雪子・3
「どう、楽しい?」聡君が隣に来た。
「うん、楽しいよ。みんな、あんまり変わってないね。あっ、聡君は
ちょっと変わったかも。初めのあいさつ、上手だったね。」
私がそう言うと、聡君は、「そうか?」とすごく照れたように、頭をかいた。
その時、聡君の頭を見ると、少しだけど、うすくなりかけているのに気づいた。
「ゆきっぺは、全然変わらんね。昔のまんま。いつまでたっても、可愛いもんねぇ。」
《聡君が、こんなお世辞言えるようになったんだ》私はすごく驚いた。
「わあ、ありがとう。聡君、照れずにそんなお世辞が言えるんだ。」
私がそう言うと、聡君は、また真っ赤になって、
「いやあ、お世辞じゃないって。ほんとじゃけん言える。そりゃ、ちっとは
シワも出来よったけど、ゆきっぺはまだまだ美人じゃけん。」
《あっ、シワって・・。聡君、それは言っちゃだめでしょ。》
聡君は、自分では、失言に気付いていないみたいだから、私は、心の声を口に
出したりはしなかった。
「子供達は?元気にしてる?」
「うん、元気。聡君ところは?」
「うーん、元気と言えば、元気じゃけど、親の言うこと聞かんで困る。」
「そんなの、うちも一緒よ。もう勝手ばっかり。」
「そうか、一緒か。みんなそんなもんかねぇ。」
「そうよ。」
「勉強もせんと、ゲームばっかりじゃ。」
「あーっ、それも一緒。」
「そうか。ゆきっぺとこもか?なんじゃ、ちょっと安心した。」
「でも、私もゲーム一緒にするよ。」
「ほーっ、じゃあ、うちもやるかな。よし、明日さっそくやってみるわ。」
子供の話をしているときの聡君は、いいお父さんの顔だった。




