイビス王子の婚約者とすることを認める。もし精霊誓約下での約定に同意出来ないならフィンネルを含めたラーゼフォン公爵家一同は国への忠誠を放棄し、公国として独立すると宣言した。

ラーゼフォン公爵領は、ファフナー王国の食糧庫であり、おそらくフィンネルの意見に賛同し国を出る者も出てくるだろう。

フィンネルの気迫とアルビナ妃、エマージェン妃からも脅しのような説得をうけ、ライオネス国王はスフィア妃を騙して、精霊誓約書にサインをさせ、彼の案を受け入れた。


「お花畑には、何と言ってサインしてもらったんだ?」

アルビナ妃の問いにライオネスはため息混じりに言った。

「精霊も認める婚約となるんだと言ったら、喜んでサインした。」

スフィア妃は“精霊誓約”自体を知らなかった。


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